徒然日記
2008年9月分

 日記と言うより、自分の行動記録からの抜粋と日々の雑感です。

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9/30(火)晴れ 患者家族面談 外来 法人常務会 医局カンファ
2:00起床。ドック判定総括x1、他いつもと同じ。5:15病院着.6:15回診、病棟業務。7:00患者家族面談、胃瘻関連。8:00救急カンファ。8:45-14:20外来+ドック説明x2。混雑。14:45-15:40法人常務会。17:30-18:30医局カンファ、血液浄化療法。21:00帰宅、夕食、21:50就寝。

新型インフルエンザ対策(4)感染防御の基本は人同士群がらないこと
 わが国の新型インフルエンザ「新型イ」の対応は国際的な観点から見ればはかなり遅れているとされている。最近、国の動きが活発になってきているが、医療現場を預かっている私共の目から見ても各地域の対策は遅々としている。

 国は「新型イ」発生国からの流入を阻止するために対策を講じているが、若干流行を遅らせる程度で完全阻止は不可能である。我が国に「新型イ」が流入した際には次の手は如何に封じ込めるかであり、そのガイドラインも出来ている。しかし、人の往来が激しい現代社会に於いては、封じ込め策は破綻する可能性が高く、流行は避けられないと考えられている。

 国内で流行間蔓延しつつある状態での感染防止はプレパンデミックワクチンや抗インフルエンザ薬の予防投与の方法もあるが、その効果も確実なものでない。第一、今の備蓄量では不足である。

 「新型イ」は基本的に飛沫感染で、感染者の咳やくしゃみと共に排出されたウイルスを吸い込まない、身体につけないことが大事である。だから、感染蔓延の途上では次に必要な重要な手段は感染者の移動を出来るだけ抑制することと、ヒトとヒトとの接触を避けるよう国民に指導することであり、それを行政の力で実行することである。その際、最低限の維持すべきヒトとヒトとの距離は1m以上と言うことになる。こうなると今の社会の大部分の活動は影響が出る。

 まず、幼稚園、小中高校、大学その他の教育機関は休校し自宅待機となる。結婚式、講演会、演芸会、コンサートなどの不特定多数が会場に集う催しは中止勧告が出されるだろう。「新型イ」で死者が出ても葬儀は危険である。
 ラッシュアワー時の交通機関も危険で、マイカー利用が推奨される。問題は老人福祉施設である。虚弱な高齢者が集っているこの環境は、感染症の防御が最も難かしい。「新型イ」の流行が差し迫ってきていても各家庭に引き取ることは難しい。

 要するに、「新型イ」が流行した際には社会生活の大幅な縮小が求められる。その際、特に企業にとっては職員の大量病欠、機能低下、収入減で一気に死活問題となり得る。「新型イ」が流行時の業務範囲の縮小、人員の確保と配置、企業間連携などの対策、などのシミュレーションが求められるが、県内企業でそれらの対策が進んでいるという話を聞かない。


9/29(月)晴れ 管理会議 外来 療養病棟判定会議 長副会議 
2:00起床。ドック判定総括x1他いつもの如し。5:10病院着。6:30回診、病棟業務。7:45-8:30管理会議。8:45-14:20外来。16:00-16:30療養病棟判定会議、17:00-18:20長副会議。20:50帰宅、夕食、21:30就寝。

新型インフルエンザ対策 最近の動き(2) 
 わが国の新型インフルエンザ新型イ」の対応は甘く、遅れているとされているが、政府は2008年4月に「新型イ」の「水際対策ならびに地域封じ込め対策案」を発表した。それ前後からいろいろな動きが見られている。その一部を列挙してみた。

■ 秋田県:「新型イ」対応訓練横手市で施行(2月)。
■厚労省:プレパンデミックワクチンを医療従事者1.000万人に接種を検討(4月)。
■秋田県誘致企業が「新型イ」ワクチン1.000万人分製造供給と発表(5月)。
■十和田湖畔で死亡白鳥4羽から強毒型H5N1ウイルス検出(5月)。
■ 秋田県:抗インフルエンザ薬96.000人分備蓄(5月)。
■与党プロジェクトが抗インフルエンザ薬の備蓄を、国民の50%迄分、と提言(6月)
■ 三菱総合研究所がシミュレーション発表。最初の「新型イ」患者発生から4週間後に学校閉鎖でピーク時の新規患者40%減。電車運休で1週間ほどピークを遅らせるが新規感染者数減少効果は無し(7月)。
■米国研究チームが「新型イ」による全世界で死者6.400万人と推計。96%が途上国、日本は1.200万人とした。
■企業の「新型イ」対策は上場企業の10%のみ。対応予定無しが半数(7月)
■ 全国知事会:「新型イ」パンデミック時の知事権限の強化など提言(7月)
■ プレパンデミックワクチン2.000万人分備蓄(7月)。
■プレパンデミックワクチンを都内の医師など6.400人に接種開始(8月)。
■ 厚労省:「新型イ」対策費4倍の705億円要求(8月)。
■国土交通省:「新型イ」パンデミック時の交通手段検討。乗客数減少対策、マイカー通勤増時の道路使用制限など(8月)。
■ 総務省消防庁:「新型イ」には患者移送用の隔離カプセル、宇宙服様の過剰な感染防御服は不要と発表(9月)。
■警察庁:「新型イ」パンデミック時に医療機関周辺の交通規制、患者搬送で医療活動を支援。警戒活動、混乱の沈静化対策も計画(9月)。
■厚労省:「新型イ」具体的対応策を4段階に分類して発表。各段階の判断は国または都道府県が行う(9月)。
■政府:社会基盤維持のためのプレパンデミックワクチン優先接種100職種案を発表。対象は1.000-1.500万人。医療従事者、政府、地方自治体の意志決定者、国民の生活機能維持関連業者としている(9月)。
■WHOに報告されたH5N1鳥インフルエンザの人感染者数は本年9/10現在15カ国で383人で、うち241人が死亡(9月)。

 「新型イ」対策は今年になってから政府や各省庁の動きが活発になっていている。しかし、秋田県の状況をみても、現実の医療現場の対応方針とかは遅々としている。医師会でも「新型イ」の対応マニュアルを作成し、県のガイドラインにも生かされているが、発熱外来の設置などまだまだ不十分である。

 「新型イ」の対応の主役は行政、自治体である。医療機関は協力は惜しまないが、対策の主役ではあり得ない。対応案を早急に具現化して欲しい。


9/28(日)曇りのち晴 寒い一日 病棟拘束 
 2:00起床、ドック判定総括x1。未だ風邪気味か、不調で5:00-7:45再度就眠。体調若干軽減す。そのまま自宅で新型インフルエンザ関連の業務など。13:30病院へ。退院総括、主治医意見書など机上書類処理。19:30帰宅、夕食、21:00就寝。

