徒然日記
2012年12月分

 日記と言うより、自分の行動記録からの抜粋と日々の雑感です。

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12/31(月)曇り・寒波来週 年末休暇 
 1:30飯川病院起床、徒然、文献読み。7:00検食、8:30中通病院に立ち寄り9:15帰宅。午前は孫の相手と道路の雪かき。午後息子一家男鹿に。新年を迎える準備若干、散髪。19:00蕎麦による夕食摂りつつNHK紅白観た。しかし、一曲目から睡魔あり19:45就寝。これでいろいろあった私の一年は静かに終了した。

この一年 いつもと同じく「感謝」 で締めたい 
 時間の経過は実に早い。2011年も大晦日を迎えた。
 感想を一言で言えば、我が家の家族達は、勿論、各人の気持ちは推し量ることが出来ないが、 私の目から見て、私以外は無事に大晦日を迎えたようだ。これが一番嬉しい。

 私は退職後一年半になる。嘱託内科医として同じ病院で働いている。私にとってこの一年、特に10月以降はいろいろ危ない状況を迎えた。よく後遺症もなく無事に復帰できたものだ、と自分の運の良さに感動している。

 ■10月9日自転車で高校生に接触、コントロール不能状態で走行しつづけ数秒後に車道と歩道を分けるブロックに前輪を引っかけて転倒、左半身から落下し全身を強打するもヘルメット等の着用で外表面の外傷は無し。高校生は傷なし。その後、数日強度の胸痛あり、血胸・気胸等を疑ったがレ線上で所見無し。何とか改善したが、今思い出しても奇跡的な結果であった。

 ■10月12日より上腹部の閉塞感あり、14日中通総合病院受診、腸閉塞の診断で入院。自分としては悪性疾患も考えたが所見無し。16日腹腔鏡にて修復手術を受けた。腸切除なし。内ヘルニアへの嵌頓だったとのことで助かった。10月23日退院、30日より復帰。腸閉塞の原因として上記の自転車の転倒も一因だと思っている。

 ■11月4日朝、突然右片麻痺、失語症、意識障害あり。救急車にて中通総合病院へ入院。Afによる脳血栓症、一時は死を意識し、次いで寝たきり状態、右半身不随と失語状態になることを覚悟したが、結果的に一過性脳虚血発作で理解出来る範囲で、数日で改善。12日より業務に復帰。発作の原因は、自転車による外傷の恐れあり、発作性Afに対し抗凝固療法を控えていためで、不幸中の幸いであった。先の自転車の転倒時まではそれも良かったと思っているが、一度この様な発作が起きた以上は抗凝固療法は必須である。現在プラザキサ服用している。なお、12月に死んだ飼い猫のミーシャが大きな声で鳴き、その様子から家内が異変に気付いたとのことである。その辺のことは覚えていない。

 上記のエピソードを挙げてみただけでも、少なくとも本日までの私は、とても運が良かったと思う。もうこれ以上は幸運は望めないと思う。次の何かが生じたときのために、その後終活に勤しんでいる。

 私は本来のネコ的性格にもどりつつあり、社会とのコンタクトを避けつつある。全て自己満足の世界であるが、時間を無為に過ごさぬよう、大事に過ごしたい。
 そうは言っても、私がこうして無事年末を迎え得たのは、やはり多くの方々のお陰である。この一年、いつもと同じく「感謝」 で締めたい。


12/30(日)年末休暇 降雨 餅つき 飯川病院日当直 
1:30 起床、本読み、新聞PDF化、徒然。4:00微睡、午前午後孫の相手、疲弊。15:50休宝寺経由で飯川病院へ。路地の雪は融けて通行には大変な状態。17:00当直勤務に。18:00検食、20:00就寝。

2012年 私の総括 
 新年に立てた目標を整理し、ザッとであるが達成程度を評価してみた。
 特に秋以降は療養期間があって継続困難となった項目もあった。

■退職、嘱託医として一年半、徐々に時間的余裕が出来てきたが、更に余裕が欲しい-----本年の満足度7割。
■嘱託の立場のけじめを明快にし、グレーゾーンを作らず。契約上の勤務時間以外は出来るだけ職場にいない、行かない------9割方達成。
■自転車走行12月末日までに5.000Kmと設定するも、10月に腸閉塞に罹患後頓挫。サイクルメーター上は10月までに3197.8Km走行した------6割5分で未達成に終わった。
■簡単な筋トレ。10月の腸閉塞以降中断---------7割方で未達成に終わった。
■共済会ヘルスチャレンジ2012。自転車1.000Km、体重-3Kgは腸閉塞で頓挫---------7割方で未達成。
■院内のエレベーター・エスカレーターに乗らない。療養中のみ数回利用した-------9割9分達成。
■英語、医療・医学、芸術、歴史、特に近代日本史を学ぶ。療養期間に集中できた------5割程度達成。
■シアタープレイタウンで上映される映画を全部観る。療養中以外はほとんど観れた。同館は12月下旬で閉館した-----9割達成。
■新聞4紙に目を通し興味ある記事はファイリング-----10割達成。
■所持しているLPレコード1.000枚ほど全てに針を通す。書斎が物置と化して聴けなかった----1割程度達成。
■月収の2割以上を岩手県の復興基金に送る-----10割達成。
■徒然日記の連日更----10割達成。

 今年も惰眠をむさぼらず、時間は有効に利用した、と総括したい。ただし、上記の項目以外にも未達成と言うべき項目が多かった。


12/29(土)年末休暇 雲一つない快晴、温暖  知人と会食 
2:00 起床、新聞チェック、医学系論文読み、徒然ほか。午前は廃棄物のまとめ。ガレージ掃除、4番目のコンポスト準備など。午後は息子一家サブーンへ。その間狙って文献読みなど。フィットバッテリー上がりJAF依頼。18:00知人と会食。20:00帰宅。20:30就眠。

医師と患者関係(10)医師のライフスタイルの変化 「上善如水」
 私も歳になった。もう医師としての能力不足、知識不足はどうしようもないレベルになった。今も学ぶ意欲は落ちていないが、間に合わない。だから、私の外来にはなるべくかからないように、と言っている。

 更に、労働意欲も減退してきた。かつて「より多忙なほど私を奮い立たせる・・」などと、言ってきたが、最近この言葉を返上しなければならない状況になった。
 何でかというと、「楽」を体験したからである。嘱託になって週休二日制の素晴らしさを味わっている。週末は好きなことに時間を費やすことが出来る。今では二日では時間が足りない、と思っているほどである。

 私の場合、立場が変わったことで、病院等の組織に対する考え方も大きく変わった。長く過ごした組織とは自分にとって何だったのか、まだよく分からないが、責任と時間の束縛からかなり開放された事は確かである。今年は医師になって初めて入院患者がゼロの状態で年末年始休暇を味わうことになった。
 尤も、この年末年始休暇のうち飯川病院の当直が一回、日当直が一回割り当てられているから、完全開放ではない。嘱託の立場でいる間は完全な解放は望めない。

 「上善如水」は老子の言葉で、「理想的生き方、すなわち上善は、水の如し」 という意味らしいが、拡大解釈されて「人も水の様に楽な方に流れる」と言う意味で用いられている。私もその様な変化を味わっている。ただ、私の場合は時間を他のことに費やしたいという意欲が高じてきたと言う意味で「労働意欲の減退」は、医療・医学、社会、経済、歴史、音楽、美術などについて学ぶための、労働時間からの解放である。

 来年度も嘱託として働くことになるのであれば、出来ればもう一日フリーな時間を作りたい。患者に迷惑をかけないように、診療から徐々に身を引いていく事と両立する事にもなる。

 ところで、私どもの病院で研修を受けた若手医師は次のステップに進む際に「いずれ、また戻ってきます・・」と言っていたが殆ど戻ってこない。数々の因子はあろうが、いろいろな環境を知るにつれ「上善如水」的判断に至ったためではないかと、今にして理解できたような気もする。
 (なお、上記は全く私だけの個人的感想である。)
 


12/28(金)曇り小雪 路上雪解け大渋滞 大曲外来 一応御用納め
1:30 起床、徒然、文献読み。6:45病院に。回診他、大事をとって45分前に駅に。8:01こまち、8:30-15:00大曲中通病院外来、本日は患者少なかった。16:30病院着、渋滞で17:45自宅着。19:00息子一家到着、盛岡から6時間。19:30夕食。 21:00就寝。

大仙市大曲(3) 新幹線での忘れ物 駅の対応に感謝
 4月から15年振りほどになるだろうか、大曲中通病院の外来診療を週一回手伝っている。8:01発の秋田新幹線こまちにて通っている。35分ほどで着く。

 12月21日、新幹線の座席に手袋を忘れた。降車後に、ホームで直ぐ気づいたのであるが、列車は既に東京に向けてスピードを上げつつあった。

 駅の切符売り場でその旨を伝えた。時間もたっていないし、座席も分かっているし、と私は直ぐにでも見つかるのものと安易に考えていたが、窓口で対応してくれた若い女性は「あるかどうかは分かりません。列車には伝えますが、それが分かるのは午後ですので電話して下さい。見つかった場合には東京駅に取りに行って戴くか、宅配便にて送ることになります。その後の手続きは秋田駅でやって頂きます」、と言う。若干不慣れかなと思われる説明であった。この説明に納得いかなかったが、食い下がっても無駄なようであった。 

 午後に2度駅に電話で確かめようとしたが「混み合っているので後ほどお掛け直し下さい」とアナウンスがあって繋がらない。
 15時過ぎに大曲駅の遺失物の窓口で直接確かめたところ、まだ見つかっていないという。「もし見つかった場合には、宅配の手続きはここでも出来ます」とのことで用紙に住所、電話番号等を記入して申し込んだ。

