徒然日記
2009年5月分

 日記と言うより、自分の行動記録からの抜粋と日々の雑感です。

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5/31(日)県南・県中とも小雨 野鳥を求めてうろうろ
1:00鷹ノ湯にて起床、朝まで本読み、文献チェック、新聞処理、微睡み、入浴頻回などなど。8:00朝食、10:00鷹ノ湯発、雄勝中央病院に立ち寄る。横手は秋田ふるさと村、県立近代美術館に。16:30帰宅、午睡若干、講演準備等、18:00病院。21:00帰宅、夕食、22:00就眠。突然の計画に戸惑ったが、秋田を離れゆっくり出来た。明日からが問題。

カペライストロポリターナ、西崎崇子氏とモーツアルトのCDで再会
 不在だった家内が知り合いの方から10枚組のモーツアルト100と言うタイトルのCDを戴いて帰宅した。
 モーツアルトの膨大な作品の声楽以外のジャンルから100楽章選曲された、どちらかというとイージーリスニング的製品である。これは家内と言うより実質的には私が戴いたようなものである。私からも感謝の意を伝えることとした。

 このCDは多数のCDの良い所取り、寄せ集めなので数多くの演奏家によっているが室内楽部分の殆どを担当しているのがカペライストロポリターナで、しばらく忘れていた楽団だけにとても懐かしく思った。ヴァイオリンのソリストは大部分が西崎崇子氏である。この方についても同様である。

 同楽団の演奏会は2006年3月18日秋田市アトリオン音楽ホールにて開催された。南米あたりの楽団か?何か面白そうな気がして急に思い立って聴きに行った。ヴィヴァルディの「四季」他を楽しく聴かせてくれたことを思い出す。

 てっきりラテン地域のバンドだと思っていたが、実際にはスロヴァキア・フィルのメンバー15人により結成された楽団とのことであった。終了後、演奏会の記念に、モーツアルトとバロック集の2枚のCDを購入した。なかなか良い録音で時折楽しんでいたが、聞くところによるとモーツアルトの曲も沢山録音しているとのことで、いたく興味を感じていたが入手の機会もなく半ば忘れてしまっていた。

 それが、この楽団がこの全集の中に3-4割分の曲を担当していた。とても良い録音で音質が良く、テンポはやや遅めで私の好みであり、とても快適である。

 早速この10枚のCDをiPod shuffleに全部入れ、昨日から楽しんでいる。ちなみに10枚の演奏時間は100時間を超すが私の3GBのiPod shuffleのうちで容量の40%も占めていない。これほどの音楽データを、音質をそれ程損ねないで圧縮するなど、すごい技術である。
 化粧箱入りの10枚のCDは厚さが2cmとかさばるが、僅か15gほどのマッチ箱の半分ほどの機器に全部入ってしまい、なおかつ余裕があるというのは驚きである。

 ヴァイオリンのソリストは大部分が西崎崇子氏であるが、この方ほど膨大な録音を残している独奏家は国際的にみてもいないのではないかと思う。私はCDで聴く機会の多い演奏家と言うことになる。総じて良い演奏である。この方は何故か日本での演奏歴は少なく、国内ではあまり知られているとは言えない。この CDを通じて驚きを持ってその存在を再確認した。


5/30(土)曇り・雨 病棟拘束 家内帰宅 県南に野鳥を聴きに
2:30起床。ドック総括x1他。5:20病院着。6;30回診他。病棟業務他、8:30救急カンファ。12:00に11日以来不在だった家内が 20日振りに無事帰宅。そのまま野鳥の声を聴きに県南に。秋田道を十文字で降り、川連、湯沢を経て、17:00予約していた秋ノ宮温泉郷の鷹ノ湯着、 18:00夕食、睡魔の中の運転で疲れ果てて直ぐに熟睡。

サイズ(2)小さいことは良いことだ 録音機VJ-10とR-09HR 再生器iPod shuffle
 大きいことは良いことだ。24インチTFTディスプレイには満足である。 
 一方、サイズという点では昨年来とても小さくなったのが私の録再器である。オリンパス製のラジオサーバーVJ-10、Roland製の録音機R-09HR、それにiPod shuffleが連日大活躍している。

 FMエアチェックと言えば、かつては音楽中心で、大型のオーディオセットでMD に録音していたが、MDも200枚以上になると管理が大変である。そのために昨年11月にオリンパス製のラジオサーバーVJ-10を購入した。これはハー ドディスクを内蔵した手のひら大のラジオでMP3モードで録音できる。VJ-10単体でも1.200時間分録音可能だから録ってもデータ以外は何も増えな い。特音データの検索もとても簡単である。

 生録用の録音機はカセットデンスケからポータブルMDに替えたが、更に昨年 Roland製の録音機R-09HRに替えた。これ更にサイズはカセットテープ大と大幅に小さくなった。これもMP3モードで録音出来るから、録っても データ以外は何も増えない。鳥の鳴き声の録音、講演会や会議等で活躍している。

 これらVJ-10、R-09Hの録音データの再生に活躍しているのがApple 社のiPod Shuffleで、マッチ箱程度のサイズで僅か15gである。1GBの小容量の方でもラジオ深夜便心の時代なら一月分まるまる入ってしまう。これをヘッド フォンのアームに取り付けて聴く。ノイズキャンセル機能付きのヘッドフォンは私の必需品であり、時に静寂を聴き、時にShuffleの録音データを聴く。
 一昨年前までなら従来の録再器を大きな鞄につめて移動していたが、今ではディバックにまるまる収まってストレスもない。

 目を使う機器は「大きいことは良いことだ」の様であるが、耳を使う機器は、いつでも、何処でも気軽に録再出来ることが必要である。だから「小さいことは良いことだ」、である。


5/29(金)快晴 ドック診察 院内新型インフ対策委員会 新型インフ蔓延期小児科医療県内病院間連携協議会
2:30起床。ドック総括他。5:20病院着、退院書類準備。6:30回診他。8:00救急カンファ、机上書類処理、14:00ドック診察4名、 13:30No3院内新型インフ対策委員会。市保健所スタッフ来訪打ち合わせ。18:30新型インフ蔓延期小児科医療県内病院間連携協議会。県健康推進課と打ち合わせ。21:30帰宅、22:00就眠。

サイズ(1)大きいことは良いことだ 24型ディスプレイ
 仕事上、診療時間、会議等の時間以外の大部分はパソコンのディスプレイに向かっている。
 パソコン初期には12インチとかの今から見れば考え難いようなミニディスプレイでそれなりに仕事をしていた。

 徐々に目が疲れるようになり、14、15,17,19と徐々に大きなサイズのCRTに乗り換えつつ用いていたが、17インチ以上になるとCRTでは図体と重さで取り扱いも面倒、消費電力もかなりのもので心を病むようになった。ちなみに、19インチのCRTは重さが24Kg、消費電力が360W/hであった。
 それで、徐々に普及し、価格も下がってきたTFTディスプレイに徐々に交換していった。

 最近まで、自宅と職場では19インチTFTをメインに用いていたがそれでも不満足となり、2ヶ月ほど前に職場用に24インチTFTを購入した。

 購入の直接の切っ掛けは、ケチな私である、何と言っても価格であった。驚くほど安い製品があることを知った。4-5年前なら両目が飛び出るような価格で到底買えないレベルであったが、今回購入したのは、何と送料込みで2万円を僅かに越えた程度である。あまりの安さに今度は仕様や特徴を信じて良いものなのか悩んだ。しかし、目が疲れるようになったのも事実であり、何とかしなければと数日悩んだうえで結果的に購入した。

 LG社FLATRON W2442PAと言う機種でmade in Koreaであった。
 MacPowerbookにつないで画像が出るまでは正直なところ心配であったが、結果的に大満足した。画像を扱う様な方々にとっては問題はないわけではないだろうが、文章書きに使う目的では微細なところ等どうでも良い。私にとっては100%満足と言っていいレベルである。最大解像度1920x1200 重さが9Kg、フル使用時80W/h、待機3W/h以下で、これも心の安息につながる。

 Powerbookの液晶と並べて3画面常に開いておけるのもとても便利で複数の仕事を画面上で切り替えることで進められるのが良い。文章を書く時には 3ページ横並び出て維持できるから短文なら全体をみながら構成できるのが良い。目が疲れてきたら表示サイズを上げれば大きな文字を表示させて作業が出来る。自作でキャスターも付けたので机上をほぼ自由に移動させられる。だから横幅の割には邪魔にもならない。

 最近、「大きいことは良いことだ」を経験した。


5/28(木)秋田快晴・東京小雨  第3回都道府県医師会「公益法人制度改革」担当理事連絡協議会
3:10起床。文献チェックほか。5:10病院着、徒然送付。6:00回診他。8:00救急カンファ。指示書、紹介状など。9:30病院発、 10:10空港で面談1件、10:35ANA 767-300後席は30%ほどと余裕。浜松町書店5冊購入。14:00-16:35日医師会館、第3回都道府県医師会「公益法人制度改革」担当理事連絡協議会。法律その他、難しい話題。20:0035ANA 767-300後席は10%ほど余裕。21:10秋田着、22:00帰宅。夕食。23:00就眠。

ブタインフルエンザ(16)週刊誌が舛添厚労相、省の対応を5つの大罪と
 本日は医師会の所用で東京出張であった。終日小雨で概して静かな日であった。もっとも、移動時間はずっとノイズキャンセルのヘッドフォンを付けていたからか?空路は往復とも揺れは中等度あったが後席は10-20%とガラガラで実に快適であった。東京はマスク姿は花粉症の時期に比較しても少なかった。

 JRで駒込に向かったが、週刊朝日車内吊り広告に「新型インフ関東上陸! 秋にはパニック必須! 舛添・厚労省5つの大罪」とデカデカとバッシング記事が特集として組まれていた。挙げられていた項目は、■米国発・生死を分ける意外なポイント、■無意味な「水際作戦」が招いた国民不安、■「渡航歴無し」を放置したために起きた神戸・大阪の集団感染、■未発症患者が全国に散らばっている、■新型インフ用ワクチン、誰から打つのか、■ほか。

 私はこの見出しを見てガックリ来た。実際の記事内容は確認したわけではないし、その気にもならない。

 確かに、我が国の検疫や停留措置、休校などは諸外国からも、国内の研究者からも批判的な意見がみられている。結果として感染力も病原性も弱いタイプと思われるブタ型の新型インフH1N1だったから、なおさらのその様な意見の方が力を持ってきているようである。確かに、現場ではいつまで発熱外来を持たねばならぬのかなどの疑問や注文の声も挙がってきている。

 ただ、この様な批判的な意見が出てくる背景にはある程度社会が落ち着いてきたからである。それは我が国の強毒型新型インフ対策のガイドラインが初期対応としては結構うまく作動したからであって、無防備に迎えていたら今頃は全国に蔓延し、病原性が低いと言え広範に感染した場合のことが問題になっていたと考えられる。

 まだ国際的には感染者が増えており、死者も100人を越えている。だから、我が国には感染者が来日あるいは帰国することは続いていく。対策を次々と緩和していった際、今後蔓延がどうなるかはまだ何とも言えないと私は思う。
 結局、結果がどうなろうと舛添・厚労省に対するバッシング記事が掲載されることになろう。何しろ動きのあるところに集中的に的を絞り、興味本位に非難記事を書くのがマスコミの姿だし、舛添大臣は注目度が高いから格好の標的になりやすい。

 国ももう少し柔軟な対応を早めに出せれば更に良かったと思われるが、我が国ではまだその様な準備がされていなかった。2月にやっと国のガイドラインが発表になり、各都道府県の行動計画が3月に作成され、4月末の新型インフ発生である。今後は病原性や感染力に応じたガイドラインのバリエーションを用意することである。

 今回の流行に関しては一例も感染者が出ていない地域、非蔓延地域の今後の対応をどうするか、その判断が難しい。


5/27(水)晴 外来 県医師会理事会 市医師会新型インフ研修会
2:50起床。ドック判定x1、文献他。5:20病院着。6:20回診他、8:00救急カンファ。8:45-14:20外来。16:30-18:50県医師会理事会。19:00-21:00市医師会新型インフ研修会。22:00帰宅、夕食、22:30就眠。

26年前の5月26日「日本海中部地震」が発生 防災記念日をもっと生かさねば
 今から26年前の1983年、マグニチュード7.7の日本海中部地震が発生した。港湾や道路などが無残に破壊され、全国で104人、本県で83人が亡くなった。本県の犠牲者79/83が津波に因っている。