気付かれ難い新聞広告  特に、紙面下段の広告と全面広告
 秋田の地方紙である魁新聞に私共の法人と各病院の広告が今月26日から9回シリーズで掲載されている。
 医療法の広告規制が大幅に緩和されたために可能となった広告で、新聞社が企画した。県内の主要な病院がエントリーするとのことで当法人は3番目らしい。3番目らしい、としたのは、実は私は前に掲載されたという2病院の広告掲載に気づいていなかったからである。

 掲載2日目である昨日の夕食時にこの広告について話題としてみたが、やはり家族は誰もこの広告に気づいていない様子であった。家内、長男にわざわざヒントを与えて探させたがなかなか気づかなかった。それで、賄いの石井さんに「私の写真が今日の魁紙面に載っているがどこにあるか探してみて・・」と、あまり芳しくないことだが、5分間の制限時間で賞金3.000円かけて探させてみた。結果は探し出せなかった。最下段に載っているとは思いもしなかった・・とのことであった。これが一般的なところでなかろうか。

 広告は紙面の3-5ページ目の最下段に縦10cm、横は紙面の全幅を用いているから結構大きい。
 企画の段階ではなるべく目立つよう文章を少なくして画像を中心とし、字は大きくしている。しかもカラーである。にもかかわらず、この結果である。他の方の意見を聞いたわけでないので何とも言えないが、この調子だとあまり見てもらえていないのかもしれないと思った。

 私の場合は新聞を切り抜いて資料として保存しているので、材料としてなりそうな記事を隅々まで探し求めているが、先に掲載された病院、今回の当法人の広告は私のアンテナに一切引っかかってこなかった。
 その理由は、紙面下段の広告は書籍の広告、死亡広告等をのぞくとはあまり興味の沸かない分野の広告で占められているから通常は無視しているからである。これは全面広告でも同様である。今まで日本医師会が10回ほど全面の意見広告を掲載したが購読している朝日の紙面で気づいたことは一度もない。医師会からの文書を見て振り返って探し出して確認しているのが実情である。

 予想していた色調よりずっと地味に印刷されていることも目立たない一因かもしれない。
 ともあれ、せっかくの企画である。まだ6回も続く。何とか県民、市民の目に止まって欲しいものである。


9/27(土)曇り・雨 病棟拘束 秋田市医師会立秋田看護学校「高看祭」 歯科治療
2:00起床、新聞チェック、情報収集。5:10病院着、6:30回診他。病棟業務。書類処理。8:30救急カンファ。11:00病棟対応。14:30-15:30秋田市医師会立看護学校へ。「高看祭:バリトン伊藤講演」聴講。16:00-16:30歯科治療、17:30帰宅、ドック総括他。夕食、20:30就寝。

新型インフルエンザ対策 最近の動き(1) 
 地域産業保険センター便り2007.4月号巻頭言に「新型インフルエンザ対策を進めていますか?」を掲載した。その後約1年半経過した。幸い、新型インフルエンザ「新型イ」は未だ発生していないが、その可能性がさらに高まっている。

 その判断は次の理由による。
■鳥インフルエンザウイルス(高病原性H5N1)の野鳥等への流行が60カ国に及び、すでにパンデミックの状況にある。
■高病原性H5N1鳥ウイルスのヒトへの感染が多発し、本年9/10現在15カ国で383人で、うち241人が死亡している。
■ヒトから分離された高病原性H5N1ウイルスの遺伝子解析でヒト細胞への結合を容易にする変異が確認された。  

 政府も2008年4月に「新型イ」の「水際対策ならびに地域封じ込め対策案」を発表した。いずれも「新型イ」が発生した際の初期対応に関する具体的な対策が述べられている。

 それの概要は以下の如くである。
■直行分がある都市で「新型イ」が発生した際には航空会社に運行自粛を求める。
■医師、看護師を同乗させた政府専用機、自衛隊機で邦人の帰国を助ける。
■入国は空路は成田・関西・中部・福岡の4空港に限定、海路は横浜、神戸、門司の3港に限定し、検疫体制を強化する。
■感染者と接触した帰国者は医療施設の他、医師、看護師を配置した個室管理の出来る宿泊施設で10日間停留させる。
■医師、看護師にはプレパンデミックワクチンを投与する。
■既に発症した邦人は現地で治療する。
■・・・・

 日本の方針は早期帰国や侵入防止のみを考えているが、他の先進国は治療薬やワクチンの整備などウイルス侵入を前提に具体的な方針をとっており、日本の対応は甘すぎるし、利己的だ、との疑問の声も挙がっている。


9/26(金)曇り 某薬局員来訪 ドック診察 健康推進課員来訪打ち合わせ 法人理事会 
1:00起床、ドック判定総括x1等.5:10Taxi病院着。感冒様症状・発熱・全身違和感。6:50回診+病棟関連業務.8:00救急カンファ(欠)。10:00薬局員来訪歓談。11:30入院患者対応と面談。13:30ドック診察x5。16:00県健康推進課員来訪打ち合わせ。17:00-19:20法人理事会。広州から帰国の長男駅に迎え21:30帰宅。22:00就寝。

突前、小泉氏引退宣言 見事だが標的を失った感じだ
 自分の進退に関してウジウジと口に出すものではない。小泉元首相の引退宣言は見事、さすがである。小泉構造改革内閣の骨太の方針に一定の距離を置いた麻生新内閣発足直後、解散総選挙直前、と言う発表のタイミングも彼らしさがあって絶妙だ。

 説明抜きで「自民党をぶっつぶす」「改革と成長」「抵抗勢力」等のエキセントリックな標語を掲げ、経済財政の構造改革を次々と進めた。公共事業費は01-06年度で約3割ほども、明らかに減った、とのことである。

 高支持率を背景に強引に「道路公団・郵政」の民営化、規制緩和も推し進め、実質経済成長率は年2%程度に回復した。しかし、結果として所得や地域間の格差拡大なども生み、雇用は低迷、国民の生活は苦しくなったほか、医師不足など社会保障分野の歪みも拡大し、退いてまだ2年しか経っていないが、今や全国で「医療崩壊」が大問題になっている。

 医療福祉分野における発言、方針は「三方一両損」「株式会社の参入」「混合診療解禁」「三位一体改革」「聖域無き規制緩和」・・等を挙げた。

 首相の改革の理念は、構造改革特区の募集要項に記載された、「生命・身体・健康に関するから、と言う理由で対象外にすべきではない」という文言に象徴・集約されている。経済活性化のためなら人の命・身体・健康を犠牲にしても構わないと言う考え方で、今までこれほどまで明言した政治家はいない。通常なら更迭・失脚の対象となる。これを言わせたのは論理性よりもムードを重んじ、政策でなく人気で投票する国民でもある。何故か、今でも絶大な人気である。