 この間二人の男性職員が対応してくれた。手袋の特徴を詳しく確かめられ、かなり詳細に説明した。東京駅に電話で確かめているようであったが、窓口にいる間には見つからなかった。私は親切な対応に感謝の意を伝え、秋田に向かったが、新幹線の中で携帯が鳴り、更に詳しく手袋の特徴を、と言う。これ以上は説明しようがないほど詳細に聞き取られた。

 ここまでやってくれるものかと驚いたが、気持ちの上ではもうダメだろうと諦めかけていた。20:00ほどに携帯を通じて手袋が見つかったこと、宅配の手続きも終わった、との連絡があった。手袋は23日午後届いた。
 私はこの間の駅職員の対応に深く感謝した。

 今回の手袋はハーレー、次いで自転車と、10年ほど用いたライダー用の手袋である。冬期間は毛糸のインナー手袋で二重にし用いていた。相当くたびれていてたが手入れを怠らず、大切にしていたものである。

 列車内の遺失物は途中駅では対応せずに東京駅まで行くのか?など不可解でもあったが、私の不注意で多数の方に迷惑をかけたことを反省した。


12/27(木)曇り・積雪は3cmほど 外来 積雪5cm帰宅後除雪
1:00起床、新聞、文献自炊、徒然ほか。7:00病院。8:45-14:00外来。17:00土崎の鮮魚や経由で帰宅。17:00−18:00除雪8回目、ことしは雪多くもはや雪を飛ばす場所が乏しくなった。新聞チェック、19:00夕食、20:30就寝。

医師と患者関係(9)こんな天候でも予約患者ほぼ全員受診 
 年末年始の休診が一週間ある。
 この前後は再来患者の予約をかなり広く振り分けたのであるが、それでも先週から今週にかけては予約のコマ数を超えて予約を入れざるを得なかった。

 先週と今週の私が担当している再来の予約数は260名ほどであった。これでも2-3年前の患者数から見ると、処方の長期投与、他院への紹介、死亡などもあって2割り方減となっている。
 
 この予約患者の他に、更に、年末年始に薬が切れるなどとして予約外の患者も多数来院したために一層混雑し、疲弊した。辛い2週間であった。ただ、これは私の担当外来だけの傾向でなく、病院全体で待合室は患者で溢れた。
 私は急性期病院の外来が混雑することに問題を感じている(中通病院の外来は今後いかなる方向性にあるべきかhttp://www.mfukuda.com/byouin/gairai.htm)が、患者側の希望と病院の事情から理想とほど遠い状況にある。

 秋田市は12月下旬から寒波、降雪が続いている。私の雪かき作業も大変なのであるが、市内郊外の交通状況が大幅に乱れ、JRは遅延、道路は大渋滞である。
 こんな中で私の楽しみ、期待の一つは、今日は何人の患者がキャンセルになるか、と言うことである。予約の名簿を眺めながら5-6人ほどか?と予想した。

 しかし、期待に反してこの2週間、予約患者で来院しなかったのは一日に一人程度と全く当てが外れてしまった。
 「2時間もかかりました・・」、「遅れるかと思ってハラハラ・・」、郊外の患者の診察前の挨拶はこれであった。患者は安定した慢性期の患者である。問診、視診と検脈、血圧測定、処方で平均3分以内か。

 私は患者をねぎらいながら、本心は「だから住まいの近くのクリニックにしたら・・」、「予約変更して別の日でも良いのに・・」、「本日はこれで終わり。早く次の患者にゆずって・・」、「・・」と暗く後ろ向きなのであるが、じっと耐えて笑顔を作る。これが実に辛い。

 「患者は神様です」とは言いたくないが、ここまで苦労を厭わず通院してくる患者の心には「神が宿っているのでは?」と思ってしまう。


12/26(水)暴風降雪、かなり積もる20cm 除雪、外来 午後再度除雪 
2:00起床、徒然ほか。5:30-6:15除雪6回目、吹きだまりは30cmほどもあり難渋。7:00病院。回診、8:45−14:30外来。こんな天候でも予約患者全員受診。机上事務処理、16:15帰宅。再度除雪7回目、1時間。ご近所の方のブルも出動。新聞、文献チェック。自転車、19:30夕食、20:30就寝。

映画評(60)「それでも愛している」、「私の人生」  
12月15日に観た映画。 
 「それでも、愛してる」と言うなんだか分からないタイトルだが、原題は『The Beaver』であった。
 ごく当たり前の、どこの家庭でも生じうる危機を、一家の主人がうつ病を発症したという設定で描き出した作品である。

 玩具会社の2代目社長は、ある日突然うつ病にかかった。カウンセリングも薬も音楽療法も催眠療法も全く効果なく、1日中ほぼ寝たきり状態。たまたま車のトランクの中に腹話術用のビーバーの縫いぐるみをみつける。彼がそのビーバーを左手にはめると、うつの症状がきれいさっぱり消える。以来、彼は、そのビーバー越しにしか会話ができなくなるが、それでも社交性と自信を取り戻していく。

 しかしながら、ビーバーは実際には自分自身なのであるが、次第に暴君と化していく。そして彼はこのビーバーを介した行動こそが自分と家族のトラブルの元凶であることに気づき、家族との絆を取り戻すために電動ノコギリでビーバーごと左手を切断してしまう。

 うつ病を持つ主人公が最終的に家族側に戻ろうと決意したこと自体が、病気の克服過程を示していることではないか?この作品ではそんなことを表現したかったのではないか。うつ病は本人も家族にとってもきつい。それをビーバーを通して描くという極端な設定で描いた。

 よく理解できない結末であったが、それにしてもうつ病は根の深い、おそろしい難病である。
 ジョディ・フォスター監督自身がが主人公の妻役で出演している。十分に美しい方であった。7歳の息子の可愛かったこと、長男の同級の女友達も将来が楽しみな美形の女優であった。

 ■12月23日に観た映画。
 内容的には認知症問題を扱った作品。上記の作品と同じように、ごく当たり前の、どこの家庭でも生じうる家庭・家族の危機を、一家の主人が認知症を発症したという設定で描き出した作品である。自分の将来の姿を見ている様で観ていて辛かった。 

 私が1年半通い詰めたシアタープレイタウンは明日閉館する。とても残念である。


12/25(火) 曇り 比較的温暖で路面に雪無し 外来
2:00起床、文献チェックなど。7:00病院着、8:45-14:20外来、本年最終週の外来で混雑し大変。患者も大変。16:00帰宅、本読み他、新聞、19:00夕食。20:00就寝。

馬子にも衣装とは(4)靴(1) 非生理的履き物「ハイヒール」
 ハイヒールは「高いかかとの靴」で爪先よりもかかとの方がかなり持ち上げられる様になっている靴のこと。一般に、かかとが7cm以上の婦人靴を指す。
 1600年代、フランスで町の汚物を踏むまない様に工夫された靴だという。そのような目的があるのなら納得できるが、現代において「ハイヒール」は最も非生理的な履き物と言い得るのではないか。
  
 人間は本来裸足で歩行するように骨格、筋、腱等が出来ている。もう300万年以上も直立歩行してきた。ハイヒールの歴史はたかだか200年である。
 通常の歩行はかかとから床面につくのであるが、ハイヒールではかかとと爪先を同時に接地させる必要がある。
 こんな歩行は異常であって、姿勢が歪む事は避けられない。骨格に対して無理な緊張・負担をがかかり、骨盤が歪んだり、外反母趾、下肢の浮腫、腰痛、肩こり、などその影響は全身に及ぶ。歩行時に安定が悪く転倒したり、捻挫を生じやすい。

 かかとを高くすると当然足が滑り、体重が極端に爪先方向にかかる。更に、靴が足の形を無視してつま先で絞られている。だから、足指の自由がなく指の付け根で歩く事になる。長期間の着用は筋力のバランスと指間の靱帯を弛緩させ、足の骨格を歪ませてしまう。それを軽減するために、爪先保護用のクッションやバンド、前滑り防止の中敷きなども用いられているようである。さらに、靴擦れ防止・治療用の絆創膏などが手放せないらしい。

 更に、ハイヒールに「がに股」歩行は似合わない。だから、一本の線をなぞる様に歩かなければならないし、目線が下らないように背筋をぴんと維持しなければならない。だからマンガによくあるようにヒールを何かに挟んで折ったりする。

 そこまでして・・と、私は尊敬の念を抱く。

 そう言えば、ハイヒールを履きこなしているモデルの方々の素足などは写真でも見る機会は無いが、意外と外反母趾や魚の目で悩んでいるのかも知れない。ハイヒールを履いたままの女性の裸体は、より美しく見える。ハイヒールにはそのような作用もあるようだ。


12/24 (月)振替休日 寒波続く シアタープレイタウン閉館
 1:30起床、新聞チェック、そのほか文献読み。PDF化書類、ラジオ深夜便のMP3データを整理。午前は風除湿整理、廃棄物のまとめなど。午後は本読み中心。室内自転車、19:30夕食、20:30就眠。

馬子にも衣装とは(3)苦痛より美しさの探究なのか
 おしゃれは足下から、とよく言われる。私もそう思う。
 私もデパートなどで婦人靴売り場に迷い込むことがある。並んでいる靴は実に美しい。芸術的な素晴らしい形をしている。「こんな靴をお履きになる方は一体どの様な方なのだろうか。一度見てみたいものだ」と思うのだが、お客のなかにそんな方は居なかった。