 大規模な地震はその後も、国内外で頻繁に起きている。私のメモにある地震をザッと挙げると、1995年阪神淡路大震災、2003年十勝沖地震、2004 年中越地震2007年中越沖地震、2007年能登半島沖地震、2008年6月の岩手・宮城内陸地震、10月中国四川地震等が生じている。調べるとまだまだある。

 この内、四川大地震は想像を絶した規模で、建造物はことごとく破壊され、被害者が約9万人、大規模な山崩れなどで町が厚さ100m程の土砂に埋まり、そこの土中にまだ1万人以上がいるとのことであるが、あまりの大規模な被害のためにすでに捜索とその地での復興は諦められ、他に移っているとのことである。

 いま国内は新型インフの話題で沸いている。全体的に下火になってきたし、秋田県ではまだ新型インフと診断された例は見つかっていないが、何時第一例が生じるか分からない。医療関係者としては新型インフそのものよりもその際の県民のパニック的反応が怖い。まだまだ広報が必要である。

 新型インフは時間かけてじわじわ来る。対策がそれまで未完であっても時間的に若干余裕があるだけ何とか対策できる。一方、地震災害は予告無く突然来る。それだけに普段からの一定以上出来上がった準備、危機管理が大事である。

 私共はどうしても平穏な毎日が続くと其れに慣れきってしまう。そのためにコストがかかるような対策はしない。例えば、大阪で阪神淡路大震災程度の直下型地震が生じた場合、4万人規模の犠牲者が予想されている。古い倒れやすく燃えやすい家屋が密集しているために圧死者が出るほかに、それ以上の人数の生きたまま焼かれる犠牲者が出る、とされている。ここまでは分かっている。対策案も出来ているが、大阪の家屋の耐震化は殆ど進んでおらず、消火活動はバケツリレー消火が基本になっているのだ、と言う。半世紀前の計画そのもののままである。家屋が倒壊して火が出た時に誰がバケツリレーするのか?その計画を聞いてみて愕然とした。

 四川大地震を機に日本で校舎耐震化の取り組みが加速した。財政難に悩む国や地方自治体も安全面を最優先に置いて取り組むべきである。個々人の環境は改善しているのだろうか。

「県民防災の日」の意味をみんなで考え、社会として危機管理を怠らないようにして行かねばならないが、地方紙の社説やコラムだけの行事になりつつあるのではないだろうか、と心配になった。


5/26(火)晴 外来 法人常務会 医局カンファ(欠) NHK収録 
2:10起床。ドック判定総括、文献、5:10Tax病院、6:30回診、8:00救急カンファ。8:45-14:10外来、14:10感染制御部と打ち合わせ。14:45-15:30常務会、17:30医局会。長副会議は中止。19:00-21:30NHK。夕食、22:15帰宅、夕食、23:00就眠。

私に声をかける患者さんに せめて名前を名のっていただけませんか?
 私は外来に出る時には待合いの一部をかねている2階の廊下を通らない。そこで椅子に座っている患者から声がかかるのを避けるためである。
 1階の廊下は院内各部門への通路となっている。だから座っている方はいない。それでも、時折後からとかすれ違いざまに声がかかる。これは私にとっておおきなストレスである。予定した時間に、約束した時間に外来に着けなくなるのもその理由の一つ。

 何で大きなストレスかというと、親しげに声をかけ、ご自身やご家族の病状のその後の経過等を報告してくれる方々の大部分は、私にとってみると「何処かでお会いした、あるいは診たことがあるような・・」気はするものの、それ以上は思い出せず、時には皆目見当が付かないこともある。

 私の方から「どちら様でしたっけ・・」と聞き返すのが正当な行き方まのであろうが、通りすがりの声掛けで通常は挨拶程度で、調子を合わせていれば大部分はそれで済むから、通常はしないし、出来ない。
 ところが、調子を合わせたつもりが、稀には立ち止まって薬の話、他の医師の医療内容などに発展することもある。外来時間に遅れそうで気は焦っているし、相手が誰だか分からない状態なのだが、そんなことは相手には伝わらない。それに相手は自分のことは何でも知っているはずだ、と誤解しているから始めから話がずれている。

 話を合わせたつもりがだんだん深みにはまっていく。最終的には「カルテを確認しないとこれ以上は分からないから、診察券あります??調べておきますのでまたあとで・・」と番号をメモしてその場を逃れるが、冷や汗ものである。中にはカルテをみてもどんな方か思い出せない方もいる。

 廊下で声をかけてくる患者さんは基本的には経過が良くて謝辞を伝える意図であろう。経過が良くなくて苦労した患者は忘れることはないが、手のかからなかった患者ほど私の記憶には残っていない。何しろ自分で勝手に治ってしまったのだからね。

 だから、私に声をかける時には是非名前を名のって頂きたい、と思う。私はカルテをみないと患者さんを思い出せない事が多いが、この現実を知ったら患者達はびっくりし、ショックを受けるだろう。だから聞けないのだ。

 私は市井に於いては患者にあっても無視するし、話しかけられても素っ気ない対応しかしない。病院を介しておつき合いであり、それ以上でもそれ以下でもないからである。院内では、立場上にこやかに対応するが、それが自分を苦しめている。ある患者の弁、「先生とお話しするには健康保険証が要るんですか?」は名言であった。


5/25(月)晴 管理会議 外来 療養判定会議 法人評議員会 北朝鮮地下核実験
2:20起床、ドック他淡々と業務処理、新聞チェック、文献整理。5:00出勤。6:30回診、紹介状作成。7:45-8:35管理会議、 8:45-13:50外来、16:00療養判定会議。17:30-20:30法人評議委員会、懇親会。20:50帰宅。21:10就眠。

ブタインフルエンザ(15)マスクの効用(2)咳エチケットは分煙よりも重要
 インフルエンザは咳やクシャミでウイルスがまき散らされ、それを吸引し、手に付着したウイルスを鼻や口に運ぶことで感染が伝わっていく。

 カゼやインフルエンザの季節になると時折マスクのことが話題になるが、咳やクシャミをしている人のうちマスクをしている方は少ない。咳やくしゃみと共に飛び散る唾液、鼻汁等の体液の飛散をいろいろな工夫で狭めることは他人への配慮として常識的なことである。
 マスクをしていないで状態で咳やくしゃみが突発的に出そうになったならば、口を手で覆うのも良い、タオルやハンカチで覆うは更に良い。無防備のまま自分の体液を撒き散らさないで欲しい。ゾッとするほど不潔な行為である。私は不快で身の毛がよだつ。その時、手には体液の微粒子が付く。そんな手で周囲のものに触って欲しくない。だから直ぐに手を洗うのも大事である。こんな事は改めて言わなくても良い様な、当たり前のことで、社会生活の常識の範囲である。家できちんと教えているのだろうか。

 タバコの害に副流煙の害が強調されるが、体液を飛散させる行為はこれ以上の害がある。路上とかに唾や痰を吐き出す行為はかなりの罰金を科して良い、とさえ思っている。新型インフに関連したマスク論議の中で自らの体液を不用意に外にまき散らすべきでないと言う、社会人をしての常識、エチケットが醸成されていくことを望んでいる。

 マスクの効用は主としてクシャミや咳の際の体液の飛散距離を狭くすることで、このことの効果は大きい。だから、咳やクシャミが頻回にでるなら「インフルエンザ」「新型インフルエンザ」の流行とかに関連無くマスクを着用すべきである。逆に自分が咳や痰がないなら着用する意味は小さい。また、人が少ない、広々とした空間では着ける意味は皆無だろう。

 マスクの感染予防効果は通常のマスクではそれ程大きくないが、人混みに出る際等には不用意に飛沫をと飛ばす人が側にいないとは限らないから着用する方が良い。マスクには不用意に手指を口や鼻に近づけないと言う効果もある。それ以上に感染に対する心構えにも作用するだろう。咽喉頭の乾燥予防にも若干の効果はあるだろう。

 我が国のマスク姿は欧米人からは奇異に映るらしい。これにはいろいろな意見があるようだが、私は上記の理由からマスク着用を是とする。
 私は普段は病院内でも着けない。状況で分けている。
 着けるのは自分が体調不良で咳や痰がある時、頻回に咳をする患者を診察する時である。今、発熱外来の当番医もつとめており先日2名の関西帰りの方を診察し、検査用サンプルを採取したが、この時はN95マスクを着用した。


5/24(日)終日小雨 病棟拘束 
夜間何度か覚醒した。4:30起床、何とか改善傾向。関西からの戻った発熱患者2名を診察、検査サンプル採取、二日後から発熱だから出勤時に病院前のトリアージに引っかかる状況である。5:45帰秋中の長女同伴で病院。6:30回診他、8:30救急カンファ、他。重症患者対応。以降、患者関連書類処理。13:30離秋する長女駅に送り帰宅、14:00-16:30午睡、これでほぼ体調改善、17:00病院、業務。20:30帰宅、夕食、21:15 就眠。

瑠璃光寺五重塔 89歳で小説家デビューの久木綾子氏
 仏塔は、釈迦の墳墓の標として建てられた。そのような宗教的背景とは別に、仏塔、特に五重塔は日本の建築の華であり、美的感覚に訴える。
 五重塔と言えば法隆寺、東寺、興福寺などが有名であるが、江戸時代以前に建立された塔は現在22残っている、とされる。私も何カ所かの五重塔を見ている。何れも美しい造形であった。

 塔を眺めているといろいろなイメージが浮かんでくるのであろう。されど実際に仕上げた小説家はそれ程多くない。その中では幸田露伴の小説が有名である。

 山口市内の香山公園の一角に国宝瑠璃光寺五重塔がある。1442年の建立で、檜皮葺総檜作り、高さ31.2m。建築史の近藤豊氏が奈良の法隆寺、京都の醍醐寺と共に「日本の三大塔」と賞賛したことでも知られている。屋根の曲線は深く、魂が上昇していく、墓石そのもののイメージで、周辺の山々の風景にとけ込んで見事な造形だという。

 この塔の美しさに心を打たれ、熱病の如くに取り付かれたのが当時70歳にならんとしていた作家の卵?である久木綾子氏である。
 久木氏は去る3月1-2日放送のラジオ深夜便心の時代に「瑠璃光寺五重塔に魅せられて」として二日間登場された。私は4:06amからの放送時には何らかの業務をこなしており集中して聴けないのでハードディスクにデジタル録音し、iPodで通勤時とかに聴き直しているが、ここ数日は久木氏の録音を集中して何度も聴いている。

 久木氏は初めてこの塔を仰ぎ見た時に「あの世が透けて見える」と思い,かつ「この世とあの世の堺に立つ結界に思えた」という。そこで、当時その周辺に生きていた人物像を中心に小説としてまとめる事に思い立ったという。

 以来、取材のために宮大工に弟子入りし、パソコン教室に入り、取材に約14年、執筆に4年の歳月を費やし「見残しの塔-周防国五重塔縁起」を書き上げた時点で久木氏は89歳に達していた、とのことで驚く。
 氏は約90分のラジオのインタビューでも一度も言いよどみもなく、明快な口調で語り続け、年齢を全く感じさせなかった。

 実際に本を取り寄せて読んだわけではない。何れは、と思っているが実現できるか分からない。久木氏は本が読まれることよりも、一人でも多くの方に瑠璃光寺五重塔を直接見て欲しいと望んでいた。その気持ちがヒシヒシと伝わるような放送であった。私もこの放送を聞いて、いつかは山口市を是非訪れてみたい、と深く感じ入ってしまった。

 それと共に作家の久木氏の生き方そのものからも感じ取るものがあった。年齢のことはあえて言う必要がないほどである。私はそろそろ第一線から降りる準備をし始めているが、久木氏の生き方から楽しみが一層増えたような気がする。


5/23(土)雨 病棟拘束 患者面談2件  夕方から体調不良
2:10 起床。ドック判定総括x1,徒然。6:00病院着.6:30回診他、8:30救急カンファ。11:00患者家族面談。14:45別患者の家族面談。夕方から若干の発熱と体調違和感。19:45帰宅、夕食もとらず20:30就眠。夜間何度か覚醒、身の置き所がない何とも言えない不快感あり。徐々に改善傾向。

ブタインフルエンザ(14)マスクの効用(1)人混みを避けるのが一番
 秋田は新型インフ陽性者がおらず未だ平穏である。
 話題になり始め、我が国に感染者が出てからこの方、かなり時間が経ったから大丈夫かな?とも思うが、県内で第一例目が見つかった際の秋田県民の反応に若干の不安が残る。発熱外来へ患者が殺到した際の病院の診療体制の維持が大変である。

 関西や関東地区にH1N1新型インフが流行している。と言っても関西でまだ300人規模、関東は数人程度で,我が国の検疫体制、休校等を含む感染拡大防止措置はかなりの効果を上げている、と言いうる。