 彼が掲げた弱者軽視の方針は医療人として到底容認できないものであった。
 私共医師会は首相在任当時から今でも一貫して首相の方針に反対を唱えてきた。私の文章にも「小泉首相」「小泉元首相」と頻繁に出てくるが、それだけ今でも存在感が大きく、糾弾の対象として格好だったからである。それが突然の引退宣言である。

 敵前逃亡的イメージもある。逃げられた、と言う感じで気が抜けてしまった。

 ところで、政治家や官僚達の仕事の成果は数年後に、あるいはそれ以上経てから評価が決まる。その際、自分の仕事に関してどのように責任を負うのだろうか。過誤という考え方は無いのだろうか。


9/25(木)晴 心臓血管外科医と面談 外来 内科病棟診療部会議(欠) プロジェクトチーム会議 
1:30起床、本日の会議準備。5:10Taxi病院着、6:20回診、病棟業務。8:00救急カンファ(欠)。8:15-8:40心臓血管外科医と患者対策。8:45-14:30外来、内科病棟診療部会議は出席できず。16:00-17:45プロジェクトチーム会議。18:30療養病棟歓送迎会。20:10Taxi帰宅、夕食、20:30就寝。

麻生内閣発足 厚労大臣は再々度舛添氏
 22日、麻生氏が自民党総裁に選ばれた。
 この総裁選は麻生氏が決定的に本命であったからこそ5人も立候補できた、いわば一種の政治ショーであった。麻生氏以外の4氏には深刻さはなく、自民党の広報活動に一役買いながら、とりあえず次のための基礎作りをしておこうと言うような気楽な雰囲気が漂っていた。党を挙げて経済対策が急務なのであるが、各候補が掲げた3様の政策におのおの見るべきものはあったが、どれも決定的なものとは思えなかった。自分の主張が正しいと真剣に考えてるのなら他の候補との対決姿勢を顕わにしても良かったのだがその雰囲気すら感じ取れなかった。もともとやらなくても良い総裁選だったのだ。これは自民党の総選挙対策の一環だったのだろう。

 麻生自民党総裁が24日の臨時国会で首相に選出され新内閣が発足した。
 福田内閣もそうであったが、安部、麻生内閣とも国民の審判を受けない内閣で、暫定的内閣である。政界は既に衆院解散、総選挙の準備がなされ、小沢氏は虎視眈々と政権をねらっている。総選挙の結果によっては政権交代もあり得る厳しい政局を迎えている。新内閣発足時は内閣の支持率が高いから、早期解散、総選挙も一つの手段であるが、やはり日本をどう舵取りするのかの政策論争が重要である。

 麻生首相は高齢者医療制度の見直しをはじめ、年金問題、食の安全性確保など、どう処理しようとするのか。注目したい。

 首相は、また、小沢氏と真っ向から対決すると言っているのでこれは楽しみである。一方、小沢氏は次期衆院選を「政権交代のラストチャンス」と言っているが、これではダメだ。小沢氏にとっては最後だろうが、党にとっては政権を握れるかもしれない初めての機会である。このスローガンは民主党の人材不足、経験不足等の弱点を言い表している。だからこれを強調すればするほど自ら墓穴を掘っていく。

 厚労大臣は舛添氏、3期目である。発言に適正さを欠くことも少なくないが,かえってそれで注目され、前向きに議論を呼ぶなど、従来の厚労大臣には無いキャラクターである。後ろ向きに目立つ大臣は多いが、前向きに目立たない大臣では困る。小泉内閣で急速に悪化した医療・福祉の分野を立ち直らせるためには今厚労大臣の首をすげ替える要はない。舛添氏にはこの内閣でも一貫した政策を押し進めて欲しい、と期待したい。 


9/24(水)晴れ 外来 法人常務会 県医師会理事会+東北医連総会慰労会
2:00起床。ドック判定総括x1、他。5:10病院着。6:20回診、病棟業務。8:00救急カンファ。8:45-13:55混雑外来、疲弊。16:30-18:00県医師会理事会(Metro)。18:00東北医連総会慰労会、19:10中座し病院、21;15Taxi帰宅、21:50就寝。

先生、もっと話を聞いてください(3)余話 私はヘルスメーターを埋め込んでいます

 高齢者の方々、特に英語の素養が乏しい方々にはカタカナ語は難しい。これは手慣れている私共には理解できない世界なのだろう。尤も、世代が違う若者が話しているカタカナ語は私には分からない。

 日本語の良さは、話している間にも、字、特に漢字を見るとそれなりのイメージがさっと湧いてくるからスッと通じると思う。特に漢字の場合は一つ一つに意味を持っているからわかりやすい。全く中国語を知らずとも看板が漢字だと何の店か、何となく予想が付く。

 カタカナ語はその点は全く駄目である。高齢者にとっては理解も覚えるのも困難と思う。いまカタカナが驚くほど氾濫している。若い人の感覚と高齢者のそれとは異なることを自覚して使い分けなければならない。

 外来での話。
 80歳ほどのご高齢の夫婦で来院している患者さんに脳のMRI検査が必要になっていろいろ説明しながら、「ところで、何か手術受けたことありますか?身体の中に金属か何か埋め込んでませんか?」と聞いたところ、「2年ほど前に成人病医療センターでヘルスメーターを取り付けてもらいました」と言う。

高齢者の方々を多く診る外来は決して楽ではない。耳も遠いし、話がうまく通じないことも多々ある。この後数分、何度か「ヘルスメーター」でなく「それはペースメーカーと言うんですよ」、と大声で教えたが、「いいえ、ヘルスメーターです。主治医が言ってました。心臓の拍動が狂った時に自動的に・・」と頑なである。物わかりの悪い医者だな、とでも思ったか、ヘルスメーターの機能の講釈までしてくれた。

 何度か言わせてみて、何とか「ペースメーカー」と言えるようになった。「長い間間違ってました・・・」 と笑って帰っていった。で、この患者、数日後にCTによる脳の検査結果を聞きに来院したが、また完全に「ヘルスメーター」に戻っていて、「それはペースメーカーでしょう」と話したら全然覚えておらず話が通じなかった。脳は軽度に萎縮していた。
 私はこの時点でお教えするのを諦めた。

 こんな調子の時もあるのだが、医師は実際の現場では患者にいろいろなことをかなり詳しく説明し、話も聞いているのだよ。

 ところで、この老年の患者と話している間に考えたのは、身体の調子を感じ取る広範な機能を持ちそれを知らせてくれるセンサーがあればとても便利だと言うことである。将来、血糖、酸素飽和度、血圧、心拍・・、更に迷子になった場合のGPS機能などもつけ、これらを自動的に測定するミニセンサーを埋め込み、健康状態を監視する時代が来るかもしれない。イヤ、必ず来る。そうなったらその器械の名前は絶対に「ヘルスメーター」が良い。

 その時には今の「ヘルスメーター」は日本語の「体重計」に戻してもらわなければなるまい。もし、どうしてもカタカナにこだわるなら「ウエイトスケール」だろう。覚えられるかな?