 ハッキリ言って、新品の靴のデザインと通常の女性の足の形はどう考えてみてもアンバランスである。と言う事は、靴も苦労し、足も苦労しながら、徐々に形を変えていっているのだろう。その際、妥協するのは靴の方であろうが、そこに至るまでの互いの苦痛はいかほどか、と思う。現に、宴会場とかで、脱いで並べられている靴は左右に伸ばされた状態にあり原形をとどめていない。私は、靴のデザインはどうせ変形するのだから始めからそれに即した等になっていればいいのではないか?と思うが、女心が分からない下衆の勘ぐりか。

 こんな時、私は変形することがないガラスの靴を初めて履いて舞踏会へ参加したシンデレラの苦痛はいかほどだったか、と思ってしまう。ガラスの靴は重いし、蒸れるし、かなり痛いだろう。城で王子に見初められるが、足の苦痛を必死に我慢していて生きた心地もしなかっただろう。12時の鐘の音に焦ったシンデレラは階段に靴を落としてしまうが、実際は足が痛くて走れなかったのが真相か? 素材がガラスだから成り立つ話しであるが、物語の言うままなら彼女はどんなに形の良いおみ足だったか、と思う。

  私は女性の装いが、コストだけでなく苦痛を耐え忍びながら成り立っていることに今更ながら驚きを感じ得ないし、尊敬の念も感じ始めてきた。
 数々の名画の中にウエストを激しく締め付けるコルセット着用の女性も描かれている。コルセットは内臓器官を圧迫し健康をひどく損なう事が分かっていたにもかかわらず、次第にエスカレートの途上にあった。当時の娘達は大変だったろう。しかし、第一次世界大戦で鋼鉄の補強剤が製造不可となってこの習慣は頓挫したとされる。戦争が女性を救ったと言える。

 現代の女性方も人知れず、美を求める闘いの最中にあるのかも知れない。月初めなど新聞紙上にファッション雑誌の広告が目白押しである。女性達は大変な世界に住んでいるものと思う。


12/23(日)天皇誕生日 曇り降雪 飯川病院日直 映画「私の人生」
1:30起床、新聞チェック、そのほか文献読み等淡々と処理。PDF化書類、ラジオ深夜便のMP3データを整理。8:00−17:00飯川病院日直へ、17:10映画「私の人生」。内容的には痴呆老人の問題で自分の将来の姿見ていて辛かった。シアタープレイタウンは明日閉館する。19:30帰宅。夕食、20:30就眠。

最近鳩に関する相談メールが増えた(2) 
 このホームページを介していろいろな方々とメール交換することがある。

 2001年のホームページ開設以来20件ほど怪我した伝書鳩や野生の鳩を保護した方々から相談があった。そのうちの数件を「読者の感想」コーナーに掲示している。

 しばらく途絶えていたが12月にまたお一人の方からの相談があった。
 怪我した鳩、弱った鳩を保護したものの、その後の対応が解らずにネットで検索しているうちに、私のエッセイの「ある鳩の思い出」にたどり着き、読んでいただいた方からの相談らしい。2004年にたまたまYahooに「鳩 怪我」と入れて検索してみたら第一番に私のホームページが出てきたのでびっくりしたことがある。

 本日も同様に検索したところトップページに「怪我をした鳩 2」がまだ掲載されていた。あれから8年も経っているのに、である。
 私が鳩を飼っていたのは小学校4年頃から高校卒業までなのでもう50年も前のことである。もう私の知識や経験が役に立つとは思えないが、他に依りどころが見つからなかったためだろうと思う。日本伝書鳩協会への相談、「知恵袋」等を検索すれば更に良いと思われる。私の返事、対応方法の提言がそれほど役立っているとは思えないが、少しは安堵されたとすればそれで良い。

 それにしても、怪我した鳩、弱った鳩を保護される方々の優しい心には感心するどころか感動してしまう。一方、私はその返事の中で安易に自然の摂理、摂理・・と言いすぎる、のかもしれない。ただ、私のこの考えは決して鳩だから、そうアドバイスをしているわけではない。

 数々の疾患を持ち、うつろな目、問いかけても返事もない、もう自分で食事をとることも出来ない、人生の終末期にある多数の患者が人工栄養のもとで生かされている現実がある。この様な方々は、自然の摂理の、通るべきコースにあるのに、心の準備が出来ておらずに、受け入れることが出来なかった家族の希望で延命が図られた結果であることが多い。小動物、ペットでも良い、命あるもののケアを通じて、人間であっても自然の摂理にまかせることの意義を考えて欲しいと願っている。


12/22(土)曇り一時晴 降雪無し 旧除雪機修理し除雪5回目
1:40起床、内容的には同じであるが、3連休で時間的に余裕。じっくり本読み、医学文献読みなど。午前は来週廃棄予定の処分物準備。午後は故障した旧除雪機修理、何とかリカバリーできた。新しい積雪はないが除雪不十分なところを対応。昨年の本日除雪機初稼働した。今年は降雪が多い。室内自転車、新聞など。19:00夕食、毛ガニに難渋。21:00就寝。

27年使用した除雪機を今期ついに買い換えた  
 わが家は「臍の緒胎盤道路」と称するほどアクセス道路が狭く長い。だから降雪にはすこぶる弱い。一旦積もらせ、車で踏み固められると除雪が困難になる。だから、私は早朝に50m近い道路をザッと除雪し、わが家の除雪をするが、これも除雪機があればこそである。

 わが家では除雪機は1985年に購入した。だから27年用いたことになる。
 HONDA製でHS55J型、5.5馬力、当時は最小の規格であった。丈夫で故障知らずであったが、2008年12月にはチョークレバーが作動しなくなり、2009年にはクラッチレバーのワイヤーが切れた。古い製品にもかかわらず幸いにもいずれの故障も修理できた。この頃から買い換えを意識していたが、 注文は夏でなければ間に合わないらしい。踏み切れないまま、だましだまし使っていた。

 本年正月3日に3回目の故障した。帰省した息子がエンジン始動用のヒモを馬鹿力で引っ張ったために切れてしまった。今回も数日後に修理されて戻ってきたが、もう迷ってはいられない。8月下旬に発注し、11月初旬に届いた。

 今回もHONDA製、HSS760nという型、エンジンは200cc、5.6馬力、除雪機の規格としては2番目となっていた。作業灯、セル付きであるが、私は単純な規格がいいのでハイブリッド機構、どの他のオート機構は付かないシンプルなタイプにした。値段は旧機種購入時のちょうど2倍であった。

 旧除雪機は愛着があるので下取りに出さずに予備用に残したが、またこの20日に不調になり、急遽不慣れの新型を用いた。馬力には大差はないが除雪能力は確実にパワーアップされている。購入していて本当に良かった、と思う。でも、今のところは旧型の方がはるかに使いやすい。

 今回の故障は私でも直せる程度で本日修理した。なおしばらくは併用する。 今冬は雪が多そうである。私は数年来の不安から解放され、リッチな気持ちである。雪よドンと来い、である。


12/21(金)曇り時に青空 除雪5回目 大曲中通病院外来
1:40起床、本読み他いつもの如く、6:50車病院着。路面は冠雪凍結。7:20病院前タクシー乗り場で30分待つ、更に渋滞、8:01こまちは乗れず、8:55で大曲に。9:30ー15:00大曲中通病院外来。16:30渋滞で病院着、17:30帰宅、新聞、室内自転車等、20:00夕食、 21:30就寝。

馬子にも衣装とは(2)そもそも人は何で衣服をまとうのか
 

我が家で病気のために先日死んだネコのミーシャは、体温調節がうまくいかなくなって一層寒がりになった。10月下旬から電気座布団で暖をとらせたが、11月下旬から防寒のために綿入れのチャンチャンコを着せた。嫌がる素振りも見せなかった。

世界の民族の大部分は体を布、毛皮、植物の葉や茎を編んだもので蔽うが、それを衣服という。中には裸族と呼ばれる、幼児以外は殆ど裸で過ごす部族もあるが、まったく何も身に付けない例はまずないそうである。だから、何のために衣服をまとうのかは考えても無駄である。

 衣服の着用は,人間と動物を区別する重要な要素である。自ら衣服と思われるものをまとう動物はいない。動物の中で衣服をまとうのは家庭で飼われているペット、祝典等で使われる馬、牛程度であろう。
 
 衣服着用の歴史は古い。諸説あるが、65万年前にさかのぼるとしている学者もいる 。ちょっと調べた範囲では衣服の歴史はよく分からなかった。秋田県立博物館の石器時代のオブジェも腰布等をまとっている。最も分かり易いのは真偽は別としてアダムとイブがイチジクの葉で身体の一部を隠した話であろう。イチジクの白い汁は精液を象徴し、その実の形は女性の下半身の形を象徴しているとされ、意味深である。

  世界の民族の大部分は体を布、毛皮、植物の葉や茎を編んだものでまとう。衣服をまとう第一の目的は、風雨、日光、寒冷、乾燥といった気象条件から体を保護するためにであろう。衣服の文化があったから、ヒトは寒冷地や寒暖の差の著しい地域への進出が可能となった。

 その他、衣服には安全のため体表を傷つけないための、機能的な衣服もある。作業服や防護服と呼ばれる、より丈夫な素材のものや特殊な加工がされた衣服をである。

 加えて、衣服は人がその富や権力を誇示するアイテムにもなるし、一定の組織に属していることを示す制服もあり、資格や職業を象徴したりする制服などもある。私は大学卒業まで詰め襟の学生服で過ごした。多くの医師は白衣をボタンもはめずにだらしなく着ている。見る度毎に不快である。だから、私は着用しなかった。