 今までのデータから見ると季節性インフよりは感染力が強いが、ウイルスの毒性は季節性インフ程度と考えられている。私は感染力は季節性インフよりも弱いのではないか、と思っている。

 私がマスコミに登場する機会は例年よりもかなり多いが、その際、季節性でも新型インフであっても予防策として違いはなく、ポイントは「うがい」、「手洗い」、「マスク」、「人混みを避ける」と言っている。

 新型インフ登場と共にマスクが売れ始め、今店頭から殆ど姿を消している。本当に替えないらしい。外来で「何とか手に入れられませんか?」と相談する患者が居る一方、もう「50枚ほど備えてます」という患者もいる。買えなかった方々はかなり不安を感じているようだ。私はマスクが無くとも心配不要と説明している。

 その一方で、私もマスク着用を推奨しているが、感染防御に対して直接的効果をそれ程期待しているわけではない。「咳エチケット」として感染を広げない効果は大きいから是非着用を、と説明している。

 マスクの面としてのフィルター効果はマスクの種類によって差が大きい。76nmのNaClを20分間吹き付ける装置でその機能を見ると、実験的捕集効率は市販の不織布製は30-80%、医療機関で用いられているサージカルマスクは40-50%と共に機能的には今ひとつである。更に、マスクとして装着した際に鼻や口の脇から出入りする呼気の量も勘案して考えると、感染防御は殆ど期待できない。だから、マスクをするか否かでなく、感染者が居るかもしれない人混みを避ける方が効果は大きい。

 一方、防塵用のN95マスクは実験的捕集効率99%以上で満足すべき結果だったというが、このマスクは密着性が高いために息苦しさを感じるし、顔面に密着させるためにゴムバンドもきつい。だから、長時間つけていると辛い。H1N1疑い患者を診察する時は医師や看護師は患者の咳やくしゃみを直接浴びる可能性があるためにこのN95マスクを着ける。それでも感染防御としては完璧とは言えない。


5/22(金)雨 発熱外来担当 NHK取材 ドック診察 法人理事会 県健康推進課スタッフ来訪
2:00起床。ドック判定総括x1,新型インフ関連文献検討、徒然。5:15病院着。回診他。8:00救急カンファ。 10:00-11:00NHK取材。11:00秋銀来訪。発熱外来患者対応。14:30人間ドック診察、患者家族面談。発熱外来患者対応。 17:30-18:45法人理事会、19:00-19:45県健康福祉部長来訪、今後の対策について。20:45帰宅、21:00就眠。
<新型インフルエンザニュース>
■ 国内:317人(26人増)、世界で4番目。発生県は7都府県で埼玉・滋賀・東京・神奈川・京都・大阪・兵庫。ロシアで第一例目発症したという(5月22日4:00)。

童謡・唱歌、民話などにある大きな教訓(2)目を見ながら語ることの大切さ
 童謡・唱歌、民話などには、社会人としての基本的な教訓が沢山含まれている。
 私の郷里の岩手県には、特に遠野物語遠野地区には多くのわらべうた、「むかし、あったずもな」で語り出し、「どんとはれ」で終わる多くの民話が伝えられている。

 私もかつて聞いたことがあるが、不思議な雰囲気であった。話の内容が本当か?と思われるものであっても、心の中にスーッと入ってくる感じであったことを覚えている。

 遠野では今でもその伝統を大切にし、今でも何人かの語り部がその伝統を保持している、とのことである。
 勿論、電子的に記録しておくという方向もあろう。が、わらべうたや民話等は語り部が聞き手の目を見ながら共に唄い、直接語りかける事にこそ意義があり、録音や画像の記録からは真の意味は伝わらないだろう。

 家庭内で親とか祖父母達が、幼児期に毎日のように歌って聞かせていると、大体4歳ぐらいで一緒に歌い始めるようになる。このわらべうたを教える伝統は、子供達に暗記力・記憶力をつけさせ、大きな口を開けて大きな声で歌うことから健康にも良いし、歌を通じて身体と心にリズム感を養う事になり、楽しく生きられる素養を作る効果もあるのだという。

 親や祖父母と共に互いに目を見ながら歌う、あるいは語って聞かせる。そのことが血が通った教育になる。その際、民話や昔話というのは、物事の善悪を直接教えるものではなく、子供達が自分で感じ取れる様な表現になっている事に大きな意味があるのだ。このことで想像力を養い、次いで創造力が養われる。
 忘れられてならないような大事な歴史的な出来事などは、主人公達、例えば清盛、義経、弁慶達がネコやネズミなどに姿を変えて語られ、自然を記憶に残るようになっている。

 子守歌は眠りへの暗示である。安心して眠りにつけることは家族間の信頼感の表現でもあり、やさしく唄われる子守歌はその育成に大いに役立っているとされている。

 今はすっかり姿を消した様に見えるが、子供達がかつて遊んだジャンケン遊び、かくれんぼや鬼ごっこなどは、人間が本来備えている勝った負けたの気持ちを育成するとされ、鬼ごっこなどでは逃げる相手を追いかけることで頑張る力、忍耐力を養い、大人になった時の我慢、努力、勇気、自分に勝つと言うことを養うのだという。

 この様なことを考えていくと、目を見てお相手する事の意義が見えてくる。わらべうた等は日常生活から姿を消して久しい。 最近の電子的な音や映像の氾濫が、人の成長に最も大事な感性をの涵養にどうなのかな?と思ってしまう。


5/21(木)快晴暑い 外来 法人新型インフ対策会議   
1:30起床、11日以降家内不在で覚醒が早い。されど業務処理への気が乗らない。気を取り直しドック判定総括x1、新型インフ関連他。5:20 病院着.6:20回診・関連書類他。8:00救急カンファ。8:45-14:00外来+ドック結果説明x3、混雑し不快感伴う。20:00帰宅、運転も不快。20:30就眠。

 <新型インフルエンザニュース>
■ 国内:293人(26人増)、7都府県に拡大、世界で4番目。大阪131人、兵庫152人。京都1人、東京2人、滋賀・神奈川・埼玉各1人、検疫発見5人。(5月22日6:00現在)
■ 埼玉でも1人感染確認、29歳男性、大阪など滞在。
 埼玉県は22日、同県29歳男性が新型イに感染と発表した。大阪、京都に旅行で滞在し、帰宅後20日に発熱。

ブタインフルエンザ(13)危機管理の緩和は良いが、流行阻止対策は重要
 諸外国から、異状対応と評される検疫体制によって2週間ほど国内伝播が遅くなったことの意義は極めて大きい。その間、国民も、行政も、医療機関もいろいろな対策が出来るようになった。また、この間に感染力は強いが病原性は弱いことが分かってきた。

 我が国では強毒型のH5N1新型インフの流行を前提に危機管理体制が準備されてきたが、病態が徐々に分かってきたので危機管理体制のレベルは下げて良いと思われる。その一方では決して甘く見てはならない。何しろ新型インフに対する免疫能は誰も持っておらず、この段階であっても一気に蔓延させるような事態にだけはしてはならない。今のところ数100人の範囲でしか病状は分かっていない。これが数万人,数100万人のレベルになれば相当の犠牲者が出ると危惧されるからである。

 だから、発熱外来の意義、重要性は変わることはない。発熱外来は早く公的に整備して欲しい。私共を含め医療機関併設の発熱外来だと、この医師不足のおり、スタッフのやりくりが困難である。公的発熱外来は各自治体に協力して診療所医師、新型インフを積極的に見ない病院が是非とも担って欲しい。

 秋田ではまだH1N1陽性者は居ないから、今のところ症例定義をしっかりして患者を振り分けることが出来る。問診で「まん延した国や地域(神戸、大阪)に行ったか否か」、「その地域から来たヒトを含むかもしれない閉鎖空間で長時間過ごしたかどうか」を聞き、疑えばいい。しかし、感染が拡大した段階になると発熱患者を区別することは出来ない。その時点では検査は不要で、軽症者はすべて対症療法で良い。これは季節性インフルエンザの場合と変わらない。
 
 感染者の8割以上が高校生なのはなぜだろうか。
 多分、個々人の免疫とか、ウイルスの特徴ではなく、より閉鎖的な範囲の集団活動に由来するのではないかと思う。勿論、科学的なデータはない。高校生達も通学とかで市井生活をしているわけだが、数の割にはその範囲からの感染例は殆ど無い様に感じられる。交通機関等、通常の人混みの中での感染は少ない? 本当に言われているほど感染力が強いのだろうか、それも私は疑問に思っている。

 秋田市でもやっと公的な場所に発熱外来が設置されようとしてそのレイアウトや運営などに関しての意見交換が始まっている。やっとここまで来た。随分遅い対応である。しかも決まった内容で議会を通さなければスタートできない、と担当者の弁だとのことでガックリである。

 私共の病院でも発熱外来は設置しているが、運営上では危機管理に対応するほどマンパワーに余裕はなく、とても厳しい状況にある。だから一日でも早く病院から発熱外来を切り離したい。その際には運営には参加する。しかし、病院からのスタッフ派遣は長期間になると困難である。どこの感染症指定病院であっても、協力医療機関であっても事情に大差はない。だから、他の医療機関からのサポートが欲しい。その面から見て、市医師会の対応、特に診療所、病院への働きかけなど、新型インフ対策が些か消極的すぎるような気がしてならない。臨時の会員集会などを開き、対応を協議すればいい。もめたって良いじゃないか、と思う。


5/20(水)快晴 外来 ABS収録 滋賀県・東京・川崎で新型インフ
2:10起床。ドック判定総括x1,他処理。徒然。5:10Taxi病院着。6:20回診、書類他。8:00救急カンファ。8:45-14:00外来、18:00-18:45ABS収録。19:30帰宅、20:30就寝。
 <新型インフルエンザニュース>
■ 国内:267人、世界で4番目。高校生が主だが小児例も発症。
■ 滋賀県・東京・川崎で新型インフ発生(5月21日4:00)。しかし、罹るべきしてかかっている感じであり、一般的蔓延ではなさそう。行動も追えるようなので特例として良いだろう。秋田への伝播は移動者、その周辺の方々以外はまだ可能性は少ない、と割り切る。

童謡・唱歌、民話などにある大きな教訓(1)早寝早起き
 私どもが親しんだ小学校唱歌『村の鍛冶屋』を久々に聞いた。
「しばしも止まずに/槌打つ響/飛び散る火の花/はしる湯玉/ふいごの風さへ息をもつがず/仕事に精出す村の鍛冶屋/主は名高きいつこく親爺/早起き早寝の病知らず・・・・」
 この中に「早寝早起きは病知らず」という大事な言葉が含まれる事に改めてハット気づいた。その通り、である。
 早寝早起きの習慣は間違いなく健康を保つ大原則である。人間の300万年ほどの歴史の中でその殆どは人工的光が無く、あるいはあっても光量は乏しかった。だから、生活は夜明けと共に始まり、日没と共に休息や眠り、思索に入ったと考えられる。当然である。それしか出来ないからである。

 私は最近幼児返りしているのかもしれない。童謡・唱歌、民話などにいたく興味を感じてきている。そして気付くのはこれらには人としての、社会人としての基本的な教訓が沢山含まれているのに気付いている。だから、ますます興味深く感じてきている。

 現代の社会生活には豊かすぎる光があり、その質も改良されてきている。白熱灯から蛍光灯へ、更に発光ダイオードと様変わりしている。それと共に、ヒトの生活は次第に夜型に移行していった。
 自然と共にあることは動物や人間の生活の基本であるのだろう。自然の枠からはみ出しているのだからみんなが不健康になってしまっている。我が国では 5-6人に一人が糖尿病あるいはその予備軍とされているが、多様な人間の集まりである国民がこれほど同じ病気に罹患すると言うことは、もう個人のレベルを超えて文化や生活事態が病んでいると言わざるを得ない。

 昔の生活リズムは、完全に忘れ去られ、今日の生活は24時間型になってしまった。TV等を含めこの情報化社会においては、夜型生括は私たちの生活を豊かに満たしてくれるが、反面全く不健康な生活である。また、思索とか対話とか大事なものを失っているのではないだろうか。
 自分の健康管理は本来自分ですべきだが、それも人任せになっている。メタボ健診、私はそう呼ばずデブ健診と言うが、それなど良い例である。

 自然に反するような生活、過食・運動不足をそのままに続けながらデブ健診を受けさせても無価値である。健診結果の異常値を見て生活を変える人は皆無に近く、薬を欲しがる。予防医療を発展させて医療費削減に結びつける健診が病気を作り病人を作る。医療費も高騰していく。
 何かおかしくないか。