9/23(火)秋分の日 雨のち晴れ 病棟拘束  
1:30起床。ドック判定総括、メール返事他.新聞チェック。6:10病院着。事務処理,6:20回診、他。8:30救急カンファ。11:00帰宅。業務。15:10離秋の長女送り病院。ドック総括他。14:15秋銀来訪。18:50帰宅。夕食、21:30就寝。

先生、もっと話を聞いてください(2)
 だから、相手がどんなことを一思い悩んでいるのかを感じ取る能力、引き出す能力が必要で、これは立派な臨床力の一つで、これを身につけるには経験が必要となる。

 厚労省は、この4月の診療報酬改定で外来管理加算として、少なくても5分間程度、患者に対して病状や療養上の注意などを懇切丁寧に説明するように求め診療報酬をつけている。この様に説明するのが望ましいなどのサンプルも提示した。
 何か私共の仕事をバカにされたような気がしてならない。医師の技術料、労力を評価して、と言うことらしかったが、はっきり言って無駄な配慮であった。何で5分なんだ? 通常の、比較的病状多安定している患者には5分は長すぎるし、それ以上時間が必要な場合は5分程度では到底間に合わないことが多い。診療報酬をタクシーのメーター制と同義にできないし、すべきでない。

 厚労省の役人に言われるまでもなく、患者と医療提供者問には一致することがないほどの深い溝がある。生活者たる患者にとって医療機関に出かけ、受診すること自体が日常からの離脱であり、しかも、個々の患者によって個別性がある。一方、医療者側にとっては診療は一定のルールで繰り返される日常的行為であって不特定多数の患者、病状を診ることになるが、多くは一定の範囲内の病状であるから、つい流れ作業的になってしまう。
 診察室で両者が会うことになるが、対座していても互いに思惑は全く異なっていると言っていい。だから、両者の間をつなぎ溝を埋めるために患者の話を傾聴し、こちらの意思も正しく伝えることは診療上極めて大切である。

 そんなことは分かっている。医療のキーワードは患者中心、安心・安全な医療、情報開示であると言われている。それも分かっている。

 今、病院に最も不足しているのは余裕である。患者中心の医療というのは簡単であるが、勤務医の多忙さがそれを許さない状況にある。
 政府は医師養成を現在の1.5倍ほどにする、と言う。しかし、麻生氏はこれを実行出来るのだろうか。予算措置を伴わないかけ声だけでは医療現場の問題点は何ら改善しない。
 「先生、もっと話を聞いてください」、と言う声は患者の悲痛な叫びである。「患者の声に応えたい」、これは医療者の叫びである。


9/22(月)晴れ 管理会議 安全管理者・事務長との打ち合わせ 療養病棟判定会議 長副会議 家内の誕生日を祝う会
 2:00起床。ドック判定総括x1他.5:10Taxi病院着。事務処理,6:20回診、他。7:45-8:20管理会議、10:00-10:45安全管理者・事務長との打ち合わせ。16:00療養病棟判定会議。17:00-18:50長副会議。19:30帰宅。家内の誕生日を次男と婚約者を迎え、長女と5人でこぢんまりと祝った。20:40酔って中座、就眠。

先生、もっと話を聞いてください(1)
 近年の医療界は何かと余裕がない。病院の運営は経済面でも、マンパワーの面からも薄氷を踏むが如くである。この元凶が国の医療費抑制政策であることは周知のことで、その政策を主導しているのが経済財政諮間会議で、この会議の主要メンバーの考えの基本にあるのが米国式市場原理主義である。

 どだい、風土も歴史も国民性も我が国とは大きく異なり、合理性、高能率性を尊ぶ異文化の米国のあり方は参考にはなるが、わが国が直接取り入れなければならないことはそれほどない。
 特に、医療面で学ぶ事はより少ない。国民にとって受診の敷居が高い医療は問題である。勿論、より科学的に分析し、エビデンスを明らかにしていく姿勢は医学的にはとても重要であるが、米国型経済至上主義的医療になったら患者は大変になる。ただ、医師や医療関係者の技術・労働に対する評価は羨ましい。

 一方、医療の現場は情緒的な面がかなり大きい。何しろ、患者は心を病んで受診するのだから、当然である。ところが、余裕が無くて十分対応してあげられない。それが悩みである。

 先日、外来診察を行っていた若手の医師の声が聞こえて来た。高齢の患者が何かを言いたいらしく時折声を挟むのであるが、医師は「まず、私の質問に答えてください。頭痛は?めまいは?食欲は?・・・」と次々と質問を浴びせている。患者さんはそのうち黙ってしまった様である。

 「じっくりと話を聞いてくれない」と言うクレームや投書は時折みられる。患者が最も望んでいることは、「話を聞いて、相談に乗って欲しい」と言うのが多い。必ずしも健康診断的な一律の広い検査によって健康状態を分析して欲しくて受診しているわけではない。聞いてもらい、その上で必要があれば、あるいは説明で明らかになったポイントについては検査を受けるのは吝かではない、と言ったところである。

 しかし、病院医師の側から見れば、病棟には急変しそうで気にかかる患者がおり、診療途中でも時に救急室に呼ばれ、午後は会議や検討会などの予定が詰まっているような状況で、限られた時間内で多くの外来患者を診察しなければならない。予約制が導入されてからも待ち時聞に対する苦情はそれほど減少しておらず、診察時間の遅れは担当医の心理的プレッシャーになっている。
 だから、外来患者の話をゆっくり聞いてはいられない。それが現実の姿でもある。


9/21(日)雨→快晴 病棟拘束 第62回東北医連総会+学術大会2日目 内科医師結婚披露宴 日医常任理事との懇談会 「動物愛護フェスティバル2008あきた」長寿動物飼い主表彰(大森山動物園)
 2:00起床、ドック判定総括x1、新聞チェックほか。7:30Taxi出勤、回診。8:30救急カンファ。9:30-12:00東北医連総会(View)、セッション2008・主張提言。10:30「動物愛護フェスティバル2008あきた」の飼い主表彰(大森山動物園)は代理出席。12:30-13:00内科医師結婚披露宴(Castles)で祝辞。13:00-14:30木下常任理事講演「医師法21条の改正と医療安全調査委員会設置法案大綱について」聴講と指定発言担当。14:35総会閉会の辞。15:00-16:30木下常任理事と懇談(Metro)。18:30Taxi帰宅、20:00就眠.
 