 更に、これが重要なことなのだが、衣服にはファッションとしての極めて重要な要素がある。最近、私が興味を感じている分野はこのファッション、装いの文化についてである。

 どうして、人は、時には身体を痛めながらも、時間的にも、経済的にもかなり無理してまでも、装うのだろうか。私にとっては謎であった。


12/20(木)寒波降雪続く10cm超 除雪4回目、外来
1:00起床、徒然。今年の文献・録音データの整理・処理など。 5:30−6:15除雪4回目、資源ゴミ廃棄。7:00病院に。 8:40-14:00外来、混雑、疲弊。渋滞し4:20帰宅、新聞、文献、自転車など。19:00夕食。20:00就寝。

馬子にも衣装とは(1)最近、ファッションに興味を感じている
 馬子にも衣装とは、「馬の世話をするような、貧しい下働きの人でも衣服等で外形を飾るとりっぱに見える」ことを言う。
 「馬子」は馬を引いて、旅人を乗せたり、荷物を運んだりした人で、古くは奈良時代から記録があるとされる。要するに運送業者であった。江戸時代には農民が幕府から強要されていた割の悪い仕事で、みすぼらしい格好をしている者が多く、裸同然の格好をしていた者もいたとされる。「馬子」という言葉から連想されるイメージを利用し、衣装や服装の意義を讃えたたもので、人をバカにした言葉である。当時、乞食や浮浪者も多かった中で何故「馬子」が選ばれたのか、興味が持たれる所でもある。

 私は自分の服装に関して関心が薄い。
 仕事も年を通して半袖のYシャツでラフな格好をしている。ズボンは膝部分が伸びてよれよれ、靴下はかかとに穴が空いている。靴は履かずスリッパで過ごす。最近寒くなってたので防寒対策をしているが、上着は息子達から貰ったコートやスキーウエア、下半身はテニス用のウインドブレーカー、一応防寒靴だが穴が空いて雪がしみる。どう見ても風采は上がらない格好である。退職後は人との付き合いが殆どないから、まともな格好はしたことがない。マア、私は非常識なほどひどいわけではないが、服装に関して関心がないことも含め、現代の「馬子」のようなものである。

 家内は私の格好を見て「恥ずかしい」という。 そう言う本人は化粧品や服飾関係にかなり出費をしている。たまに届く請求書を前に私の目は頻回に飛び出している。化粧品の世界では「コスト・ベネフィット」論は成り立たないようだ。

 私は長い間、家内の発想を呆れながらも理解しようともして来なかったが、最近ファッションについていたく興味を持ち始めた。別に私自身の格好を良くしたいということではなく、また、家内の姿に限定せず、一般論として「なぜ、人は化粧をしたり、これほどまでに着飾るのか?」ということについて改めて考えてみようと思ったからである。

 多分、TVドラマ「梅ちゃん先生」で見た「ドーナツの穴」論と同じようなレベルの、解けることはない疑問だとは思うのだが・・・。


12/19(水)寒波、風雪 am5:00積雪7cm 除雪機2回目 外来 夕方除雪3回目
1:10 起床、文献読み。蓄積データ処理。5:30−6:15除雪、7:00病院着、回診。8:40-14:00外来、混雑した上にノロ疑いとかの患者で大変であった。16:00帰宅、所によっては20cm以上積雪あり、16:00-17:00一時間かけて再度除雪、新聞文献読み、自転車踏み20分。19:00夕食、20:30就寝。

電話健康相談 なるべく代理者でなく
 NHK-AMラジオ15:00頃から園芸、料理・お菓子作り、ペットの買い方を初めとして種々の項目にわたる電話相談がある。体系的に聞いていないのでよく分からないが、週のうちの2回ほどは健康相談が放送される。回答者は著名な大学教授が担当している。今週は糖尿病と呼吸器疾患が取り上げられた。

 私は帰宅途中にカーラジオでその一部を聞くのであるが、他分野の相談の場合には代理で相談することはなく、全てが本人からの相談である。
 一方、健康相談に関しては本人からの他、代理の方からの相談も多い。小児の場合、認知症などの場合は親や親族からの相談でもやむを得ないだろうが、十分判断力がありそうな場合でも、本人に代わって相談してくるケースもある。

 その場合、多くは母親あるいは夫の病状を心配する妻からの相談である。この様な場合はポイントがずれた質問がおおい。相談者の説明も長たらしくなる。回答者も時間を気にしながら相談の真意を推し量り、微に入り細にいり親切に説明を加えるが、結果的に一般論的説明となる。聞いていて歯がゆい思いがする。

 私はかつて秋田市医師会の健康電話相談を担当していたことがある。代理の相談の頻回にあったが、この場合にはザッと説明した後に、機会を改めて本人から直接相談してくれるように仕向けていた。本人の場合でも、高度の難聴があったり、明らかに認知症があったりと電話での対話さえ困難なケースもあった。また、高齢者の一部は寂しいだけで会話を求めて電話をかけて来たと思われるケースもあって閉口したこともあった。 

 身内の病気が心配で居ても立ってもおれずに電話をかけてくるのであろう。慎重なNHKのことだから、事前に相談内容、会話がなり立つか否か、理解力はありそうか、などのチェックはしていると思う。
 その際、可能な限り本人からの相談にして欲しいものである。


12/18(火)寒波曇り、久々に晴れ間で路上の積雪消失 外来
 1:20 起床、読書、文献チェックなど。7:00病院着、回診。8:45-13:00外来。事務処理若干、16:00帰宅、金属類廃棄準備。本読み、室内自転車。19:00夕食、20:45就寝。

今年の漢字に「金」がえらばれた
 その年の世相を漢字一字で表す「今年の漢字」が「金」に決まった。
 12月12日に日本漢字能力検定協会が発表した。清水寺の森清範貫主が縦1.5m、横1.3mの和紙に特大の筆で「金」と書き上げた。この行事は阪神大震災、オウム地下鉄サリン事件などがあった1995年から始められているとのこと。 

 候補の漢字は公募され、検定協会が選ぶらしい。協会によると、今年の応募数は過去最多であった49万6997通から大幅に減少して25万8912通で、トッブの「金」は9156票だった。以下「輪」、「島」、「領」、「乱」だったという。「金」はシドニー五輪があった2000年にも選ばれている。金環食、ロンドン五輪の活躍、東京スカイツリー、山中教授のノーベル賞受賞などの金字塔が打ち立てられたことが選ばれた理由という(数値は秋田魁新聞)。

 漢字を含む日本語はとても素晴らしい言語だと思う。一つ一つの漢字の成り立ちに歴史があり,深遠な意味が込められている。

 私は「金」よりも「銀」の方が好きである。あの金さん銀さんのことではない。 
 「金」の色調はきらびやか過ぎて目に痛い。「銀」はソッと隠れて目立たないところが良い。それでいて存在感は十分であり色調も十分に美しい。「銀」は色調にもバリエーションがいろいろあるようだ。色から受ける印象は「銀」は深く、「金」は軽薄である。その軽薄さが巷に溢れている。食品や菓子のケースにも「金」が配色されているのが多い。印象としてハイクレードなイメージを与えるらしい。だから更に軽薄なイメージに結びつく。

 尤も、私は本物の金をそんなに間近に見たことがない。金閣寺、金色堂も歴史的建立物としての価値があるかも知れないが、権力者達の思惑が見え見えで軽薄である。日本人は金色を好むと言われているが、ハプスブルグ家ゆかりの宮殿、ヴェルサイユ宮殿等は金の装飾で溢れかえっていた。

 現在は金本位制でないが、金の財政上の価値は大きく、国家として備蓄もされている。そんなこともあって「金」と「銀」の間には明らかな格付けの差がある。諸外国ではどうなのか知らないがこれはわが国に顕著な文化かな?と思う。金賞、金婚式、金的・・これも巷に溢れている。純金風呂と言うような悪趣味もある。「銀」の立場は絶対的に弱い。そのことも含めて控えめな「銀」が好きだ。

 私が身近で使う物品のうち金色の代表は万年筆である。私は10数本所持しているがその多くはペン先が金色である。繁用しているパイロットとモンブランの2本は14Kであるが、両者ともペン先はほぼ銀色に近く、軟らかに光る。

 で、「今年の漢字」の「金」であるが、あまり良い選択だったとは思えない。私は「乱」が良かったと思う。


12/17 (月)降雨曇り・寒波 外来 
 2:00 起床、文献・新聞チェック、読書。7:00病院着。回診ほか、8:45-14:00外来、年末に向かって混雑,疲弊した。16:00帰宅、読書、室内で自転車、19:00夕食、20:30就寝。

ノロウイルス胃腸炎が流行 症状からなかなか区別できない 
 ノロウイルスは冬の感染性胃腸炎の代表的な原因ウイルスである。
 感染力が強く10−100ヶのウイルス粒子が口を通じて人体に入るだけで感染する。主に腸に感染して増殖したウイルスが便などとともに大量に排出される。感染しても免疫も弱く、短期間で別のタイプのウイルスに感染することもある。かつてはウイルスを合む生かきを食べるなどでも感染するとされたが、最近は感染経路がハッキリしないケースは多い。乾燥した便や嘔吐物が舞い上がって口に入ることも多い。ドアノブやテーブルなどに付着したウイルスが手を介して感染することもある。
 ノロウイルスに感染すると、24-48時間の潜伏時間のあと、嘔吐や下痢を繰り返す。多いと1日10回以上になる。通常は1−2日で症状は軽減する。小児や高齢者は時に脱水等で重症化する。2004年末から広島県福山市の特養護老人ホームで7人がしたケースが記憶に新しい。
 感染予防策は調理時の加熱、器機の消毒 、十分な手洗いである。この際、アルコール消毒は無効である。吐瀉物などの消毒には漂白剤を適宜うすめて使う。吐いたらハイターである。

 今年はノロウイルスによるとみられる感染性胃腸炎が早々と流行する兆しをみせている。感染研のデータによると過去10年で最も流行した2006年に次ぐペースで患者が増加し、特に関西と九州で多い傾向にある。厚生労働省は11月27日、感染防止策をまとめ都道府県などへ注意喚起を行っている。