5/19(火)快晴 外来 法人常務会 院内新型イ対策会議 さきがけ新聞取材 県病院協会通常総会+情報交換会 新型イ全体学習会(欠) 
2:00起床,ドック判定総括x1,医師会・病院書類ほか.5;10病院着.6;30回診。8:00救急カンファ、8:45-13:35外来。 14:45-15:45常務会。16:00-17:15院内新型イ対策会議、17:30秋田さきがけ新聞取材、18:00-20:10県病院協会定時総会+情報交換会。20:30帰宅、21;00就眠.
 <新型インフルエンザニュース>
■世界の蔓延状況;42ヶ国 9878人 死者78人
■国内:193人、世界で4番目に多発。高校生が主だが小児例も発症(5月19日21:00現在)。

ブタインフルエンザ(12)発熱患者への対応へのQ&A(2)
 診療所の院長から医師会等を通じ、あるいは直接私に4件の相談があった。その内容は、「患者からA型インフの反応が出たが、あるいは出たらどうすればいいのか? 遺伝子検査に持ち込むべきか?」と言う内容である。
 これは、最初からちょっとおかしいのでは?対策が遅れているのでは?と思わせる質問である。

 新型インフの可能性がある患者をそのまま診察室に入れたのだろうか?あるいは入れて診察するのだろうか? 新型インフを疑っていなければそれで良いが、そうであれば例えA型インフの反応がでても遺伝子検査は不要である。 
 もし、新型インフを少しでも疑うべき状況なら、診療所に入れずにまず発熱相談センターに電話させるべきである。これは対策の基本である。診察室に入れてから疑ったら、もう遅い。そうしないように地域住民に広報すべきだし、医療機関の入り口で最初に患者を区別しなければならない

私の返事
■ 恐らくA型インフでしょう。現状では、10日間以内に帰国、関西から移動した本人、家族、同僚以外には今のところ可能性は殆どありません。
■低い確率ですが、上記の方々を含む不特定多数の方が集う閉鎖空間を共有した方。講演会やスポーツ大会、航空機など。
■ただし、こう言えるのは秋田や他の地区に蔓延がない今のうちだけです。何人か出始めたら事前の区別は意味がなくなります。

理由
■秋田は未だ一人も検出されていません。新型インフは必ず人と共に移動します。秋田で諸外国や関西と関連無い状況で新型インフが生じることはないと割り切って良いと思います。あと数日でしょうが。
■外国・関西と直接的、間接的に関連した人が秋田に移動してきて発病して蔓延し始める可能性はありますが、それまでは上記で大丈夫でしょう。
■まだ間があります。この貴重な時間の間に各医療機関で、蔓延期になったら有熱者にどう対応するか、考えておくべきでしょう。

蔓延期になったらどうするか
■県内外で海外渡航歴のない、関西に関連しない方々に新型インフが多数発生したら、新型インフを発熱患者全員に疑うことになります。少なくとも、非感染の患者、ご自身と従業員を守る立場から、発熱患者を院内に入れるべきではありません。
■医院に入れたら面倒なことになります。医院玄関に表示していますか??地域で広報していますでしょうか?
■通常の診察室とは別に発熱外来を作るか、医院を時間でわけて発熱者は午後のみと区切るか、患者に車の中で待ってもらい診察に行くか、発熱者は往診とするか、・・・いろいろ対応はあると思います。
■診療所では発熱患者は診ないとして、地域の発熱外来センターに全部送るのも一方法ですが、そうするなら発熱外来センターの運営にも関与すべきでしょう。
■蔓延期には診療所では新型インフ疑い患者は診ないとして外来を閉め、全部電話再診、往診にするのも一方法です。
■今回の新型インフは厳密に言えば特徴的症状を欠いているケースからも陽性者が発見されています。こうなると一層やっかいになりますが、そこまで考えると患者全員を疑わなければならなくなります。これは泥沼状態です。
■唯一の救いは重症者が少ないと言うことでしょうが、今後どう変異するか分かりません。

 上記の如くにご返事した。その考えでは厳密性を欠くのではないか?との疑問も発せられた。確かに、想定外の経路で感染者が目の前に現れるかもしれない、正直に質問に答えない方もいるかもしれない。いろんな可能性はゼロではないが、対策には一定の線引きが必要と考えている。なお、遺伝子検査に提出することを否定するものではない、と付け加えた。


5/18(月) 晴れ 管理会議 新型インフ蔓延期診療計画策定講演会 療養病棟判定会議(欠) 長副会議(欠) 
2:00起床。ドック総括、文献検討。徒然、5:15病院着。6:00回診、7:45管理会議。書類作成など。病棟対応、机上業務。 16:00-18:30新型インフ蔓延期診療計画策定講演会+当院の状況報告、療養病判定会議(欠)長副会議(欠)、20:45帰宅、夕食、21:30就眠。
 <新型インフルエンザニュース>
■ 国内:大阪66人、兵庫93人、これらは全て渡航歴のない高校生。渡航歴者4人(5月19日4:30現在)。
■ 厚労省新型インフ患者対策方針の変更を検討開始した。隔離入院はなくなるかも。検疫も見直すらしい。妥当な判断だと思う。何処まで緩和するかな?

ブタインフルエンザ(11)発熱患者への対応(1)
 新型インフが関西で急速に蔓延しつつある。
 恐らく近日中に全国でも感染者が発見されることと思われる。秋田も同様である。そうなれば県民も医療機関も大なり小なりパニック状態に陥ることも避けられない。

 日本の水際作戦は諸外国から見て異常である、と言われているが、私はそう思わない。ただ、国内にこれだけ入った以上、もうウイルス持ち込みチェックの意義は変わってしまった。ほぼ無駄である。蔓延国から帰ってきた方々への7日間の行動自粛要請で良いと思う。また、関西地区からの移動してきた方々も同様である。ただし、これは言うは易しく実行は困難である。

 新型インフウイルスには足がないから動けないが、人と共に動く。40年振りに現れたH1N1新型インフは新幹線も飛行機も手に入れてしまった。ウイルスは浦島太郎の如く驚いたと思う。だから、予防策は一層やっかいになった。

 水際作戦は約2週間国内への蔓延を遅くしてくれた。
 この間、医療関係者は新型インフを迎える準備が進んだし、自治体の準備も進んだ。恐らく、国民県民もこの間かなり冷静な目で見ておれる様になった。それに、毒性とかの今回の新型インフの特徴もこの間明らかになってきた。だから、この2週間の時間はとても貴重であった。それでも秋田に感染者が発生すれば、パニック状態に陥ることも避けられないだろう。

 それにしても問題なのは、医療関係者の対応の温度差である。
 地域の感染症指定医療機関、協力医療機関の対応はそれなりに進んでいると思われるが、その他の病院、診療所の準備状態が見えてこない。

 本日、診療所の院長から医師会等を通じ、あるいは直接私に4件の相談があった。


5/17(日)雨 病棟拘束 第4回新型インフルエンザ対策担当者会議 
2:30起床、文献新聞チェック。徒然。文章校正。5:15病院、6:30回診ほか。13:00-14:00昨日の第3回に続き第4回新型インフルエンザ対策担当者会議。文献チェック、文書作成。19:40帰宅。夕食、20:30就眠。

<新型インフルエンザニュース>
● 国内の状況(5月17日19:00現在):兵庫県45人確定、大阪府39人確定。これらは全て渡航歴のない高校生、教諭、家族。
● 世界の蔓延状態(5月18日5:30現在):41ヶ国 感染者8.800人(メキシコ3.102人、死者68人。日本は96名。

小沢元代表を選挙対策の責任者に?? 古い体質と人材不足だね
 次の総選挙で民主党の「顔」として鳩山氏が選ばれた。

 小沢路線の継承ではトップの顔をすげ替えただけでは何ら意味がないが、本日のNHK討論に出演した新代表は小沢氏の業績を大きく評価し、主要なポストを考えていると言っており「刷新」という点で疑問符が付きまとった。それが選挙対策本部長?らしい。
 鳩山新代表の使命は政権交代を実現することだが、こんな事では出来るのだろうかと疑問を持ってしまう。

 掲げた政策は「年金制度の一元化」、「農家への戸別補償制度」、「子ども手当の創設」、「高校教育の無償化」で小沢氏の時と変わらず、すべてお金がかかる策ばかりである。財源に関しては明瞭な説明はなかった。

 消費税について鳩山氏はどういう姿勢なのだろうか。NHK討論を聞いてて分からなかった。
小沢氏秘書の事件に関しても明言を避け、裁判で、と言っていたが小沢氏の説明責任は本人がするだろうと述べたに止まった。

 これで本当に党を刷新したという事で有権者の信頼を得ることができるのだろうか。大いに疑問を持ってしまった。結局は古い体質と人材不足と言うことで、もし政権を取ったらその日から大変なことになるのでは?と危惧してしまう。 


5/16(土)快晴 病棟拘束 発熱外来設置 入院患者家族面談 県新型インフ対策本部設置第一回会議+記者会見
2:20起床。文献データ集め、徒然他。5:15病院着。6:30病棟業務、8:30救急カンファ。懸案の兵庫の高校生確定診断で国内初感染例、これを受け当院でも発熱外来決定。13:30院内対策会議、14:00入院患者家族面談。14:00-17:30県新型インフ対策本部設置。発熱外来運用協議。21:00帰宅、夕食、22:30就寝。

<新型インフルエンザニュース>
● 兵庫県神戸市8人感染確定、10数人が確定検査中。大阪府9人確定検査中(5月17日6:00現在)。上記を含め108人が確定あるいは確定検査中。大阪81人、兵庫21人、京都4人。これらは全て渡航歴のない高校生。
● 世界の蔓延状態(5月16日22:30現在)40ヶ国 感染者8.470人(米国4.300人以上、日本4名)死者73人。

ブタインフルエンザ(10)危機管理、実戦では敵は後ろからいきなり襲ってくる
「後ろからとは、卑法者め!!  ム,ム,ム,無念・・・」などと言ってばったり倒れるシーンは子供の頃に見た時代劇とかでよくあったものである。しかし、そんなことは実戦では通用しない。後ろからでも襲い、早く敵の息を止めなければ逆に自分がやられてしまう。そこに演習と実戦との違いがある。

 今回の新型インフルエンザはまさしくそんな感じである。
 新型インフは来るぞ、来るぞ、と長らく言われていたがなかなか来なかった。それがついに来た。それも、あまり予想もしていなかった地球の裏側から、更に感染症に対しては防備が進んでいるはずの米国を巻き込んでの大発生である。しかも、最も可能性が大きいとしてきたH5N1鳥型でなくH1N1ブタ型であった。理屈ではこんな可能性もあり得るとは言ってきたが現実には考えてさえいなかった、と言うのが正直なところである。だから、私の新イの講演はまずニワトリの感染症から説明を始めてきた。牛を登場させたことはない。

 ついに、国内感染とせざるを得ない感染者が出て昨日から政府も神戸市、大阪府は大騒ぎである。特に、教育、医療現場は大騒ぎしている。まさか、自分のところに、と言うのが実感であろう。感染者が出ている地域では学校の休校、イベントの中止、高齢者のデイサービス等の中止を始めている。

 目を秋田に移すと、新型インフが池に蛙が飛び込んだときに出来る波のように周辺にジワッと蔓延していくだけなら、今のところ神戸、大阪近辺だけだからまだまだ間があるが、それだけでなく、感染者が高速交通機関を利用して直接秋田に入って来て、周囲の方々に感染させる可能性は常にある。

 そのために秋田県でも知事をトップとする対策本部を設置した。県では初の設置である。私もそのメンバーの一人である。本日その第一回目の会合が開催された。危機管理対策は早いほうが良い。ことが感染症だけに、いろいろ質問があり、説明、提言する機会を持てた。医療現場の苦悩、新興感染症部会で挙げられた問題点を県庁の中枢にまで伝えることが出来たことは成果の一つである。

 私どもの病院でも発熱外来を設置した。構造的にはほぼ完璧であるが、医師不足、看護師不足の中、また診断、治療、防御服とかが不十分な中での運用は今なお不完全で、行政の参加改善させられない。これは私どもだけの問題ではない。
 今後も秋田県内の医療現場の苦悩はこれで解決するものではない。これからますます厳しくなって行く。


5/15(金)快晴 入院患者対応 ドック診察 友の会理事会 法人理事会 
2:30起床。いつもの如く。5:10病院着。6:20回診他、8:00救急カンファ。11:00入院患者対応、患者関連書類処理。12:15 ドック診察。14:00-15:20友の会理事会+情報交換会。17:30-19:20法人理事会。21:50帰宅、22:30就寝。

<新型インフルエンザニュース>
 兵庫県の渡航歴のない高校生から県の検査レベルでH1N1ウイルスが検出され、現在精密検査中。もし陽性なら国内感染例の発生で、今までとちょっと違う意味がある。