動物愛護フェスティバル2008あきた」で長寿動物飼い主表彰を受けた

 秋田県、秋田市、秋田県獣医師会主催で「動物愛護フェスティバル」と言う催しの実行委員会名で以下のような連絡があった。
 
 「動物愛護の推進につきましては、日ごろ格別の御協力を賜り厚くお礼申し上げます。さて、このたび、動物愛護週間行事の一環として、「動物愛護フェスティバル2008あきた」を開催し、その中で長年にわたり愛犬(ねこ)を大切に飼養されているあなたを表彰することになりました。
 つきましては、御多用中のところ誠に恐縮ですが、表彰式に御出席いただきたく、御案内を申し上げます。
 1日時・場所:平成20年9月21日(日)午前10:30分-11:00分まで秋田市大森山動物園」

 送られてきたパンフレットを見ると、表彰式の他にも、コンサート(秋田西中学校)、ペインティング・動物絵画展表彰式、親子で挑戦アートバルーン、動物絵本の語らい等々催しも計画されていた。
 
 わが家のネコ、ナンナンは18歳以上であるが詳細は不明である。かかりつけの獣医師からの推薦で上記の表彰になったものらしい。私は本日のスケジュールがタイト出席できず、家内と名目上の飼い主である長女が親戚の子供を誘って代理出席し、表彰を受けた。
 戴いた表彰状はB5版ほどの両開きの木製の額縁にナンナンの写真と共に納められ、机上などに立てかけられる様になっている。ちょっと良い感じである。
 
 本来、私は表彰を受けることに興味はない。対象になったことは何度かあるが受け取りに行ったことはない。今回は、ナンナンが老衰状態にあり活動性が目に見えて落ちてきて夏を越せないかと思っていたことと、長女が帰秋予定しでもあり、ナンナンが生きているうちに、と言う気持ちで出席の申し込みをした。その時まではてっきりナンナンが表彰されるものと誤解していたが私の早とちりであって、実際は飼い主の表彰であった。
 
 動物愛護の実践は重要なことであり、この様な催しも良いことだと思う。
 表彰式は数々のエベントの中の一つであり、会場は多くの子供達でにぎわったらしく、それだけの意義はあったのだろう。連れて行った子供達も結構楽しんだらしい。
 なお、これは全国一斉の催しの秋田版だとのことであった。


9/20(土)快晴 病棟拘束 患者家族面談 第62回東北医師連合会各県担当者連絡協議会+懇親会 義母藤原キヨエ7回忌法要(欠)
 
2:00起床、ドック判定総括x1ほか。6:20病院着。7:20回診他病棟業務。8:30救急カンファ。10:00入院患者家族面談。15:00-17:30第62回東北医師連合会各県担当者連絡協議会、医事紛争部門に出席。18:00-19:30懇親会。中締めの挨拶担当。20:00帰宅。20:30就眠。東京都交響楽団チェロセッション演奏会(欠)、15:00秋田市研修医の会(欠)。 

ベルリン交響楽団演奏会  安普請改装の県民会館が哀れな様相
 9月17日秋田県民会館で上記の演奏会があった。
 曲は「未完成」、「運命」、「新世界」。アンコールは大サービスで「スラブ舞曲、ハンガリ
舞曲各2曲、エルガー作曲エニグマより」の5曲。
 ベルリン交響楽団は1966年設立の若い楽団で旧東ドイツにあった同名の楽団とは異なる楽団。指揮は1950年イスラエル生まれのリオール・シャンバダール氏。

 パンフレットには2002、2004年及び2007年の来日公演では各地で絶賛を博す、とあるが、秋田にも2002、2004年にも同じ指揮者と共に来ているから今回で3回目という事になる。指揮者の出入りが激しい時代に、この同じ組み合わせの来日公演で3回も聴けるとは、しかも、超有名曲のオンパレードで、と驚いてしまう。
 私の記録に依ると、2002年10月16日は「未完成」、「メンデルスゾーンVn協奏曲」、「英雄」。2004年7月2日は「エグモント序曲」、「新世界」、「交響曲第7番」であった。

 最近業務が込んでいてなかなか時間がとれない。だから、息抜きのために無理して時間を調整し、いつもの如く時間ギリギリに県民会館に出かけた。会場前の広場は黒山の、と言えばオーバーであるが、大勢の方々が並んでおり、当日券を買えないのではないかと思ったほどであるが、何とかS席を入手できた。

 指揮者は相変わらず肥満体で、腹がつかえて下を向けないからだろう、終止天井に向かって指揮をしていた。
 「未完成」、「運命」、「新世界」とこれだけの有名曲が並ぶと、何かバカにされたような気がしてならないが、何となく人生そのもの変遷を思わせる名前の組み合わせでもあった。全曲とも標準的な演奏でそれなりに楽しめたが、今回も新発見はあまり無かった。

 メンバーは国際色を豊かな感じであったがよく分からない。ティンパニストはオバマ氏に似た方で大活躍、時に見せた笑顔が良かった。コンサートマスターはメンバーのうちで最高齢と思われた方で、弓を数cmほど離した状態から弾き始める見慣れない奏法であった。時折素晴らしく美しい音色が目立って聴こえた。

 アンコール曲の紹介、拍手への感謝の指揮者の言葉は日本語であった。90%ほど入りの聴衆の反応・拍手・歓声はとても大きかった。「アキタノミナサン、オヤスミナサイ」という挨拶で喝采と共に終了した。これほどの大拍手ではまた来る?と今回も思ったほどであった。

 県民会館は残響が少ないのでその面では不満である。特に低弦が聴こえ難い。
 それに、10年ほど前に内装を改築したが、安普請だったのだろう。壁の木目のシートが随所ではがれ始めている。本物らしく見せる木目模様のシートだけにとても耐え難い様相を呈し始めている。何とかして欲しいものだ。


9/19(金)快晴 台風13号東海地方へ ドック診察面談 
2:00起床、ドック判定総括ほか。5:30病院。6:30回診その他。8:00救急カンファ。午後は対外的予定なく入院患者対応、書類処理に集中。13:00人間ドック診察・面談。19:00出前夕食、21:00帰宅。21:30就眠。22:30長女帰秋。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案(7)指定討論案(2)
 (1)の項目に加え、以下の如くの項目を話題として準備した。討論時間は30分と短い。恐らく一部しか提供できないと思うが有益な時間にしたいものである。

届け出基準について
■「届け出の基準」に関しやはり曖昧さが残ります。医療事故死を管理者に届け、管理者が判断するとされていますが、管理者毎に差異が生じる可能性があります。この差異が振り返って問題になることはないのでしょうか。
■個々に判断するのであればスタッフと管理者、患者と医療機関の間に歪みを生じる可能性があります。何らかの基準が必要と考えます。
■届け出に24時間以内というのは実質的に困難を伴いますが、届け出に時間的制限を設ける必要があると考えられます。
■届け出をする際に、証拠保全のためにすべての臨床データの提出を義務づける必要があると考えます。