 私も担当する外来で10数人の成人の患者でノロ性胃腸炎を疑った。病原体の検査は65歳以上とか、慢性の疾患があるとかの一定の条件にある患者にしか保険適応がなく、簡易検査が3000円ほど、特異性が高いPCR試験は7000円ほどかかるために、食品関係の職業についている方を除いて検査は行っていない。だから疑いである。

 対症療法以外に治療法がない。ノロ感染を前提に家族への感染予防を指導する。食品関係者の場合には社会的責任が大きいために積極的に検査を勧めて感染があれば休業とかの対応を進める。
 
 昨年も何例かあったが、今年も軟便程度だけ症状が殆どない食品関係者に「まさかノロではなかろうが、食品関連でもあるし、一応検査するか・」として検査を勧めた患者に、予想に反して陽性の結果が出た。

 要するに、ノロウイルスによる急性胃腸炎は激しい症状を呈するケースから殆ど無症状のまで幅広い。だから、この季節、特に流行期は明らかに他の原因が想定される様な場合を除いて鑑別なんて出来ない。だから、私はこの時期の急性胃腸炎はノロウイルスによる、として扱っている。

 外来業務としては単純であるが、診察後に十分手洗いしたり、診察機器、ドアノブ等を消毒したりと結構大変である。


12/16(日)降雨曇り 衆議院選挙投票日
 1:30 起床、新聞チェック、徒然などいつもと同じ。書籍の片付け、廃棄準備進める。15:00投票へ、18:45夕食、20:30選挙速報聞きつつ就寝。

衆院選挙(4) 自公で320議席超確保 民主は壊滅的敗北
 16日投票が行われた第46回衆院選は即日開票され、17日am2:00の段階で自民党が単独で衆院の過半数である241議席を大きく上回り、政権奪還を果たした。日本維新の会が第3党になった。みんなの党は8議席から倍増、日本未来は62議席から10議席以下に激減すると思われる。 

 民主党は公示前は230議席であったが60議席に届かず、3年3カ月で政権の座を降りることになった。

 菅前首相は小選挙区で敗北した。前首相の当落は比例があるからまだ未確定であるが落選すれば戦後初めてとなる。現職閣僚のうち、藤村官房長官、城島財務相、田中文科相、樽床総務相、三井厚労働相、小平国家公安委員長、中塚金融担当相、下地郵政担当相の8人が落選した。現職官房長官の落選は初めてで、かつ、現職閣僚の落選は8人で、これまでの3人を上回った。また、仙谷、平野の両元官房長官が落選した。

 首相指名選挙を行う特別国会は26日にも召集され、自民党の安倍総裁を首相に選出される。
 安倍氏は2006年9月に首相に就任したが、体調不良などで1年で辞任している。首相に返り咲くのは戦後では吉田茂元首相以来となる。

 安部氏は総裁に選出されてからの言動は随分目だった。すっかり自民党の顔になった。強い日本、領土問題での強硬路線を述べていた。また、経済対策では日銀への介入を含めてデフレ脱却を主張してきた。野田首相は3年の政権の中で成し得たこと、高校の無償化などを強調してきたが、この間の鳩山・菅前首相時代の失政の傷は大きく常に劣勢を強いられていた。

 選挙戦の前半で体勢はほぼ決定した。秋田1区も同様で民主党は明らかに劣勢であった。私は均衡状態の時と体勢が決まったあとでは異なった判断で投票する。今回は自民党の力を少しは抑制する方向になるように、当落には直接関与することのない候補者に投票した。


12/15(土)降雪・寒波 飯川病院午後日直 映画「それでも、愛してる」
1:00起床、何時もと同じ。文献検索、徒然他。掃除他廃棄物用意。12:00車飯川病院へ。12:15-17:00日直勤務。17:10シアタープレイタウン、 映画「それでも、愛してる」。 19:00帰宅。19:30夕食、20:30就眠。

映画評(59):「だれもがクジラを愛してる」
 12月2日に観た映画。
 
1988年のアラスカ州バローの氷海に3頭のクジラが閉じ込められた。クジラは息継ぎをしなければ生きていけない。氷の裂け目は一ヶ所しかなく、その裂け目は厳しい寒波の中で今にも氷結しそうで、そのままではクジラは数日で死んでしまう。地方TV局のディレクターは、その映像を局に送る。ニュースとして放送したあと瞬く間に全米に広がる。

 救出劇が展開されるが、それに関与したある事業家は広告と社のイメージアップ効果をカネに換算し、市長や政治家は人気取り、支持率を計算する。テレビキャスターの野心、大統領のイメージアップにつなげたいホワイトハウス、捕鯨反対のグリーンピースの運動家達、クジラを捕獲して食料にする原住民の立場や主張にも触れる。最後には米ソの首脳まで参加し、東西冷戦の終結を印象付ける一大イベントにまで盛り上がる。

 原住民であるイヌピアックが中心になって、氷の穴が氷結しないようチェーンソーで氷を削り続けるが厳しい自然環境の中、鯨救出は難航する。その間に子クジラは死んでしまう。

 送り込んだ大型の融雪器は厳しい自然の中で立ち往生し到着できない。現地では、次善の策として氷に順繰りに息継ぎ用の穴を開けて海まで誘導する。最終的に近くを航行していたソ連の砕氷船に協力を依頼する。この際、メンツを重んじるホワイトハウスは反対するが世論に負ける。砕氷船は、氷の壁へアタックを繰り返し、氷原と外海の間をつなぐ穴をつくることに成功する。
 これで2頭の鯨は無事に外海へ脱出できた。

 クジラの映像は息継ぎの場面、海中の様子も頻回に登場した。私は最後までどのようにして撮影したのか分からなかった。どうやってクジラを手慣らしたのか、コミュニケーションをとる場面をどうやって撮影したのだろうか。それらの映像には感動すら覚えた。最後の字幕にCG関連者と思われるスタッフ名がずらっと並んでいたから、すべてCGだったのかもしれない。そう言う目で各シーンを思い出してもとてもCGとは思い難かった。

 実話を元にドラマ調に仕立てた作品。本来好きなジャンルではないが、クジラの姿が魅力的であり、それに絡めた人間模様の扱いもとても良かった。原住民であるイヌピアックの生活もいろいろ参考になった。


12/14(金)降雨 大曲外来
1:30 起床。何時もと同じ。文献検索、徒然他。7:00車病院。回診、8:01こまち。8:45-15:00大曲中通病院外来。17:00帰宅、読書、新聞PDF化。19:30夕食。20:30就寝。

衆院選挙(3) ネット利用解禁を早く
 私は今回の衆議院選挙では候補者用の立て看板を1ー2ヶ所で見ただけ、それも他の選挙区の、である。選挙カーは一度遠くの方で聞こえたが、一度もすれ違っていない。立ち会い演説会?そんな企画があるのかも知らない。 TVやラジオの政見放送にも一度も遭遇していない。

 これは、通勤コースも決まっていて外出の機会もない私だけの状況であろうか。私の選挙情報の取得は全て新聞であった。ただ、新聞記事による情報の提供は紙面の制約もあって、政党や候補者が掲げる政策や主張についての情報を十分に知ることは出来なかった。政党の広告掲載は頻回に目にしたが、読者の目を引くために代表者の顔写真が中心で役にも立たない。

 従来の選挙のやり方では情報の取得は限られてしまう。もう時代は変わってきているのだからネット利用を解禁すべきである。ネットは情報を積極的に集めたい立場にいるものにとってそうした制約を補完できる重要な「道具」である。しかも、経済的にも有用であろう。最近の衆議院選挙は600-700億円とされている。これも税金から支出される。ネットならば経済基盤の小さな政党にも主張の機会が与えられる。若者にとっても有用であろう。

 しかしながら、現在は我が国では、インターネットを用いた選挙運動が、原則禁止され ている。ホームページやブログを開設して選挙運動を行うことも、また電子メールやメールマガジンを広く有権者に送信することもできない。だから、選挙戦公示日前夜から候補者たちのホームページなどは更新が一切なくなった。

 日本維新の会の橋下徹代表代行は「ツイッター続行」を宣言した。候補者でないからいいのだろうか。その判断は困難らしい。彼の動きに対して、藤村官房長官は5日の記者会見で、衆院選公示後もツイッターで発信を続けていることについて、発信者が候補者か否かとは無関係に適法性が問われるとの見方も示した。その際の判断は選管とかではなく、警察の問題とのことで彼は逮捕されるかも、と述べている。こんなことの判断は事前になされなければならない、と思う。

 世界を見渡せば、米大統領選を挙げるまでもなく、ネットは政治と民意をつなぐ重要なツールであり、政治の変革をも生む存在となっている。韓国でもネット利用が解禁されている。
 
 公職選挙法における選挙運動の方法は、印刷物等の文書図画によるものと、演説等の言論によるものに大別される。使用する文書図画は、法に規定される通常葉書、ビラ以外に頒布することが禁止されている。

 時代は流れている。こんな硬直した状況の中での選挙は今回で終わりにして欲しい。


12/13(木)降雪寒波 外来 大曲中通病院学習会講演 
1:10起床、新聞。文献読み。講演準備。7:00車病院着,回診他。8:45-11:10外来、11:54こまち大曲へ、13:15-14:30講演、16:24こまち、17:45帰宅。新聞他PDF。19:00夕食、20:20就眠。

人は同室者に気づかれないほど静に溢死できるのか?
 兵庫県警は昨日午前に一時間にわたって異常発見の経緯などを説明し、その中で管理上のミスはなかったことを強調した、と言う。管理上の責任などは死亡にいたる詳細が分からなければ言及できないだろうに、と私は思う。質問するマスコミに対応したと思われるが、気が早い。