「64回目の感謝の日」(2)還暦の時の想いの再来
 昨日は私にとって64回目の感謝の日,即ち、誕生日であった。
 あと一年で65歳である。法人規定の定年である。確認したらあと10ヶ月でなく22ヶ月も残っていると言う。まだこれだけ残されているのか、勿体ないこと、と思った。
 今置かれている立場から見て、無責任な態度は取れない。私自身が方向転換の舵を切り始めることを表明すべき時期でもある。今回の感謝の日はその始まりの日ととらえよう。

 実は、2005年5月に還暦を迎えた時も、ずいぶん気が楽になり、無性に嬉しくなったものである。医師になってから34年間、休みなく勤め上げたのだから、もう充分やり切った、と言う満足感と共に、還暦後は生きる方向を変え、とりあえず還暦の日はザルツブルグで迎えるという夢を持っていたが、身辺の事情がそれを許さず、自身もウジウジしていて実行できなかった。大きな失策をしてしまったと反省した。と同時に、次の機会は定年だろうと5年間待つこととしたが、その時期が間もなくであり、ついに準備に取りかかるべき時が来た。今度こそ、である。

 65歳は年金支給を受けられる歳である。
 年金を貰う年齢に達したと言うことは、個人的にどう考えようと、先々をどう考えようと、自分はまだまだ役立つ人間だと誇りを持ち、自信を持っていようと、どう足掻こうと、どう考えようとそのこと自体は勝手であるが、社会的には「もう良いよ・・」と半ば厄介者として公に認められた、と言うことである。
 これ以上は迷惑だよ、培ってきた古くさい経験など不要、石頭は不要、邪魔、だから年金を出すからもう第一線で働かなくて良い、ということである。

 私の父親は、当時55歳が役場の定年であったが3年ほど前倒しして勝手に辞めてきた。当時、中学生で地元の岩手医大への進学も考えていただけに大きなショックを受けたが、運良く医師にもなれたし、この年になって父親の気持ちが理解できるようになった。父は退職後、私が今想い描いているような、理想的と思える余生を送り、79歳で急死した。糖尿病で身勝手な生活をしていたが、私は医師の立場を捨てて、息子の立場ですべて自由にさせていた。良い人生を送らせることができた、と満足している。 

 ひ弱で軟弱な私にとって、現状の自分は不自然そのものである。
 夜、帰宅後に前日に放映された地元のTV番組に出演した自分の姿を録画で見た。新型インフルエンザについて解説は特に間違っていなかったが、秋田県の、県医師会の感染症等の危機管理対策に私如くの年寄りが深く関連していること自体に、はなはだしく嫌悪を覚えた。やはり、私自身の方向転換の時期である。

 最近いろいろやりたいことが増えてきている。
 今日これを書きながら、持ちすぎている物品を自己の手ですべて破壊し、燃えるものは焼却しすべて葬り去りたい、と言う発想がわいてきた。その過程で自分自身を振り返ることが出来るだろう。勿論、住宅も端の不要になっている部分から順序よく引っ剥がして燃料にしてしまおう。
 そして、最後は身軽になって静かに去る。これも楽しげである。目標の一つがまた増えた。


5/14(木)64歳初日 曇り-小雨 外来 ドック結果説明 第2回院内新型インフ対策会議
2:30起床。寝不足状態。文献若干、録音セットして3:30から微睡む。5:30病院着、ICU見舞い。6:10回診他病棟関連業務。8:00救急カンファ。8:45-14:30外来と人間ドック結果説明。16:00-17:30第2回院内新型インフ対策会議。17:30-18:30化学療法オーダリング入力説明会。回診若干、21:30帰宅.夕食、22:00就寝。
 <新型インフルエンザニュース>
 世界的にはまだ増加傾向にある。WHOではワクチン製造に関しては未定。季節性インフエウエンザは年間25-50万年死亡しているがこちらも軽視できないため。
■新型インフ世界の蔓延状態(5月12日現在)
  31ヶ国 感染者5.144人(日本4名) 死者 61人 
■新型インフ世界の蔓延状態(5月14日現在)
  32ヶ国 感染者7.000人(日本4名) 死者 69人 

「64回目の感謝の日」(1)そろそろだね、と方向転換の時期を迎えた
 本日は私にとって64回目の感謝の日,即ち、誕生日である。
 今年は3人の子供達から立派な花が届き、療養病棟のスタッフ、その他の方々から祝福を受けたが概して静かな一日であった。祝福メールはANA、JALから届いた。ANA、JAL共に会員に自動的にメール発信の仕組みになっているのであろうが、美しい、良い雰囲気のカードである。折りしも、今朝の新聞は両社の大幅な赤字が報じられていた。 
 
 生まれた日を祝うことの意味ってナンだろうか?と思ってきた。私の育った家では誕生日など意識されることもなかった。時代柄どこの家庭でもそうだったのかもしれない。30代の始め頃まで私にとって暦上で年に一回自動的にまわって来る同じ日というだけで、別段意味もなかった。
 私にとっては昭和27年4月10日に「乙部大火」と報じられた火災でわが家が全焼したが、こちらの方が私にとって大きな意味のある記念日であった。だから、何時も4月10日は意識してきた。

 自分で意識しなくとも、子育ての過程ではいろんな社会的な行事が家庭にまで影響を与える。
 わが家でも子供達の誕生日を始めとする種々の行事はほぼ人並みに祝って来たがその煽りで私の誕生日も意識され、それに便乗してきたに過ぎない。
 思えば、私の居住区における近隣とのおつき合いもすべて子供達を介していたことを今更ながら意識する。それももうすべて必要が無くなってしまった。私は社会性というか社交性と言う面では極めて乏しい人間だと思う。

 ただ、幼少の頃の虚弱さを思うと今生きている事は実に不思議なのでもう言うこともないから、何時からか忘れたが5月14日を私は誕生日でなく感謝の日としている。

 昨年はこの日にいろいろ健康問題を意識した。その後もいろいろ引きずっている部分もあるが、今年、昨日は「そろそろだね」、と方向転換の時期の始まりとして意識した。来年、もし恙なく、最大の阻害因子はわが家の健康状態であろうが、5月14日を迎えるとしたら65歳であり、当法人の定年と言うことになる。確認したところ、実際には定年を迎えた年の年度末が正式の退職時期なのだそうだ。あと実質22ヶ月と言うことになる。この期間は次のステップのための準備に充てるのにちょうど良い長さであり、今日は何度目かの旅立ちの良きスタート日でもある。


5/13(水)曇り→雨 外来 ドック結果説明 県医師常任理事会+郡市医師会長協議会+情報交換会 
2:00起床。ドック総括、文献チェック他。5:10Tax病院着。 6:20 病棟回診、関連書類。8:00救急カンファ、8:40-14:20外来。16:00-20:00県医師常任理事会+郡市医師会長協議会+情報交換会。病院より緊急連絡、患者不調とのことで病院、対応。ICU見舞い。22:30帰宅、23:00就眠。

わが家のゴールデンウイーク2009 
 我が家ではゴールデンウイーク(GW)と言っても、私が移動とか人混みとか嫌うので特に予定を組むわけではない。それに私にとっては毎年のGWは遅れに遅れた業務を処理するために貴重な時期である。

 一方、今年は家内が退職してから初めて迎えるGWでもある。その意味では若干良い気分で過ごせそうな感じがした。今まではGWの休日と言え各々別々な理由で職場で過ごす時間が大部分で、いつもより夕方に若干早く帰って夕食を摂る程度であった。

 そんなこともあって、と、もう一つの理由は体力がめっきり弱った老猫ナン・ナンとゆっくり過ごす最後の機会になるかもしれないと考えたことも一つの理由であったが、なるべく午後は家で過ごすようにつとめた。
 さらにあえて理由をつけ加えるとGWの後でしばらく家内が家を空けるという事も理由の一つであった。

 この間は連日何時もよりは若干遅めの6:00前後に病院に到着するように出勤し、回診、救急カンファ、書類処理を11:00頃までこなして帰宅、自宅で出来るドック等は自宅でこなした。

 私の今年のGWの業務は、連日の病棟拘束と、5月4日(月)に日直が割り当てられ、午前中救急外来を担当した。この時の外来は殆ど席を立てないほどの混雑振りで、救急車が3台であった。このうち脳梗塞の患者が一名入院とした。大量の消化管出血を生じた腎不全の患者もいて結構大変であったが、別室で小児科が診療していたから患者は10歳以上の小児と大人だけだったので助かった。

 後半の5月5日だけは午後自宅の文献とか書籍、文献、ガラクタ類の片付けを行った。久々室内が広く感じられた。この日だけ、もう年に一日程度の行事になっている私のメインのオーディオ装置を鳴らす日となった。あまり長く放置していたせいか、最初はいい音で鳴らなかったが、夕方頃には聴きやすくなってきた。装置の鳴りが変わったのか、私の耳が慣れたのか分からないうちに古い真空管アンプを休ませた。

 昨年あたりのGWに比較すれば若干は余裕があったと思う。家内はこの間、畑に出たり、買い物したり、とゆったり過ごせたようである。

 何時も連休の評価はシルバーウイークとしたが、今年はちょっとシルバーに近いGWと評価したい。
 問題の老猫ナンナンであるが、惚けたためか今はすっかり昼夜逆転して私の早朝の大切な時間を煩く邪魔しに来る。小さな悩みであるが、間もなく生を終えようとしている家族の一員の最期の時間は尊重したいと考えてちょっとだけ余裕の出来た時間を彼女のために提供している。


5/12(火)小雨 外来 常務会 AKT収録 医局会
2:30起床、文献検討他。5:10病院着。6:30回診他。8:00救急カンファ、8:40-14:30外来、混雑。14:45-16:20常務会、16:30 AKT収録、17:30-19:00医局会。21:00帰宅。21:30就眠。

ブタインフルエンザ(9)新型インフルエンザ関連県医師会の動き
4月下旬から今日に至る迄の新型インフルエンザ関連の動き、県、県医師会としての対応状況についてまとめた。
5月12日現在の世界の蔓延国は31ヶ国 感染者5.144人 死者 61人 日本では感染者 4名である。

県医師会の対応の考え方の基本:新型インフルエンザ対策の主体は国、県、自治体であり、医師会、医療機関はその協力者である。(ただし、県や自治体がどうであろうと患者が発生する。その際の対応は独自に進めておく。)

■感染症等危機対策関連事業計画・予算平成20年
  感染症委員会開催
  郡市医師会担当理事連絡協議会開催
  講演会その他
■感染症等危機対策関連活動方針
  国の対策方針大幅変更のGL改訂版発行以降に活動する。
■感染症等危機管理委員会開催(1月20日)
  現状確認と国の方針変更に確認
  情報提供パンフレット購入配布→医報に同封配布済み
  医報に医療機関毎に求められる対策連載開始→3/15日号から開始
  講演会企画→平成21年度にずれ込み(5月18日)
  郡市医師会担当理事連絡協議会開催決定
■郡市医師会担当理事連絡協議会(3月26日)
  県の対策行動計画作成案
  郡市医師会毎の対策進捗状態の確認と情報交換
  県・市町村への要求項目
■県医師会理事会で上記要求項目確認、6月県補正予算に向けてPPEの確保要求(4月22日)
■県の対策行動計画作成に協力

新型インフルエンザ(H1N1)発生以降の活動
■3月メキシコでブタインフルエンザ(?)感染拡大
■米国・メキシコでブタインフルエンザ感染拡大(4月24日)
  感染者1.000人以上、死者60人
■WHOフェイズ4と(4月28日)
  県新興感染症部会(4月29日)
■WHOフェイズ5と(4月30日)横浜高校生疑い
  県感染症対策担当者会議(5月1日)
■大阪高校生3人+1感染者(5月8日)
  県新興感染症部会(5月10日)
■厚労省が公衆衛生学的対応の緩和を検討(5月12日)   
  
新型インフルエンザ(H1N1) の特徴----季節性インフルエンザと共通点が多いが、違いも若干。
● 通常のインフと同様「飛沫感染」が主。
● 潜伏期間は1-5日、長くて7日程度。
● 感染力は症状が出る1日前から発症後7日程度。
● 感染力は強いとみられるが重症患者は少ない。いわゆる弱毒型。
● 96%に高熱(平均39度)があり、上気道感染症状、筋肉痛など典型的な症状が多いが下痢症状が約半数にみられた。
● 60歳以上が殆どおらず、10代の患者が目立つ。
● 60%は18歳以下、それ以上はわずか5%。
● タミフル、リレンザは症状早期に投与で有効。
●予防は季節性のインフルエンザ予防と同様。