医療レベルについて
■医療レベルについて一律としない、とのことですが、特に、救命活動時の医療行為に対しては刑事訴追の閾値を上げるなどの法的整備が必要と考えます。

免責について
■医師側に自浄作用があり、それが社会的に認められれば医師の信頼が増し、免責の範囲も広くなり、医事紛争自体の回避も可能となっていくと考えられます。この点について今後の日医の取り組みについては如何でしょうか。
■司法は医療事故に対する判断能力を欠くにもかかわらずその権力は絶大である、ことに対し医師側には強い不信感が存在します。大野病院事件に関しても公訴を取り下げる事が可能であるにもかかわらず、判決後にも頑強に摘発の正当性を主張しています。

再発防止への提言
■「医療安全調査委員会設置法案」は担当医師を罰することにあるのではなく、再発防止になるとしています。再発防止のためには各医療機関内のシステムエラーは勿論のこと、医療行政がもたらした医療環境の不備を指摘し改善する必要があると考えますが、この提言とその受け皿、それの評価はどのように進められるのでしょうか。

医療安全調査委員会の運営について
■ 莫大な費用とマンパワーが必要と思われますが運営については、特に後者について、どのようになされていくのでしょうか。


9/18(木)快晴 外来 ドック説明3名 No1研修管理委員会 日本甲状腺学会秋田学術講演会
2:00起床,ドック判定総括x1他、5:10病院着。6:30回診、病棟業務。8:00救急カンファ。8:45-14:30外来、超混雑。16:00-17:15第一回研修管理委員会。18:30-21:30日本甲状腺学会秋田学術講演会+情報交換会。乾杯挨拶担当。21:45帰宅、22:15就寝。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案(6)指定討論案(1)
 来たる9月21日に秋田市で行われる第62回東北医師連合会総会の特別講演は日本医師会木下常任理事による「医師法21条改正と医療安全調査委員会」である。その際、指定討論として私ともう一人の常任理事が発言することになっている。
 この特別講演を一人でも多くの会員に聴いていただきたいと思っている。
 私は以下のような論旨で話題を提供し、討論しようと考えている。ご意見があればうかがいたい。

はじめに
■ 木下常任理事のご奮闘を感謝いたします。
■ 一部に拙速は避けるべしとの意見もありますが、「医療安全調査委員会設置法案」は、「大野病院事件」の様な刑事裁判を未然に防ぐためにも、早期に創設すべき、と思います。
■ 医療は経済的にも、数々の統制、制約の中で最大限の努力が強いられています。医療提供体制は国の医療政策の中で年々厳しくなっています。この様な環境の中、生じた結果についても行政側が応分の責任を負うべき、と考えます。
■ 医療は、大きなリスクを回避するために小さなリスクを加えるもので、必ずリスクを伴います。不作為、偶発の事故には医療従事者故人に責任はありません。結果責任を求められれば、大きなリスクを伴う医療を行う医師はいなくなります。
■ 背景に、医師、患者、司法、行政、メディア間に互いに意思疎通を成立しがたくする要因があります。今後の医療は更に複雑化し見えがたくなっていることから互いの意思疎通は基本的に重要と考えます。

医療安全調査委員会の責務の範囲
■ 民事・刑事・行政処分は委員会とは別に行われるべきとされていますし、それは正当と思われます。しかし、委員会が刑事告訴妥当と判断し通知するとすれば、委員会の独立性は失われ司法の一翼を担うことになるのではないでしょうか。
■ 委員会は医療レベルの関連と過誤の有無を中心に報告書を作成すべきであり、民事・刑事・行政の手続きはそれを元に独自に判断すべきです。
■ 委員会は医療関係者からの信頼をえて調査に充分協力して貰わなければ原因究明など不可能です。しかし、提供された資料まで警察に提供されるとするならば、誰も調査に協力しなくなるでしょう。従って委員会は機能しなくなる可能性があります。
■ 「カルテの改ざん」、「リピーター医師であるか否かの判断」、「その他これに準ずる重大な非行」の判断と警察への通知は、本来医療安全調査委員会の責務外の項目ではないでしょうか。
■ 報告書の使用は妨げる必要はありませんが、調査資料の提供は刑事、民事、行政処分に際し一切外部には行わないない、との立場を明確にすべきと思います。そうでなければ医療安全調査委員会への協力自体、個人の権利である黙秘権の剥奪であり、憲法違反でないでしょうか。


9/17(水)快晴 外来 患者家族面談 院内感染症対策委員会 ベルリン交響楽団演奏会
2:00起床。ドック判定総括x1。5:20病院着。6;30回診他。8:00救急カンファ。8:45-15:00外来+ドック結果説明面談。16:00-17:30院内感染症対策会議。19:00-21:20ベルリン交響楽団演奏会、県民会館。22:10帰宅、夕食、23:00就寝。

人生の、個体の、細胞の、核酸の終焉(2) 死を学ぶ 死から学ぶ
 ヒトを一つの生物体と考えたとき、個々人は外観から窺い知れないほど精緻な造形を持つ完成品である。
 老化によって外見は徐々に変化していく。しかし、視点を身体を構成しているより小さなパーツに移してみると、多くは老化を感じさせない見事な構造、機能を保ち続けている。更に、ミクロの単位で見れば、例えば、血液細胞などは、青少年と100寿者のそれと全く変わらない。この様に超精密に完成している個体が死をもって消滅していくことは実に惜しい。

 臨床医学の進歩は、死についてももっと明らかにしてくれるものと私は期待していたが、なかなかそうなっていない。終末期にある患者の死でさえもなかなか先を読めない。各種の医療的対応が可能になってきているからである。死を迎える時期について患者の家族から良く訪ねられるが、死の予告をすることはますます困難になってきている。

 分子生物学の更なる進歩は、将来罹患する疾患や、余命をある程度の幅を持って予告することを可能にするであろう。そうなっていけば、従来は生に携わってきた医師が、死を取り扱わなければならない時代になる。だから、医師は生と共に死についても学ばなければならない。
 しかしながら、ヒトの死を自然科学的な生物現象としてのみ捉えることは意味が無い。個体の、老化を迎えての死は長い時間をかけて徐々に進行する不可逆的過程なので、科学が入り込む余地は限定されている。
 ヒトの死は生物現象に加えて、それぞれの国や地域の歴史と伝統に立脚する文化的な価値観がある。だから、いつの世になっても、従来と同様に、死は宗教家や哲学者の手にも委ねられるのだろうが、医師もこれからはこれに参加する必要がある。

 人は単に生物としての存在ではなく、「考える葦」であり、「パンのみにて生きるにあらず」の存在である。だから人の死は脳の働き、こころとの関係は深い。ただ、「死を意識しながら生を続けるのは、人のみに見られる現象である」、と言われるが私はそうは思わない。そんな言い方は人のごう慢に過ぎない。ネコも老化し弱ってくると死を意識して生きている様に見える。何を考えているのか確かめられないのが残念でならない。