 それにしても不思議である。全身状態が悪化し死を目前にした患者が看護師の見回り時に心肺停止状態で見つかることは少なくない。そのようなときには同室者も、付き添っていた家族も気がつかないこともある。これについては十分に理解可能である。

 私は、今回の容疑者の死亡には何らかの身体上の問題があった、あるいはその瞬間に生じたのではないかと思う。例えば、首の圧迫によるショック死など想定できるが、詳細は分からない。

 人は溢死するほどまで強く素手で自分で首を絞めることが出来るのかについては否定的である。溢死するには呼吸、循環が停止したあとも一定時間の圧迫が必要で、意識消失と共に手が離れてしまうからである。次ぎに、ヒモとかシャツとかを用いて上手く締め上げても維持することは無理で、苦しみの余り自分で解いてしまう。だから、溢死には何らかの補助的な力を要する、とされている。それは自分の体重を利用するのが一般的である。半座位でも可能とされる。ただ、自殺者の中には自動的に首を締め上げる道具を工夫して溢死を成し得た例もある。

 次ぎに、上手く気管が締まり頸動脈の圧迫による脳の循環障害が生じた際に死戦期に痙攣が生じるとされている。私が子どもの頃トイレで自殺した何人かの例について聞いたことがあるが、痙攣によってトイレが壊れる場合もあったと聞いた。更に、私も現場に呼ばれたこともあるが、鬱血によって顔面にはいろいろ変化が生じている。
 検察官として死刑執行に立ち会った元最高裁検事で筑波大学名誉教授の土本氏は数分間にわたって宙を蹴るような痙攣が見られ、正視に耐えなかったと述べている(朝日新聞2012年8月12日)。

 果たして、布団の乱れもない状況で、寝息が聞こえなかったことで異変に気づいた、とすれば本当に驚きである。索条溝の方向や強さなど、司法解剖の結果とかの情報が欲しい。


12/12(水)曇り・降雪若干 除雪機(旧)使用一回目 外来 北朝鮮ミサイル打ち上げ
 1:45起床、医療文献PDF化、書類整理淡々と処理。文献・新聞読み。降雪7cmほど、 5:30-6:10旧除雪機で一回目除雪。ペットボトル廃棄。 7:00車病院。回診その他入院業務。8:45-13:45外来、混雑。16:00帰宅、北朝鮮ミサイル打ち上げ 新聞読み、夕食,20:15就眠。

北朝鮮(4)北朝鮮ミサイル発射 人工衛星の打ち上げに成功?
 しばらく延期かと思われていた北朝鮮のミサイルが発射されたことを帰宅後に知った。驚いた。TVニュースによると、朝鮮半島の西側の黄海にいた韓国のイージス艦が午前9時51分に北西部・トンチャンリの施設から発射されたのを察知したのだという。
 北朝鮮は、12日午前、人工衛星の打ち上げた、と長距離弾道ミサイルを発射し、予定された軌道に衛星を乗せたと発表している。

 要するに、今回の打ち上げは成功したということで、1段目2段目共に予定の海域に落下し、わが国を始め被害はなかったらしい。

 私は今回の北朝鮮のミサイルは諸外国、特に日本、韓国に向けての示威的なものと予想していたから、実際に発射されたので大変驚いた。しかも、昨日あたりは打ち上げの延期まで発表していたし、韓国の情報からは修理のため?に一段目を撤去したらしいという情報もあったから、突然の打ち上げでびっくりした。ここでも欺かれてしまった。私は北朝鮮の技術力、それほど情報はないのであるが些か甘く見ていた、と言うことである。

 実際に打ち上げたからには国際的に批判の種になるだろう。

 わが国にとって近隣国である北朝鮮は一層驚異的存在となった。ミサイルはわずか10分で到達する。従来のミサイル発射はやみくもに撃ったとの印象であったが、今回の発射で技術的にかなり改良されたであろうし、標的の設定も可能になったと考えるべきであろう。核開発についても2006年に地下で実験の成功させているなど予断を許さない状況にある。

 野田首相は関係国と協議の上で、との姿勢であるがもっと具体的な対策も必要になっていく。韓国、わが国の選挙に及ぼす影響も大きいだろう。

 もう一つのニュースにも驚いた。尼崎市の連続変死事件で、容疑者(64)が留置場で自殺したという。2名の同室者がいたが気付かなかったという。どういう状況だったのか、これについても理解が困難で、心底驚いた。


12/11(火)降雪若干、融雪  外来 
1:00起床、文献・新聞などPDF化。講演準備。7:00車病院着。回診、8:45-13:30外来。15:55帰宅、明朝廃棄のペットボトル準備。文献読み・新聞などPDF化、読書。17:00夕食。 20:00就寝。

医師と患者関係(8)私にはもうかからない方が良いょ
 私も歳になった。もう医師としての力はなくなった。
 いま、大曲の職員向けに講演準備中であるが、大曲の外来を手伝って感じるのは医師としての能力不足、知識不足である。かつて「お前が医者ならトンボも飛行機・・」などと、若い医師達を指導してきたが、この言葉を自身に向けて発しなければならない状況になってしまった。

 医師として約40年、長く診療を続けていけば徐々に職業上の考え方も変わっていく。
 青年医師の頃は血液の分野の仕事を中心にひたすら攻めの医療を行ってきた。中堅時代は、医療は万能ではないどころか患者を不幸にする可能性もあるから、引くべき時は引いた。それでも患者に対して少ない可能性を求めた医療も行ってきた。この間、一般内科医として広く浅く勉強してきた。私は最後の数年間は勉強する機会が少なかったので、そのレベルダウンは顕著である。 

 今も学ぶ意欲は落ちていない。しかし、知識も臨床力も時代遅れになった。自分の仕事に自信が持てなくなってきた・・と、言うより、自信を持つのは患者にとって害になるから持たない方が良い。だから、対応が難しい患者はソフトに、他の医師に回るよう勧めている。幸い、私共には有能なスタッフが控えている。

 一般的に中堅以上の医師は、「勤務医の仕事はきつい・・」、「高齢になって視力も体力も落ち、手術は辛くなった」、「健康面の不安が・・・」などなどの悩みをかかえているらしい。そうは言っても簡単には道を変えられるものではない。私は自身の「気力の減退」を第一にあげたい。「気力の減退」は治療を含め診療全体に影響を及ぼす。

 外来通院中の患者は幸いにも現状では殆ど心配はない方々ばかりである。最近は機会ある毎に 「私にはもうかからない方が良いょ、別な先生に替わりましょう」と言っている。患者達は私の力不足は分かっているようだが、それでも患者は減らない。一体私は何なんだ、とも思う。

 今後は、患者に迷惑をかけないように診療から徐々に身を引いていくつもりである。ただし、これは私だけの感覚である。


12/10(月)降雪寒波 看護学院講義 書類処理多数
1:10 起床、本読み。文献・新聞などPDF化。6:50車病院着。8:50-10:20看護学院講義、以降書類処理に集中。16:00帰宅、道路はシャーベット状で滑った。文献読み,読書。16:45夕食、20:15就寝。

自由人(18) 他人の生活と比較することなく、汝自身の生活を楽しめ
 「他人の生活と比較することなく、汝自身の生活を楽しめ」はフランス思想家コンドルセのことばである。

 12月13日は大曲中通病院で職員向けに講演をすることになっていて準備をすすめている。演題は講演を計画してくれた総師長から提案で「医師として嬉しかったこと、悲しかったこと」でこれをメインに「いい生き方、いい死に方」についても言及することにした。ところが、旧知の職員方を相手にホラを吹くわけにも行かず、これが結構難しい。

 「医師として嬉しかったこと」は、やはり第一には患者の治療に自分で納得できたか否か、患者や家族に満足していただけたかが第一であって 「悲しかったこと」 はその反対の結果の時であることは論を待たない。それに加えて前者には秋田大学、現在の病院で私の心に残っている小さな業績もある。

 結局、「医師として悲しかったこと」について細かいいろいろなことを挙げることも出来るが、多忙な時間を通じて失ってしまった自己研鑽のための時間なだったのではないか、と思っている。ただ、いままでは選択できるような状況になかったし、その状態の中で自分があったのだからウジウジと振り返ることはしない。

 だから、上記のコンドルセの言葉である。
 社会の第一線から退いた今、私は積極的に周辺との関連を切ってきている。その結果として、他人のありようを見ても何も感じなくなった。私は自意識過剰人間であったがやっと解放された。人それぞれに与えられている条件は違っている。だから、人は人、自分は自分の生き方で行く、それでいい、と割り切ることが出来ている。

 私は「いまの私は皆さんが知っているような私ではありません・・」と、この辺のことを講演ではつらつらと語ってみようと思っている。


12/9(日)降雪冠雪4-5cm、寒波続く
2:00起床、新聞文献チェック、PDF化。講演準備。午前は洗濯掃除など手伝い。微睡後薪ストーブを用いている蕎麦やで見学を兼ねて外食。家内が希望しているがわが家での導入は困難だろう。明日の看護学院の準備。19:00夕食、20:30就寝。

医師と患者関係(7)物忘れ、かすみ目、腰痛、頻尿などの訴えを聞くのも心楽しい
 私は50台の後半から、アキレス腱を切ったり、激しい腰痛に悩んだり、不整脈が続いたり、膀胱頸部硬化症の悪化があって手術を受けたりした。次いで、肺がんが濃厚に疑われ、人生もここまでか、と諦めかけたこともある。本年10月には腸閉塞のために手術した。そのわずか3週間後には脳梗塞を経験した。私はかなり幸運に恵まれているらしく、全て事なきを得て仕事に復帰している。少なくとも本日までは元気である。