県内の対策準備上の問題点
● 地域主幹病院への期待が大きく、県・自治体の準備が大幅に遅れている。
   特に広報、発熱外来設置、入院病床確保の調整、医療用器材の確保、発    
   熱外来などへのマンパワー提供。
●医療関係者・医療機関も感染症指定医療機関、協力病院への期待感が大きく、
   自らも担うべき役割についての意識・自覚に乏しい。
●治療薬、診断キットなど枯渇し入手困難。
   ◎タミフル、リレンザは県では約20万人分------流通備蓄が期待薄。
     (医療関係者への予防投薬が認められた)
◎ 診断用キット-----新型の診断に結びつけるスクリーニングが出来ない恐れ。
◎ PPE材の不足-------前線に出る医療関係者の保護。
●対策や治療に参加した医療関係者、医療機関への対応。
◎ 安全対策
◎ 人件費と保障
◎ 保険診療対象外器財の扱い

県医師会の新型インフルエンザ対策
● 県の対策への協力、危機管理対策への参加、提言。
● 県・自治体と協力体制構築。
● 治療薬、診断キット、PPEなどの備蓄と手配。
● 医療機関同士の連携の構築。
● 会長名による会員への呼びかけ。
● 県医師会名による病院協会への提起
● 県医師会に「新型インフ対策室」立ち上げてはどうか。
患者・住民への広報ム特に医療機関受付等における指導。


5/11(月)雨  管理会議 外来 療養判定会議 長副会議 小沢氏辞任 
2:00起床。ドック総括、文献チェック。5:10病院、6:20回診他病棟業務。7:45-8:25管理会議.8:45-14:30外来、寝不足・体調不良で乗らず辛かった。16:00-16:30療養病棟判定会議。17:00-19:20長副会議。20:50帰宅,本日よりしばらく家内不在、夕食、21:30就寝。

小沢氏ついに辞任 これで民主は求心力を失う
 21:00、遅い夕食に箸を付けた途端、茶の間のTVニュースが民主党小沢代表の辞任記者会見の様子を報じた。激しく空腹であったが、フッと箸が止まった。

 ついに来るべき時が来た。これで、わが国の政治の状況は大きく変わる。政権交代も不可能でないところまで大きく勢力を伸ばして来た民主党は、明日から糸が切れた凧の如く迷走し始め、大きく求心力を失うだろう。
 いろいろな実力者が揃っていることは分かるが、まだ大きな核が必要であったし、民主党と言っても小沢党と言っても良いような集団である。総理候補として小沢氏だったからこそであって、他の誰も小沢氏に代われない、と思う。

 記者会見での小沢氏は吹っ切れたような良い笑顔を見せた。2006年4月衆議院補選で勝利をおさめた後、急に彼が前面に出て笑顔を振りまくようになったが、その時はむしろ作り笑い的で気持ちが悪かった。今日の笑いは寂しげな、本心からの笑いであった。彼の顔つきに笑いは、裏がありそうで似合わなかったが、今日のは良かった。

 しかし、ちょっと聞いただけだが、辞任に至る理由の説明の論旨はいつもの如く不明瞭で、何の理由で今になって辞任するのか、理由が分からない。ただ、記者の質問に関して、今回の公設秘書の逮捕は不当で法に照らしても露ほどにも問題はない、潔白である、とこの部分に関してだけは明快であった。
 ならば何で辞任するのか、ますます分からない。

 ざっと言って、彼は言葉での説明は下手であるし、言わなくても良いことを言い過ぎる傾向があった。福田首相との大連立が行き詰まった際にもまずい対応をして辞任間際まで行った。その時も言わなくて良いことを言い過ぎた。その時は反省の?涙と共に何とか復帰を遂げたが、代わりになる人材が不在だからであった。その時と今と何も変わっていないのに、今度は辞任??

 私は小沢氏は下手な政治家だと思う。彼は最前列に立たない方が良い方の政治家である。自らもそう思っているのだろうが、そうして居れないのは党の実情のためである。

 小沢氏の公設秘書の逮捕が政界を揺さぶったのは2月下旬から3月初旬にかけてであった。
 当時、小沢代表が記者会見し、違法性を強く否定し、検察の捜査に強く反論している。会見で、検察の捜査を「異常な捜査」と断じ、「政治的陰謀を感じる」「民主主義を危うくする」とまで述べた。完全に言い過ぎである。
 小沢氏は公設秘書の逮捕に関連して自らの発言で自らの頸を締めた。
 違法性が明らかになったら、あるいは説明と矛盾する事実が明らかになれば、彼は党代表の地位に留まることは許されないし、政治生命も終わる。ここまで居座ったのだから、その時に辞任すれば良かったのに、その前に決断してしまったのはどういうことなのか??

 小沢氏のルーツは一応岩手県である。微かに同郷の親しみも感じている。残念な結果になった。


5/10(日)曇りのち雨 病棟拘束 県新興感染症部会緊急会議
2:30起床。ドック関連処理、文献整理など。7:00バイク出勤。8:30救急カンファ。11:20帰宅。15:00バイク病院。16:00-19:00県新興感染症部会緊急会議+記者会見。20:00帰宅、夕食、21:00就寝。

日本医師会(19)日医は勤務医の意志を集約できるのか(2)
 今回の第120回日本医師会代議員会の20題の代表質問・個人質問は「医師不足・医療崩壊」「勤務医問題」と「その他」に三大別されるほどで、前二者において関連質問も次々と出され、勤務医対策代議員会と言っても良いような様相を呈した。
 代表質問のうち2題で、個人質問のうちの5題の質問の中に病院問題、勤務医問題が含まれていた。これらに対して副会長、3人の常任理事が答弁したが、何れも総論的・優等生的な答弁に終始し、勤務医の立場から大いに不満であった。
 
 日医の会員の約半数は勤務医であるが、代議員に占める勤務医の割合は、2007年度は5,7%、08年度は9.6%に過ぎずアンバランスは明らかである。
 質問者の一人は勤務医の意志を日医のもっと吸い上げるべきで、そのために代議員の比率も勤務医比率に応じて割り当てては如何か、との提言もあったがこれには問題もある。

 現実的に見て日医会員を開業医、病院勤務医と二大別するのは簡単であるが、病院勤務医は病院の規模別、公私別、設立母体別、専門領域別に見ても多様であり、病院が都市部あるいは県都にあるか、急性期病院否かによっても、東京から離れた地方にあるか否かによっても大きく考え方が異なる。これらの病院関係者が一堂に会し、各々の立場から意見を述べたら収拾がつかず大変なことになるだろう。

 現に、今回の代議員会では前回の診療報酬改訂に関して、診療所医からは病院への優遇策で厳しい扱いを受けているとの意見が出た。中小病院関係者からは大規模病院優遇の現状に我慢ならないと言う意見が、大規模病院からは現状の診療報酬の中では診療体制を維持していく上でマンパワーも人件費もままならないとの意見が出され、互いに牽制しあう状況も呈した。

 また、日医会員のうち勤務医が数値上約半数占めると言え、殆どが関心も乏しい幽霊会員である。だからといって日医が病院問題・勤務医問題をないがしろにしては成り立たない。早く手を打たなければ勤務医会員は去っていくだろう。

 何らかの方策は必要であるが、現時点で私に提言できる名案があるわけではない。
 今回の代議員会は病院問題・勤務医問題で盛り上がったが、時間さえあればまだまだ討論すべき内容は出てくると考えられる。
 出来ることであれば、パネルディスカッション形式で病院問題・勤務医問題を充分に論じる機会を複数回作ってはどうだろうか。それを通じて病院が、勤務医が日医に何を期待しているのかを提示し、日医がどう問題を吸い上げ会務に反映していくのかを検討していくのも方策の一つと考えられる。


5/9(土)快晴 病棟高速 新型インフ国内に侵入
2:00起床、文献検索そのほか。6:10病院着。6:30回診他。ラジオは新型インフ国内侵入関連ニュースを継続的に流している。8:30救急カンファ。机上処理中心。県の新興感染症部会の緊急会議明日。患者関連書類多数処理するも追いつかず。19:00帰宅、夕食、20:30就寝。

24年前の原稿用紙が復活  一方、ボーン・チャイナのカップは一瞬で昇天
 先日の連休に自宅の書類・文献等を整理し、いま勤務している病院に移る際にしまい込んだ箱を開けた。10数冊の血液・免疫系の専門誌、自分が関与した文献等の冊子類の他、A4版の原稿用紙、レポート用紙などが大量に出てきた。

 当時はまだ書類サイズはB5版が主流で、A4版はまだあまり使い勝手が良いとは言えなかったが、勿体ないからと比較的上質紙のものだけを選んでおいたものである。最近持ち物をどんどん整理していてやっとその箱に手が着いた、と言う感じである。書籍、文献等はこのご時世である当然無価値に等しいが、当時の状況が思い出され懐かしく感じた。
 仕舞い込んだのは24年前である。
 原稿用紙、レポート用紙は当時は真っ白な上級紙であったが、今はすっかり黄ばんで年月の長さが感じ取れた。それにしても博物館などで見る古い資料や古書など、今の紙質とは到底比較できないだろうが、よく長い年月それ程劣化しないでいるものだ、と改めて感心する。

 人間ドックの資料作成時には、当院医局で廃棄された原稿用紙や、機種が変わる毎に大量に廃棄される心電図等の記録用紙等を勿体ないからともらい受けて用いていたが、先般それらもついに使い切った。提供できる私物もなく、やむなく通常の白紙を用いていたが、勿体なくて心が痛んでいた。
 これらの原稿用紙、レポート用紙、積めば15cmほどになるからこれでしばらく代用できる。古いものだが無駄にしないで済みそうで私はとても気分が良い

 一方、連休中の勤務日であった5月4日、24年間毎日使い続けたボーン・チャイナのコーヒーカップを部屋で落として割ってしまった。
 これは大学から現在の病院に移る際に記念にと研究室の女性から戴いたもので、何一つ混じり気のない、真白と言うべきカップでとても気に入っていて、病院でのマイカップとしてこの24年間、毎日、毎日、何度も、何度も使い続けていたものである。

 私は筆記用具を始めとして身近な小道具は結構こだわりが強く、自分の気に入ったものしか使わない。病院備え付けのカップなどは殆ど用いたことはない。家でも一つだけである。良くマア24年間、落としもせず使い続けたものと今更ながら感心したが、手元からちょっと滑り落ちただけで一瞬に粉々となった。これが何かの拍子に行方不明になっていたら狂ったように探し歩くだろうが、私の目の前で壊れたのが私にとって救いとなった。潔く諦めることが出来たからである


5/8(金)快晴 入院患者家族面談 ICD・ICTと打ち合わせ 市保健所新型インフ協力医療機関との会議 療養病棟歓迎会
2:00起床、文献検索、その他。5:20バイク病院。6:30回診他。7:00入院患者家族面談、7:45 ICD・ICTと打ち合わせ。13:30-15:30市保健所新型インフ協力医療機関との会議、18:00-20:50療養病棟歓迎会。21:15帰宅、21:30就眠。

ブタインフルエンザ(8)新展開 日本人初感染者と国内への持ち込み例3人発生
 5/8昼、カナダ在住の日本人の子供が新型インフに感染していることが判明したと報じられた。ニュースは日本人に初の感染者が発生したと報じている。このケースはまだ帰国の予定がないとのこと、かつ、快方に向かっているとのことで、国内の防疫体制にあまり関与しないで解決するようである。
 また、厚生労働省は8日、成田空港に到着した米デトロイト発NW25便の乗客3人が、簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応を示したと発表していたが、9日早朝この3人が新型インフ感染と判明した、と発表した。今朝6:00am以降のNHKラジオはこのニュースで特別報道を行っている。
 3人は大阪府立高校の生徒と教師で、カナダでの短期留学に参加した帰りだとのことである。感染が明らかになった3人は法に基づき成田の感染症指定病院である成田赤十字病院に入院隔離されている。蛇足だが、ここの副院長は私と同級生である。

 3人は40代の教師1人と10代の生徒2人で、短期留学は3校共同で、生徒30人、教師6人が4月24日から5月8日までカナダの高校で授業を受けるなどしていた。感染場所は分かっていない。新型インフが比較的多数発生している地域であり、生徒達はマスク着用、手洗い等を励行していたという。厚労省は機内でこの3人の近くにいた49人を空港内の宿泊施設に留め置いており、本日民間のホテルに移す予定とのことである。