 こころも臨死体験も神経細胞が示す物理化学的現象に他ならないから、死によって人の身体、心共々全てが消減する。何と考えても、実に勿体ないことである。
 ともあれ、これほどの高齢社会である。医学教育の中に、死の科学、死の哲学を、死の宗教的意義を学際的な立場から取り上げることが緊急に必要であろう。我が国の文化の中で最も遅れていて影が薄い分野の一つに「死を考える文化」がある、と思う。


9/16(火)晴れ  管理会議  外来  法人常務会  医局MC  長副会議
2:00起床、ドック判定総括x1、文献ほか。5:10バイク病院着、早朝はかなり冷える。6:00回診、患者不調。7:45-8:15管理会議、8:45-14:10外来+ドック結果説明。入院2名。14:45-16:00法人常務会。療養病棟判定会議は持ち回りに。17:30医局カンファ:外科、虫垂炎の臨床。18:06患者死去。18:30-19:45長副会議。21:30帰宅、22:00就寝。

人生の、個体の、細胞の、核酸の終焉
 私が担当している患者は概して高齢の方々が多い。だから、私のもとから旅立つ方は少なくない。いろいろな病気、病状で人生の終焉を迎えられている。

 患者を一人の人間としてとらえれば、高齢者の死は比較的受け入れやすい。世の中で例外のない真実の一つは、生物は必ず死を迎えると言うことであり、今まで如何に不老不死の願望があったにせよ、死ななかった人は一人もいない。だから、納得してお送り出来し、人生の終焉を迎えるにあたって、やってあげられる範囲には自ずから限界はあるが、医師としてより安楽に過ごせるよう配慮している。

 お亡くなりになった患者のご家族の同意、ご協力が得られれば病理解剖をさせていただく。各臓器は半世紀以上も機能してきた結果としていろいろな病変が認められ、死に至った病状が理解できるなど、病理解剖は様々な情報を私にもたらしてくれる。
 それとは別に、動き、活動が停止したばかりの個々の臓器を観察しながら、つい先ほどまでこれらの臓器が個体の保持、生き続けるという一つの目的のもとに一体となって、協調して疾病や障害による負の作用に対して抵抗していたのだと思うと感無量なものを感じる。多くの方々の解剖所見を眺めて何でこれしきの障害で死を迎えなければならないのか、実に勿体ない、という気がしてならない。お一人お一人の身体は、見事な造形を持ち、見事なほど精密な機能を果たして続けて来た、自然が生んだ一つの偉大な作品と考えると、死を持って消え去ってしまうのが本当に惜しい、と思う。

 私共の身体は1/100mmほどのサイズの、一ヶの受精卵に始まる。その細胞の核の中のDNAは、私共の身体の設計図で、通常は複雑に絡み合っているが、一本の紐の如くに延ばすと1.8mほどになる。また、成長した我々の身体は分裂によって増えた60兆ヶほどの細胞から成っている。細胞が整然と分裂を繰り返し、これほどの細胞数で構成される過程と結果には驚きを禁じ得ない。私共一人一人の身体のDNAは長さにして1.000億Kmもの、想像を絶するような長きに達していることになる。これらが一つ残らず生存のために協調して機能していると考えると実に楽しい。

 ここまで考えてくると、一人の人生の終焉ということでは納得しやすいが、ミクロのパーツの集合体と考えると、人が死を迎えることによって崩壊し、あるいは火葬によって焼却されてしまうのは、分かってはいるのだが、実に勿体ない、ことのなのだと思えてならない。


9/15(月)敬老の日 快晴 入院患者家族面談 病棟拘束 
2:30起床,ドック判定総括。6:00病院。8:30救急カンファ。9:30-10:10患者家族面談。紹介状、退院総括等。11:00帰宅、自宅で業務。17:00-19:30病院。20:00帰宅、夕食、20:45就寝。

敬老の日
 今日は敬老の日であった。
 かつては敬老の日と言えば地域にとって重要な日であって、各町村や部落単位とかでお祝いの会が盛大に行われたものである。子供の頃はいつも演劇とかの出し物に駆りだされていた。当時、高齢者は少なく、地域の祭りや行事、冠婚葬祭の際には欠かせない存在であり、地域で尊敬されていた。私の育った地域では日常的に敬老の精神があった様に思う。

 最近は地域単位で何か催しなどなされているのだろうか?よく分からないが、何かと印象が薄い。
 我が家では私の両親も家内の両親も既に亡いことも関連しているのかもしれない。マスコミの取り上げ方も少ない。特集記事、番組なども少ない。かつて「軽老の日」と表した文章が新聞のコラムに掲載され、憤りを覚えたことがあるが、その風潮にあるようだ。今日の休日が何に由来しているのか意識しないで連休を楽しんでいる若い方々も多いのではなかろうか。

 確かに、高齢化率がこれほどになると右を見ても老人、左を見ても老人である。私は高齢者の医療を担当していると言うこともあるが、外来患者の7割、入院患者25名中9割超が70歳以上である。だから、敬老の精神は持ち合わせているが、それ以上に現実的、具体的な高齢者対応に心を砕かざるを得ない。

 敬老の日が祝日となったのは1966年で約40年前とのことである。その頃の日本人の平均寿命は、男が68.35歳、女が73.61歳であったが、それが今や何と、男79.19歳、女85.99歳と大幅に伸びた。今後も更に延びて行くであろう。今や、65歳以上の高齢者の割合は20%を超え、2020年には30%に近づく。100歳以上の方も今年全国で3万人超となったという。

 今は敬老と言う概念的なこともさることながら、安心できる長寿社会とするために、医療・福祉・年金を含む社会保障制度をどうするかの具体的方策の確立が不可欠である。

 今、自民党総裁選挙のまっただ中であるが、各候補者とも高齢者対策について具体的に語ることはしていない。あくまで総論的で、「より良い方向に持って行きたい」、のレベルである。医療・福祉・年金を含む社会保障制度を具体的に語るとどうしても経済問題、消費税率のアップ論に触れざるを得ない。自民党総裁選挙のレベルでは良いのかもしれないが、やがて行われる総選挙の際に首相としてこの点で野党と争うと、与党の立場を失いかねない厳しい結果が予想されるだけに各候補が及び腰なのかもしれない。