 私は講演や健康講話では、個人差は大きいが、人は50歳過ぎる頃からは大なり小なり障害を抱えて生きていかねばならない、長生きするにはそれなりの苦しみが伴うのであり、覚悟が要るのだ、と解いてきた。

 人は年齢を重ねるにしたがって、からだのあちこちに貝合の悪いところが出てくるものである。これまで快適だった生活が徐々に不自由になっていく。どうにか回復しないものかと、人それぞれにいろいろなことを試みているようである。

 新聞、雑誌等でいま最も広告面が広いのは健康関係の食品だったり、ドリンク剤、特定保健用食品だったり、健康器具だったりする。これらの広告の対象者は、楽して問題を解決しようとするユーザー達であるが、楽しながらいい結果を得ようとしてもほぼ無駄である。ほくほく嬉し顔はこれらの関係業者だけである。

 私はいろいろ試してみればいい、と思う。金をかけながら、だんだんと現実を認めざるを得なくなっていく。バランス良い筋トレ、ストレッチ、ラジオ体操も良い。歩くのがベストかな、と思う。
 
 私の担当する外来ではこの様な悩みを抱えている患者が多い。物忘れ、かすみ目、腰痛、頻尿、などなどの訴えは聞く度毎に心楽しく感じられる。やっと高齢の方々と状況を少しばかり共感できる様になった、と言う事である。「時に治し、常になぐさめる・・・」は結核の治療法がなかった時代の先人の言葉であるが、そんな心境である。

 人の悩みごとを見て嬉しがっているだけでは片手落ちである。だから、私は自らの経験や問題点も提示しながら、共感しているふりをする。そう言う会話の中で、老いていくのは自分一人だけではないのだという事を感じ取って欲しい。そして、"中年病、高齢者病"と共存しながら生きていかねばならない自らを、肯定できるようになって欲しい、と願っている。


12/8(土)雪寒波 
1:00起床、新聞文献チェック、PDF化。講演準備。午前から家中の片付けなどに。居間のメインのオーディオ機器再編、調整など。自転車室内トレーニング用に改変など多忙に過ごす。20:00夕食、21:00就寝。

衆院選挙(3) 社会保障と税の一体改革はどうなっている
 社会保障と税の一体改革は、消費税が増税されることが決まったところで具体的内容が国民の前に提示されることは少なくなった。一体改革の柱は、社会保障の見直しと消費税引き上けの二つからなると主張されてきたのに、である。
 だから、国民の多くは消費税が増税がされたのだから社会保障も良くなっていくと思い込んでいるのではないだろうか。

 社会保障の具体的な見直しについては「国民会議」なるものに委ねられ、来年8月頃までに結論が出されることになっている。「国民会議」の人選は自公民で決められ、問題がある。多分、政府の思惑が濃厚に反映された結論になるだろう。
 社会保障見直しの目的は消費税増税後に公費を増やし社会保障を充実させることではない。だから、社会保障の給付は消費税増税後にもあらゆる分野で切り下げられていくと考えられる。

 現に、解散間際の臨時国会で2.5%の年金削減も決めたが、いままでも年金は毎年減額されており、支給年齢は先延ばしにされている。医療面では負担を増やして受診を抑制し、介護面では軽度者からサービスを取り上げる、などなど計画されている。
 具体的には
■70歳から74歳までの医療費、窓口負担1割から2割へ(2千億円削減)
■外来通院患者数 5%減(1.200億円削減)
■入院日数の短縮(4.300億円削減)
■要介護認定者 5%減(1.800億円削減)
■年金の支給開始を65歳から68-70歳に延長(1歳引き上げで5干億円削減)
■外来受診時定額負担導入の再検討。
などである。

 上記の如く、消費税は上がっても社会保障はよくならない。税と一体改革というのは耳あたりが良いように言葉をカップリングさせた、政治的手法である。かつての消費税引き上げの際にも福祉の充実が言われてきた。しかし、実態はどうか。消費税が導入されて23年、その間に低医療費政策のために医療費窓ロ負担は次々と引き上げられ、年金は減額され、支給も繰り延べされてきている。介護保険も見直しの度にサービスが減らされている。医療や年金、介護などの社会保険料も引き上げられている。

 選挙公約の中で社会保障に言及している政党や候補者が多い。公約は本当なのか?
 今回の選挙は投票日までにじっくりと各候補を観察させていただく。


12/7(金)曇り・氷雨 大曲中通病院外来
1:30起床、本読み、医学文献チェック。6:00ゴミ捨て。7:00車病院。8:05こまち、8:45ー15:00大曲外来。4:30帰院、17:30帰宅、道路軽く冠雪。19:30夕食、 20:20就眠。

衆院選挙(2) もう政権交代は決まっているのか?
 メディアがそろって、今回の避挙の注目点は「政権交代」、即ち、民主党政権の継続か自公の政権復帰かの選挙ととらえている。そして、恐らくは再度の「政権交代」がなされるだろうという論点で選挙を報じている。すぐに政権にかかわらない政党はそれほどの意味がないかのように、扱っている。

 政権交代を中心に据えて論じることは選挙の意義を不明瞭にし、国民を民主・自民党型政治の継続に役割を果たす。確かに第三極と言われる政党が主張していることは私にもまだよく分からない。第3極と言われる方々にとっても第一の争点は二大政党に対しての政策の主張であって、互いに小異を取り上げて批判しあっているのも見苦しい。どうやって民主・自民票を奪うことが主眼であるはずなのに、この状況では第3極間で少ない票を分け合い、共倒れの結果になる可能性が高い。
 
 選挙の目的は政権を選ぶことだけではない。前回の総選挙はそのような状況でおこなわれた。第一義的にはそれもあるだろう。しかし、選挙は政策よりも人気投票の意義が大きい。そのような流れの中で態勢が決まってしまう。だからこそ、何よりも自分たちの願いを届けてくれる議員を選ぶことである。

 メディアの報道を欠いては各政党の政策や候補者の主張を知ることは出来ない。これらの情報を評論無しに正確に示して欲しい。 メディアの報道の仕方によって世論が操作されている。それがメディアの恐ろしさでもある。


12/6(木)曇り・氷雨 外来
2:00起床、本読み、徒然他。7:00車病院。回診他。8:45−14:00外来。16:00帰宅、読書他、夕食、20:20就眠。

どうして古い音源を珍重するのか?
 私は最近はTVも見るようになったが、主にラジオを中心に聴いている。その中ではNHK-第一放送とFM放送が中心である。今は前者が多い。民放番組は概して喧噪で好まない。NHK-第一放送でも日曜午後の山田邦子氏が出るバラエティ番組は相当にうるさい。

 NHK-FM放送は音質が良好なので音楽番組が多い。海外の演奏会の実況録音とかが流され、聴き応えがある。勿論CDとかの音源も用いられる。一方、AM放送でもクラシック音楽を流す番組がある。日曜am8:00他、夕方にも、ラジオ深夜便にも適宜番組が組まれている。そこでは比較的高齢の評論家とされる方が登場し解説等行う。この際、何故か古い録音が用いられる。あるいはディレクターの好みの選択と思われるのもある。

 これは本日朝のラジヲ深夜便の2:00-3:00に「クラシックへの誘い:バイオリン名演奏家の調べ」として放送された曲である。
■ディニーク:ホラ・スタッカート ヤッシャ・ハイフェッツ
■クライスラー:ウイーン奇想曲 作品2 フリッツ・クライスラー 
■パガニーニ:協奏曲 第2番から 第3楽章 ルジェーロ・リッチ
■ベートーベン:ソナタ 第7番から 第1楽章 アドルフ・ブッシュ
■モーツァルト:ソナタ 第40番 第3楽章 エリカ・モリーニ
■ファリャ:スペイン舞曲 第1番  イダ・ヘンデル
■エルガー:気まぐれ女 作品17 ヨゼフ・ハシッド
■チャイコフスキー:ヴァルス・スケルツォ  ダヴィド・オイストラフ
■ヴィエニャフスキ:協奏曲 第2番 第2楽章 ヤッシャ・ハイフェッツ

 これらの多くは名盤と言われているが、半世紀も前のモノラル盤あるいはSPからの復刻版で質的に聴くに堪えない。好事家が楽しむには良いだろうが、こんな音源を名盤として紹介する方々は古き良き時代から進歩が止まっているに違いない。

 今はすぐれた演奏、録音の音源が沢山あり選択に困らないはずである。評論家と言われる方々は更にすぐれた演奏を発掘して紹介して欲しい。何時までもハイフェッツ、グールド、フルトベングラー、カラヤンではないはずである。先週のam8:00はリパッティを紹介していた。
 
 私にとっては名盤としての評価が高い録音だとしても「文献的価値」しかなく、「間に合わせ的」に楽しむ音源としか考えていない。
 演奏会に勝るのもはない。それらは呼吸し、拍動している生きた演奏だからである。


12/5(水)終日曇り 外来 
12:00ミーシャ死去。そのまま起床、文献新聞チェックPDF化。4:00微睡若干、7:00車病院着。回診,8:45-14:10外来。16:00帰宅、ミーシャ裏庭に埋葬。新聞チェック、19:00外食、 22:00就眠。


わが家の第3番目の飼いネコ、ミーシャ(2) 逝く





本日未明、闘病中だったミーシャちゃんが静に旅立ちました。午後、裏庭に丁寧に埋葬しました。


12/4(火)曇・寒  外来 
1:30起床、文献新聞チェックPDF化。5:45ゴミ出し、7:00車病院着、患者対応。8:45-13:00外来。16:00帰宅。データ整理、夕食、20:30就寝。夜半に飼い猫ミーシャ死去。