 厳密な意味で国内発生例ではない。持ち込み例である。国内で二次感染例が生じないように種々対策が進められているので今はその推移を見守りたい。
 
 昨日は秋田市保健所で新型インフ協力医療機関との会議が行われた。

 これまで保健所の発熱相談センターへの電話相談はザッと言って100件程度で、すべて渡航歴とかがない、新型インフとの関連性が乏しい相談であったという。住民の理解度に問題がありそうであるが、今のところ発熱に関してまず相談してみようと言う気になっていることを評価すべきである。また、40人ほどの方が新型インフが発生している国から帰国しており、この方がたは毎日健康状態の報告がされているのだという。

 理解度と言えば、発熱患者への診療を断っている医療機関が散見され、応招義務違反との関連で問題になっている。医療機関、医師達が、まだ国内で新型インフが蔓延していない時点でこの様な理解しがたい行動を取っていることは大いに問題である。
 国内への持ち込み例が発見されたことと国内発生例が生じる事態とは基本的に異なる。今回のケースは今後の推移を見守るしかないが、今のところ感染が拡大する可能性は小さい。しかしながら、感染者が国内に入ってきたことの意味に関して正確な情報をしっかり発信しないと一般国民、秋田県民に与える影響は少なくないだろう。ちなみに、今回の米デトロイト発NW25便には秋田県人は含まれていない。

 秋田市でも新型インフの初期対応を担う病院の準備は粛々と進んでいるが、これらの病院の対応だけでは不十分で、主役である自治体のより積極的な対応・関与が求められる。
 医療機関に負担が大きすぎる。行政側の早急な対応を望みたい。市民を護るために市保健所が果たすべき役割は大きい。


5/7(木)快晴 外来+人間ドック結果説明 県医務薬事課、健康推進課スタッフ来訪打ち合わせ 新入院対応
0:30起床。文献チェック。秋田医報投稿文2稿作成送付。5:10バイク病院着、6:30回診+病棟業務。8:00救急カンファ、8:40-15:00外来+人間ドック結果説明。地獄の外来。14:00、15:00県医務薬事課、健康推進課スタッフ来訪打ち合わせ。20:45帰宅,夕食、21:30就寝。

知らなければ無、事実が脚色されて飛び交う現代
 今はいろいろなメディアを通して情報が次々と入ってくる。自分が体感してもいないこと、経験してもいないことが次々と入ってくる。それによって多くのことを知る事が出来る。

 今回の新型インフルエンザに関しては立場上知らねばならぬ事なので求めて最新の情報を収集してきた。良い時代である。しかし、積極的に求めた場合、なかなか欲しい情報が手に入ってこないものだ、とやきもきする。
 一方、先のSMAPメンバーのちょっとした事件など知りたくなくとも入ってきた。この件は私にとって知る必要のない、無くて良い情報であり、報道されなければ小さな範囲で処理されてしかるべき小事件でしかなかったと思うが、十二単をまとう以上に派手に脚色され、作られ、大事件になってしまった。知らされなければ私個人にとっては無に等しい、どうでも良いことでもあった。

 私共は余りにも情報に右往左往させられている。そう意識しているだけまだ良いかのかな?とも思う。

 私共には優れた五感が備わっている。
 あり得ないことに近いかもしれないが、全く新しい情報が入ってこない環境に一ヶ月ほどいてみたい、としばしば思う。安息になるのか、不安になるのか、恐らく後者なのだろうが、是非やってみたいものである。
 
 この願望のルーツは私共が医学生の時に教えを受けた解剖学第二の○○○教授の言葉にえらく刺激を受けたからである。教授は研究に没頭していて第二次世界大戦が勃発したことを何週間か知らずにいた、と言うことを講義で述べていたが、当時、私はそんな教授の生活感の乏しい姿勢に若干反発を感じたものであったが、今となって見れば私もそう言う状況を経験してみたいと思ってきた。
 勿論、私の場合は研究とかという意味ではなく、隠遁とかトンズラのレベルのことである。左甚五郎の作品、見ざる・言わざる・聞かざる、の意味がやっと分かりかけてきたからでもある。

 飛び交う情報が無く、五感を生かして暮らしてみれば、限られたエリアでの、微々たるうつろいを情報源として重視するだろうから一層五感が研ぎ澄まされていくと思われる。そんな状態はどんなものだろうか。恐らく、新しい視野が開けていくのではないだろうか。

 桜の季節も過ぎた。蕾みのふくらみ、開花、満開などを自分で体感しつつ、求めて桜の花のうつろい、美しさを味わっている方はどれだけおられるのだろうか。マスコミのサクラ情報でその気にさせられて、花見にさそわれているだけでないのだろうか?多分そうだろうが、そのことを自覚しないのが自分としては怖いし、勿体ないと思う。


5/6(火)振り替え休日 病棟拘束   
2:00起床。ドック判定総括,徒然。6:15バイク病院着、6:30回診,病棟関連書類処理。8:30救急カンファ。10:50帰宅、以降自宅で文献書籍整理。医報投稿原稿準備。19:30夕食。20:30就眠。これで私のGWは終了。

ブタインフルエンザ(7)抗インフルエンザ薬現場では不足(2)
 今回の新型インフルエンザは幸いタミフルとリレンザが有効である。厚労省は今後も備蓄を増やすが、抗インフルエンザ薬は現時点では足りているとしているが、私は充分と思っておらず、不満である。
 抗インフルエンザ薬備蓄に関しては国や都道府県の備蓄に加えて、製薬会社、薬品卸業者、各医療機関の備蓄、則ち流通備蓄量もかなりあてにしてきた。

 今回の新型インフ発生で国内パンデミックが生じた際に大量の薬剤が必要となると考えられる。県の薬剤師会では4/30に県内にある495カ所の保健薬局に対して緊急の在庫調査を行ったが、回答があった400ほどの薬局が保持しているタミフルは約3.000人分、リレンザは1.600人分ということが分かった。これが県内に分散していて一つの薬局あたり10人分程度であった。しかも、製薬会社、薬品卸業者にも殆ど在庫がない状況で新たな入手は困難なのだと言う。

 各病院の薬剤部でも若干の備蓄はあると考えられるが、いまは院外処方の時代なのでそれほどは所持していない。

 5月4日私は救急外来を担当し35-40名ほどの患者を診たが、その中で6-7人ほどがインフルエンザ様であった。その中で2人の検査を行ったが共にB型インフルエンザであった。そのうちの一人は私の説明に納得して対症療法で済ませたが、13歳の女子中学生の場合父親が何としてでもリレンザの処方を希望した。聞くと、別の医療機関から40代の妻と自分はタミフルを、10歳の子はリレンザを投与され軽く済んだから・・と言うことであった。いろいろ説明したが納得しなかったのでやむなくリレンザを4日分処方した。私は抗インフルエンザ薬は全身状態が良ければ処方しない。救急外来や新患外来担当の機会が少ないから機会そのものが少ないが抗インフルエンザ薬は2年振りほどの処方である。

 数週間前には4歳の親戚の子が罹患し、タミフルシロップを処方されて帰ってきた。
 10代の患者について、タミフルについて、「ハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として使用を差し控える」と厚労省は通知があり、これは基本的にリレンザにも当てはまることであり、10代の患者には抗インフルエンザ薬は投与しないことになっているはずであるが、実際の医療の現場ではどうなっているのだろうかと疑問に感じた。恐らくは10代の患者にもかなり処方されているのではなかろうか?

 今回の新型インフルエンザは症状が軽いが蔓延防止のためには抗インフルエンザ薬が必要である。それにしても備蓄量、流通備蓄量は少ない。H5N1等の別のタイプの新イ発生の可能性も高まりつつあることには変わりがない。
 それにしても、備蓄量は不足である。季節性インフルエンザへの投与は控えめに、慎重に行うべきであろう。

 5月6日深夜時点での新型インフルエンザの発生国は23ヶ国、1.828人、死者は13人増えて42人である。メキシコ1.112人、米国407人が感染している。ヨーロッパではスペインの感染者が73人と多い。


5/5(火)こどもの日 快晴 病棟拘束 自宅整理
2:20起床、ドック結果等。そのほか種々処理。6:00バイク病院、超快晴で気分良し。回診その他病棟業務、8:30救急カンファ他、退院患者関連書類処理。11:00帰宅。借用畑を親戚に依頼し耕耘機で耕す。物置化した部屋を整理。17:00病院、書類処理、19:30帰宅、夕食、20:30就眠。

映画「おくりびと」を観た(2)私も「おくりびと」デス
 映画「おくりびと」を観た。

 私は1971年に医師免許を取得したので今までの35年間臨床医として数え切れない方々の最期に立ち会い、見送った。
 この社会は矛盾に満ち、差別に満ちている。人は受精した瞬間から格差や差別がつきまとう人生が始まる。しかし、死に至る過程、死後の扱いにも格差や差別が明らかであるが、死という一点に関して言えば、全ての人にとって平等に訪れる。死後は無である。だから、死後どんなに社会的に丁寧に扱われようと本人にはもはや関係がないから、死及び死後は全ての人は平等になる。

 だから、私は全ての人の最期を出来るだけ平等に、心して扱う。
 この映画が有名になる前から「おくりびと」を自称していたが、先を越されて納棺師に株を奪われた感じである。

 私どもの病院では死に立ち会った看護師が病室で「エンゼルメーキング」と言ってご遣体を清め、髪を整え、化粧してお別れの部屋にお送りする。そこで葬儀屋にご遺体を引き継ぎ、私どもスタッフは霊柩車が見えなくなるまで見送る。実は、それから先のことを私はよく分からない。私の祖父母、両親の時はどうしたか、少なくとも納棺師あるいはそれに準じた方が関与したか覚えていない。恐らく家族の中で着替えとかは済ませたように思う。

 欧米とわが国では死および遺体に関しては考え方、扱い方がかなり異なる。私は宗教的なことも分からないが、キリスト教の世界では日常生活そのものにかなり宗教的が入り込んでいるように見える。死が入り込んでいる様だ。

 米国では早くから死体に対して死化粧だけでなく、防腐処理や傷の修復まで請け負う業種が発達していた、とされる。現に、朝鮮戦争のころ、運ばれた米兵の遺体を洗浄し、整える仕事についた労務者のことが松本清張のある作品に主題として取り上げられていた。
 米国では、生前と変わらない姿で最期のお別れが出来る様にするという考えが我が国以上に浸透しているようだ。

 日本では日常生活の中に宗教は殆ど関与しておらず、仏教は閉鎖的で、多くの日本人にとって仏教は葬式仏教でしかない。
 宗教は生きる道を説くもののハズなのに、そのために見事な内容が整っているのに、葬式仏教だけなんて実に勿体ない。

 患者の多くは病院に来るよりもお寺の和尚に人生を、生き方を説法してもらい、いろいろ相談する方がずっと良い人生を送れる、と私は思っている。私は外来で死をあえて積極的に話題する。時には患者に寺に行く方が良い、と勧めている。でも行ったと言うことを聞いたことがない。

 徐々に変わってきたが、我が国では未だに死の話題はタブー視されており、死に対する偏見もあり、ましてや、死関連の業種への偏見も著しい。この映画、「おくりぴと」でも、偏見が渦巻いている状況が扱われる。だから、この作品が持つ意義はとても大きいと思う。

 私は日常的に死に接する立場なのでこの映画の中の死に対する扱いには特別の感慨はない。
 この映画に私が強く関心を持ったのは、チェロと、納棺前の遺体の扱いの技術、演じる俳優達の表情、山形の自然、風景であった。

 さて、アカデミー賞は5810人もの投票で決まるのだという。なんでこの作品が選ばれたのか、米国の選者の心を打ったのか、私はその背景について興味をいだいたが、良く理解できない。確かに見事な作品に仕上がっているが、映画作りの技術という面ではこれ以上の作品はいくらでもあるのではなかろうか。従来のアカデミー受賞作は一本も見ていないから比較も出来ない。

 今回、この作品の死という、余りにも当たり前の、普遍的な内容が注目されたとすれば、米国でも死に対する考え方が変化しつつあるのではないだろうか、そんな時代を迎えていることを予感させた。


5/4(月)みどりの日 晴れ 病棟拘束 日直・ICU日直で午前外来
2:30起床,ドック総括x1。講演準備など。6:00病院着、6:30回診他病棟業務。8:30救急カンファ。8:40-14:00午前救急外来。3年振りほどでリレンザ処方。ほとんど席を立てなかった。夕方まで退院総括、患者病態検討関連業務。19:00帰宅、夕食、20:30就眠。

ブタインフルエンザ(6)抗インフルエンザ役備蓄十分??現場では不足(1)
 今回の新型インフルエンザは幸い治療薬のタミフルとリレンザが有効という結果が出ている。これは不幸中の幸いと言える。

 日本では国と都道府県を合わせてタミフル3.300万人分、タミフルが効きにくい耐性のウイルスが出た場合に備えてリレンザ270万人分を備蓄している。厚労省は今後も備蓄を増やすが、今回の新型インフルに対して現時点では足りているとしている。政府のガイドラインでは、新型インフル発生時には、濃厚に接触した人たちへの予防投与にも用いるとされている。

 しかし、私は充分と思っておらず、不満である。
 秋田県では現時点でタミフルが96.000人分(10Cap/人)備蓄している。リレンザ備蓄はない。

 今回のH1N1の真の感染率等はまだ分からないが、従来から準備してきた鳥型のH5N1新型インフルエンザを想定しての予想では罹患率約30%と想定されており、秋田県民の罹患者は約30万人、医療機関受診者数は11.3-21.7万人(中央値14.8万人)と推定されている。それなのに、10万人分以下では不足である。だから、この備蓄量の中には医療関係者用の安全確保のための予防投薬分は備蓄されていない。

 パンデミックになれば医療関係者も一般の方々も大差なく感染の機会があるが、それに至るまでの間に診療を担当する医療関係者の感染危険度は一般の方々より遙かに高い。だから、この時期医療を担当するスタッフには感染予防投薬が必要である。

 しかし、国は医療関係者への予防的投薬は認めていない。 
 秋田県の備蓄抗インフルエンザウイルス薬の供給要領によれば、発熱外来において感染対策が不十分な状態で患者に接した医療従事者に対する予防投与が保健所長の判断によって可能となっているので、これを拠り所として医療関係者への予防的投薬は可能ではないか、と思う。
 それにしても、備蓄量は不足である。


5/3(日)憲法記念日 快晴 病棟拘束 
2:30起床。ドック総括x1他。5:50バイク病院、6:20回診、関連書類処理.8:30救急カンファ。11:30帰宅。本読みなど自宅若干整理.午後文献整理しつつDVD「おくりびと」見る。17:00病院、19:00帰宅、夕食、20:30就眠。

映画「おくりびと」を観た(1)主演男優のチェロ演奏の演技の見事さに感嘆
 昨年8月のお盆期間、墓参り時に若干の時間が出来たのでレンタルDVDでスピルバーグ監督「シンドラーのリスト」を観、重い重い史実を映像で知った。この作品は、ナチスのユダヤ人迫害の模様を再現した大作であった。
 映像の持つ伝達能力の高さに感じ入って、私が今までこのジャンルを軽視してきた事を悔やんで若干気持ちを入れ替えた。

 このGW、自宅で処理できる業務棟は出来るだけ持ち帰り、自宅で家族や間もなく生を終えることになるだろうネコの「ナン・ナン」と一緒に過ごすようにしている。
 本日は午後書類処理・廃棄をしながらかねてから観たいと思っていた話題作「おくりびと」をDVDで観た。シンドラー以来2作品目の映画鑑賞である。私はこの作品については米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した事くらいは知っていたが、詳細やあらすじ等については殆ど知らなかった。 

 何で、特にこの作品に興味をいだいたかというと、私自身が自ら「おくりびと」を自認しているからである。アカデミー賞授賞の際に余りにも大きな話題になったが、葬儀屋や納棺師にすっかり株を奪われてしまった、と言う妙な感想をいだき是非観たいと思っていたからである。

 スタッフは、滝田洋二郎監督、本木雅弘、広末涼子、余貴美子、山崎努ほかが出演している。何れも有名人とのことであるが、恥ずかしながら私が知っていたのは広末涼子一人だけである。広末涼子は次男が中高生の頃気に入っていろいろ雑誌とか買い集めていたからである。

 まず、オーケストラの場面から始まる。山形交響楽団員に混じって主演の本木氏がベートーヴェンの合唱付き交響曲を演奏しているが、何ら不自然さのない堂々たるチェリストを演じている。他のチェリストと弓の動きも、身体の動きも、左手の形も、見事に一致しており、若干ながらチェロをかじった私の立場から見て最大の驚きである。如何にプロの俳優が優れた技能を持っているとしても、信じられないような見事なチェロ演奏の場面が展開された。彼は本当にチェロを流暢に弾きこなせるのではないのだろうか。見終わった今でもそう思ってしまう。

 この映画を通じてチェロを演奏する場面、チェロの音楽がふんだんに流されるのもとても心地良い。

 この映画は静かであり、暗い設定で終始している。場面展開も少ない。それがまた良い。その中で燦然と光り輝いているのは主演の木本氏を始めとするスタッフの表情の変化である。表情の変化を見ているだけでも俳優としての卓越した技術が読みとれる。広末のせりふも聞いてて心地よい。
 死者の役を演じた数人も素晴らしい演技である。でも、死化粧前から顔色が良くて死人の表情ではなかった。

 山形の庄内地方の自然、景色、風景、背景に使われた名峰月山が見事にマッチした。ただ、何で河川敷でチェロを弾かねばならないのか、その設定は理解できない。


5/2(土)快晴 病棟拘束 医学生と面談 患者関連書類処理
2:30起床。ドック総括x1他。5:50バイク病院、6:20回診、患者関連書類処理.8:30救急カンファ。医学生面談。以降は患者関連書類処理に集中。19:00帰宅、夕食、20:30就眠。

ブタインフルエンザ(5)私は感染症・ウイルス学の専門家でなんかないのだよ
 今回の新型インフルエンザ発症蔓延は当然のことながら世界中の話題になっている。
 新しい情報収集のためにNHKラジオ第一放送を流しながら業務をこなしているが、韓国で第一例が発症したという話題はあったものの、本日は特に大きな動きはなかった。各国からの特派員報告などでもこの話題に集中していた。その中で、日本の状況は少し騒ぎすぎでないか、等のコメントが複数の方々から語られていた。

 確かにマスコミの扱いはそうかもしれない。そのような印象を持つ。
 しかし、一方で住民への正しい知識の広報は重要である。例えば、先日のSMAP関連の様なミーハー的話題なら直ぐ浸透するが、正しい知識の普及のための広報番組等の場合、いくら強調しても話した内容の1割も浸透しないと思われる。だから、若干オーバーなほどの表現で、繰り返し繰り返し流される必要がある。

 新型インフルエンザは来るか来ないかではなく、何時来るかのレベルだったから今回発生しておかしくなかったのだが、メキシコから、かつ、ブタ型のウイルスで来るとは想定外であった。

 新型インフルエンザの対応は基本的に国や県、自治体である。しかし、県が備蓄すべきマスクや防護服、医薬品はまだまだ不足である。現場に出る医療関係者の安全確保のために、5月補正予算に提出すると言うので、県医師会の試算によるマスクや防護服の申請も県にしたばかりであった。ただその内容を見た担当者は余りの多い要求に腰を抜かしたと言う。要するに、現場では未だ準備不足の中で発症してしまったと言うことになる。

 ただ、この間の観察ではウイルスの感染力は強いものの毒性はそう強くないようである。私は間もなく終焉の方向に向かうのではなかろうかと思い始めている。
 まだ予断は許さないが、この様なマイルドな毒性での発症は不幸中の幸であった、と私は思う。準備を進めてきたH5N1型強毒型鳥由来の新型インフルエンザの発症の可能性は変わることなく今後も続くだけに、危機管理にとって良い経験となる。横浜の高校生の例も本人には気の毒だが無いよりはよかった。

 県医師会の感染症等危機管理の担当として、県の新興感染症部会の部会長の立場上、地域のマスコミから取材の申し込みがここ数日集中した。予め話題を整理しての出演は時間的に困難なのでラジオ、TVはインタビュー形式にしてもらった。これだと申し込みが何時あっても時間さえあれば対応できるからである。

 一昨日、自分が出たTVニュースをチラッと見た。特集的扱いになっていてタイトルは「新型インフルエンザ:感染症・ウイルス学の専門家に聞く」となっていた。そんな、勝手に恐れ多い肩書きをつけられては困る。
 私は血液疾患を学んだがその過程で感染防御等などについて若干かじった程度である。しかも、その現場を離れて20年以上と長い。私は決してアカデミックな立場でこの分野を担当しているのではない。県医師会役員の顔ぶれからたまたま私にまわってきた担当部門で、その立場から県の委員会にも参加し、たまたま部会長を務めているだけに過ぎない。

 県内におられる感染症やウイルス学の専門医の方々を差し置いて私が前面に出ることに恐れすら感じているほどで、少なくとも誤ったことだけは言わないようにと注意している。
 今のところどこからもクレームが聞こえてこないからちょっとだけ安心している。そろそろ若手に譲りたい分野である。


5/1(金 )快晴 発熱外来設置検討 ABS取材 県緊急新型インフルエンザ対策担当者会議
2:30起床、ドック総括x1。事務処理。新型インフルエンザ関連書類他。6:00病院着、6:15回診、患者関連書類。8:00救急カンファ、以降は終日新型インフ中心に発熱外来の設置準備、TVニュース用解説収録。16:00-18:30県緊急新型インフルエンザ対策担当者会議。この最中に横浜の高校生、ブタH1N1陰性と出てホッと一安心した。病棟患者対応。20:00バイク帰宅、夕食、21:15就眠。

乱読、斜め読み、とばし読み、積ん読 本は貯金と同じ
 私は本の世界が好きである。
 大学入学以降沢山の本を読むようになった。切掛けは高校、浪人時代を含めあまりにも本を読む機会がなかったと言うことで私のコンプレックスにもなっていたと言うことにつきる。さほど優れていない私が、高校の担任に進学指導の際に「国立の医学部を受けるなら東大だね。人生の記念になるよ」と半ばバカ扱いされたことに強く反発し、それをエネルギーにして国立大を狙っていたから、時間的に本を読む余裕など全くなかったのが最大の理由である。

 大学では時間が出来たのでまず何をさておいても楽器練習と読書に集中する事とした。
 しかし、知識無く、拠り所がなく、自分でも何を読めばいいのか分からなかった。立てた目標は「岩波100冊の本(1961年)」として紹介されている本を全部読むことにした。されど金はない。したがって新潟市内の古本屋回りで購入した。資金はパチンコであった。古町のパチンコ「白鳥」の近くには古本屋が二軒あり、私はとても重宝した。
 蛇足ながら私のパチンコ歴は給料を戴くようになってからは殆どやっていないが、学生時代には教科書購入の資金稼ぎ、生活費稼ぎのためにかなり時間もかけた。大損しないように原則を決めていたから、結果として利を生んだ。

 その中で比較的早めに読んだのが「フランクリン自伝」であるが、この中に「惰眠は人生の浪費そのものである」、とする記述があり、当時何故かいたく感じ入り、それ以降は早起きに勉めることとなった。私はそれ以降今に至るまで寝不足人生を送っている。

 私の本読みはしたがってマイペースでゆったりでなく憑かれたように、半ば義務感を持って読み進めることになったが、結果として乱読、斜め読み、とばし読みとなった。大体医進過程2年間で「岩波100冊の本(1961年)」シリーズはほぼ読み終えた。
 岩波100冊の本はその後何度か入れ替えがあり、「新選100冊の本(1974年)」「読書の達人が選ぶ岩波文庫の100冊(1992年)」として発展しているようであるが、中身は実際には確かめていない。将来の楽しみの一つとしてとってある。

 読書を趣味とされる多くの方は上手に図書館を利用されているようであるが私は借りた本は手に取ってパラパラと捲ってみるが、真剣には読まない。読みたい本は必ず購入する。私の読書は今はまず目を通しておいて「将来の再読の楽しみのため」への蓄積のためでもある。

 だから私の本読みは貯蓄と同じ意味がある。むしろ貯本と言うべきか。読む時間もないのに今も次々と買い込んでいるから、貯本が増えて来る。何年も前から朝日、秋田さきがけ新聞の日曜日毎の書評から読みたい本のリストも2.000冊ほどにもなっている。しかし、大型書店に行くとうれしさ半分、逆に私の残り時間を考えてしまい、居たたまれなくなると言う矛盾した気持ちになる。

 本の背表紙を眺めながら、間もなく来るであろう読書三昧に過ごせる日々を心待ちにしている。


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   年を通じてワンパターンで淡々とした毎日です。AM2:00-5:00にメールチェック・返事送付、人間ドック(HDD)判定・報告書作成、新聞切り抜き、病院・医師会業務など。
  月〜土曜は6:00頃出勤、HDD報告書印刷、外来書類処理など。病棟回診、HDD受診者とミーティングと診察。8:45-14:00外来とHDD受診者に結果説明。昼食は摂りません。午後は病院業務・医師会業務、各種委員会等に出席など。20:00頃帰宅。
  日曜・祭日もほぼ同様ですが、病院には午後出かけます。時間的に余裕無いのが悩みです。


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