サルではカロリー制限に寿命延長効果は認められない
 現在の所、寿命を確実に伸ばす方法は恐らくカロリー制限のみだろう、と私も健康講話でずっと話してきた。そのデータは人間で得られたのではなくマウスのデータから推定されたものである。マウスなどの小さな動物は自由摂取よりも3分の1ほどのカロリー制限をすれば寿命が延びることがわかっていた。

 一方、霊長類等の寿命が長く、人間に近い動物の場合、カロリー制限の結果どうなるかが興味をもたれていた。本年8月に英科学誌ネイチャーに報告されたデータはサルにはカロリー制限に寿命延長効果がないことが明らかになった。

 この研究は米国国立老化研究所の23年にも及ぶ研究の結果である。120頭の赤毛サルを自由摂取群と食事制限の群の2群に分けた。後者ではカロリー摂取量が3割ほど少なくしている。 現在はこれらは50頭以下に減ったが、寿命において両群の間には優位な統計的差異がなかった。また食事制限されたサルたちの場合は、ガンのリスク軽減や心臓血管の病気の快復などについていくつかの利点も観察された、と言う。

 この結果はウィスコンシン国立霊長類研究センターが2009年に発表した、サルにおいてカロリー制限が長寿につながったと言う報告と対照的な結果である。ウィスコンシンの研究では普通の食事をとっているサルはカロリー制限されているサルのグループよりも糖分摂取やなどが多く、結果的にこの群では糖尿病にかかりやすくなっており、その結果としてカロリー制限群の寿命が延びた、と分析されている。

 正確に比較したわけではないが米国国立老化研究所とウィスコンシン国立霊長類研究センターの研究デザインの間には多少の違いがあるように思える。どちらにせよ結果の判定までに20年以上もかかるという根気のいる研究である。檻に入れておけばいいと言うものでもなく、食事制限以外はより自由な環境に置かなければならない。霊長類であるだけにストレス等の因子、遺伝的な因子なども関係してくると思われる。

 どちらにせよ、私ども人間にとって不自然なほど継続的にダイエットしても、努力の割に成果が少ないだろう、とアカゲザルが教えてくれている。


12/3(月)曇り小雨 外来 
1:30 起床、文献・新聞など。7:00車病院着。回診他対応、8:45-13:00外来,比較的余裕。16:00帰宅、新聞チェックPDF化、蓄積データ整理。夕食、20:15就寝。

衆院選挙(1) 明日公示  
 あす12月4日は衆院選挙の公示日である。16日の投票日に向け、激戦が始まる。この選挙に向けて第三極の動きが注目されているが、政党が現れては消え、代表も目まぐるしく変わり、かつ、政策も思い付きのように乱発され、私は一体どうなっているんだ、と思う。

 2009年は民主党が「政権選択」を掲げ、約300議席を得て圧勝した。念願の政権交代は実現したが、それは民主党の政策が優れていたからではなく、自民党が余りにも情けなかったから起こりえた政権交代であった。マニフェストに記載された事項は最初から破綻することが予想されていたにもかかわらず、国民が何とか変化が欲しいと求めた結果の政権交代であった。

 その後の政局運営に失敗した民主党は、失敗の実績を語ってくれるだろう。それに対して与党から下野して復権を狙う自民党の改革は何か形に見えるだろうか。私には、安倍氏の突出した言葉だけのように見える。
 今回は明確な対立軸がない選挙と言われているが、そんなことはないだろう。

  この20年間の経済の低迷は、貿易立国として隆盛を得たわが国が迎えるべき構造的諸問題にある。そんな中で経済対策をどうするのか? デフレ対策は? TPPをどうするのか? 原発政策は? 東日本大震災からの復興対策はどうする? 中韓との紛争については? 沖縄米軍基地をどうする? 社会保障と税の一体改革得制度、後期高齢者医療制度の問題は? 予定通り14−5年の増税が可能なのか? 2050年には国民の4割が高齢者になるが、そんな中でどう日本を再生させるか?・・・対立軸は目白押しである。しかし、両陣営共に肝心なところでは言葉がハッキリしない。互いに言葉尻をとらえて批判しているだけ。双方の代表とも党内をまとめきっていない。

 新党が続々と生まれ、要件を満たすだけで12党前後がひしめく。民主、自民の二大政党対決に中小政党が挑む構図だが、しかし、私は民主、自民の再度の政権交代劇で終わる可能性が高いと思っている。中小政党の政策についてはまだよく分からない。投票日までにジックリと検討する。

  本県の3選挙区には14人が立候補する予定と報じられている。
 転機に立つ日本の、今後の在り方を決める大事な選挙になる。今回の総選挙では、投票は吟味に吟味を重ねておこなねばならない。


12/2(日)曇り・小雪 秋田初冠雪 飯川病院日直 映画「誰もがクジラを愛してる」
2:00起床、新聞文献チェックPDF化。録音文献データ整理。8:30-17:00飯川病院日直、19:00帰宅、夕食、20:15就寝。山梨県の笹子トンネル崩落事故、犠牲者は少なくとも7人。

「野村万作・萬斎 狂言の世界」秋田公演  
 狂言は猿楽から発展した伝統芸能で、能は面を使用し舞踊的要素が強く抽象的表現が多い。一方、狂言は猿楽の持っていた物まね・道化的な要素を発展させ、能よりは遙かに分かりやすい。能と狂言について私はこの程度の知識しかない。

 その狂言の公演が秋田でもあるという。何でも観てみよう、味わってみようという立場から、「野村万作・萬斎 狂言の世界」のチケットを購入した。「野村万作・萬斎」の名も聞いたこともないとスタッフに話したところ、「クラシック音楽の世界から言えばさしずめカラヤンのような存在ですよ」と言われて驚いた。カラヤンに例えたのも驚いたが、そんな著名な方々の公演かと驚いた。無知とは恐いものである。

 配布されたパンフを見ると、野村万作氏は人間国宝である。満齋氏はその長男で狂言のみに止まらず広く活躍されている有名人でもあった。文化会館は満席であった。音楽会など秋田ではガラガラな事が多いのに、と驚いた。

 舞台装置は8畳ほどの白木の台を置き、それを舞台と見なし、更に花道があるだけ。木が3本あったが、少なくとも能における松の木ではなかった。

 演目は野村萬斎氏他よる「蚊相撲」、万作氏らによる「棒縛り」の2本。

 「蚊相撲」は雇った家来と相撲の腕試しをしたが、血を吸われてふらふらする。大名は相手が蚊の精だと気づき、大きなうちわで風を送り蚊のくちばしを引っこ抜いて勝つ、という話し。
 「棒縛り」は所要で外出する大名が、留守中に酒を盗み飲まない様に太郎冠者を後ろ手に縛り、次郎冠者を棒と手を縛りつけてしまう。両人は酒蔵に忍び込み、縛られたままで協力して交互に酒を飲む、と言う話し。

 会場は演者らの台詞、仕草等に笑いこけた。しかし、私には何がおかしいのか、何で笑っているのかサッパリ分からなかった。滅多に秋田で味わえない狂言を秋田の観客が何故これ程楽めているのか、それも分からなかった。しかし、古典芸能を味えたという満足感は感じ取れた。

 14:00開演、途中15分間の休憩があって15:45に終了した。実質1時間半のコンパクトな公演であった。


12/1(土)曇りのち雪、寒波 「野村万作・萬斎狂言の世界」
2:15起床。いつもの如く資料整理中心。午前は庭の柿もぎ。低い枝の柿だけしかとれない。まだまだ鈴なり状態であるが、危険で1/3ほどで諦めた。発泡スチロールなど大量に廃棄。14:00ー15:45文化会館 「野村万作・萬斎狂言の世界」を観る。19:15夕食、20:30就寝。

秋田市の行きつけの映画館「シアタープレイタウン」が閉館する 
 秋田市の南通亀の町で唯一営業していた映画館「シアタープレイタウン」が、デジタル映写機の導入が困難なことなどを理由に、12月24日で閉館する。

 私にとって、まだ一年余にしかならないが、映画「マーラー・君に捧げるアダージョ」を観た後で、映画の持つメッセージ性に気づき、しばらく映画にひたってみようと思い立った。以降、自分自身で作品を選択することなく、スケジュールが許す限り全上映作を観ようと毎週末に当館に通っていた。

 私にとって、映画はまだ未知の部分が多く難解である。楽しめない作品の方が多い。それでも得られるものは大きい。更に更にいろいろ観なければ、と考えていた矢先の私にとって閉館は残念至極である。

 大画面と暗さ、画面に集中するか寝るかしかない環境だから集中出来る。自宅で30インチ程度のTV画面で見るのとは大違いである。

 支配人の方と若干言葉を交わすことがあったが、時代の波に乗りきれず閉館しますと言うことであった。数年前から配給会社のフィルムによる配給が減少し上映がままならなくなってきていた。同館でも映写機のデジタル化を検討したが、切り替えに一つのスクリーン当たり約1干万円も掛かることから、現在の週約100人程度の観客では採算が取れないことから断念したという。

 シアタープレイタウンは2003年5月にオープンした。当初から他館とは一線を画し、国際映画祭で入賞した評価の高い作品や、社会的問題をテーマにした作品を取り上げてきたと言う。原則的に週末の金ー日曜の3日間の営業で、かつ、2009年からは年明けの2ヶ月は暖房費が掛かり増しとなるために休館にするなどして何とか経営をしてきとのことである。

 シアタープレイタウン閉舘で、80年近い歴史を刻んだ映画館街の灯が消える。とても寂しい。
 あと4作品しか見れない。明日は飯川病院の日直であるが、日直後に「誰もがクジラを愛している」を見に行こうと思う。


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