 敬老の精神が伴わない高齢者対策はひたすら厳しいものになっていく。


9/14(日)晴れ  病棟拘束 
2:30起床、持参のドック判定総括x2、新聞チェック+本読み。9:30広州に発つ長男を送り空港経由で10:30病院へ。ANAコンピュータートラブルでかなり遅れるらしい。回診・書類処理他。15:30帰宅、ドック判定総括x2、文献検索他。17:30-19:00午睡、夕食、21:00就寝。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案(5)最終診察後24時間以内の死亡をめぐって(2)
 最終診察後24時間以内で、かつ、死因が明らかに診療中の疾患による場合、施設内死亡、在宅死亡であろうと医師は死亡診断書を作成出来る。それ以外の場合、例え24時間を過ぎていたとしても基本的に死体を検案するのは疾患の状況をよく理解している主治医がすべきであり、それが出来ないときには警察に連絡の上で警察医が検案をすべきである。

 検案によって異状死体と判明した場合にはその後の処理は警察が行うこととなる。
 実際、在宅医療、施設医療においては、主治医との信頼関係に於いて多くのケースはこの様に処理がなされているはずである。

 秋田で生じた最近の2例は、通常ならば主治医が死亡確認し、死亡診断書を発行する例である。主治医がそのために向かったにもかかわらず、先に警察による検視が行われた。
 この2件で共通するのは施設または家族が救急車を要請していることである。
 この件について秋田市消防本部に問い合わせたところ、業務規定に則って「傷病者の死亡が明らかな時は搬送しない」「現場に警察官が居ない時には警察に連絡している」、とのことであった。従って、秋田市に於いては死亡例に救急車を要請した場合には自動的に警察が関与することとなる。これによって、秋田市の1例について警察が関与した事情は判明した。もう一例については警察が関与した事情は不明である。

 しかし、これで良いのかという疑問は残る。患者宅にはパトカーが止まり、何人かの警察官、検死官が患家に上がり、屍体を検視し、家族は困惑している。そんな状況が浮かぶ。

 主治医は患者が死亡した場合、病気による死亡を念頭に検案をするが、警察は多面的に考えて犯罪性を否定する、と言うことで、われわれとは根本的に見方が異なっている。死の過程に家族や関係者の関与が本当に無かったのか?、医師はそこを何をもって証明するのか?と言う視点で扱われ、そこでは長い診療の過程で培ってきた医師・患者・家族間の信頼関係は無惨にも無視されることになる。

 ことの発端は救急車の要請にある。主治医に連絡、相談があれば問題にならなかった事象である。しかし、関係者の驚き、戸惑いを考えれば要請そのものを責めるわけにはいかない。救急隊に連絡したかしないかで、その後の扱いが異なるようでは現場が困惑するだけである。救急隊の理解、警察の理解が必要であり、この様な件を巡っての処理方法を医療側との間で打ち合わせをしておく必要がある。

 現在、国は在宅医療を推進しようとしている。在宅での看取り、施設での看取りを推奨している。そこの背景は信頼関係である。しかし、今回の検視例のように、遺族が少しでも犯罪者のように扱われる可能性が内在しているとすれば、在宅死や施設死が成り立たず、誰しも病院での看取りを望むことになる。

 将来、病院の病床数を減らし、在宅医療、施設医療を推進するなら、現場で生じる色々な問題の解決も必要である。
 この様な例ではまず主治医の判断が優先されてしかるべき、と私は考える。


9/13(土)快晴 病棟拘束 ドック結果説明 剖検  
2:00起床、ドック判定総括x2他.5:10病院着、6:10病棟からコール、患者死去された。回診、事務処理他。8:30救急カンファ。9:00ドック結果説明、9:15-11:15剖検。13:30散髪。14:30-15:50歯科治療。16:30修理のバイクを取り病院に。20:00帰宅、夕食、20:45就寝。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案(4)最終診察後24時間以内の死亡をめぐって(1)
 医師法第21条に「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」とある。この条文は基本的には疫病・飢饉・殺人等による死体と病死と区別するために作成されたものであり、昭和24年に、厚生省は、医療は医師法21条の届け出対象ではないという認識を示していた。

 しかし、この条文は平成6年に臓器移植法案に関連して、日本法医学会は届け出るべき異状死に「診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの」を含めるとした。これにより医療界は大混乱に陥っているばかりでなく、現実に福島県の大野病院の医師がこの条文違反で逮捕された。

 そのため、厚労省の「医療安全調査委員会設置法大綱(案)」では、医師法21条に「ただし書き」を設け、医療事故死等は医師は警察でなく医療機関の管理者に報告し、管理者は必要に応じて主管大臣に届け出る事にするとしている。

 最終診察後24時間以内で、かつ、死因が明らかに診療中のものである場合、医師は死亡診断書を作成する。それ以外の場合は、たとえ病院内で死亡した場合であっても医師は死体を検案する。検案によって異状死体と判明した場合には医師法21条「異状死体等の届出義務」に基づき、24時間以内に所轄警察署に届出をしなければならない。その後、必要があると判断されれば司法解剖、行政解剖が行われる事になる。
 要するに、施設内死亡、在宅死亡であろうと、医師が最終診察してから24時間以内の死亡で、死因が診療中の疾患の場合、医師は死亡診断書を作成する事になるし、それが認められている、ということである。

 ところが、最近、この様な状況下にある患者の死亡に際し、警察が関与した事例が2件あった。この件をめぐって医師と警察側の立場の違いがよく分かると共に、現状のままでは施設や在宅でのターミナル・ケアで医療側と患者・家族の信頼関係が構築できない事になる

 一例は施設内で、他の一例は自宅での死亡であったが両例とも24時間以内に主治医の診察を受けていた。施設の担当者、家族とも、恐らく事の成り行きに慌てたのであろう、それぞれ救急車を要請した。救急隊は既に死亡が明らかであることから搬送しなかった。前者の例では警察を呼んだか否か不明ながら間もなく警察が来たとのことであり、後者では救急隊からの通報で警察が来たのだという。


9/12(金)晴れ ドック診察 法人理事会  
2:00起床、ドック判定総括x2他.5:10病院着、6:10回診、事務処理他。8:00救急カンファ。14:30ドック診察。入院患者対応。17:30-19:10法人理事会。法人中期計画案巡り討論。21:00帰宅、21:45就寝。

9.11から7年、安倍、福田退陣も9月
 9.11は歴史上で忘れ去られることのないであろう、あの忌まわしい同時多発テロが生じた日である。米国があのテロに襲われてからもう7年の歳月が経った。非道なテロに多くの国の人々が衝撃、怒りを共有し、テロを根絶するために国際的に強い連帯感が広がった。

 国連決議はあったが、米国的論旨と言うか、ブッシュ大統領主導でアフガン、イラクで軍事力による制圧が始まった。しかし、時間と共に連帯感は薄れていった。武力による制圧は一定の成果は挙げたが、先進国同士の亀裂の原因にもなった。結果的にイラク再建では足並みはそろわず、イラクの混迷は今も続き、収拾困難と思われる泥沼状態に陥っている。

 この混迷の背景は、ブッシュ大統領が、いわば米国の論旨を振りかざし、戦いに偏り過ぎたためであろう。米国の歴史の中で、自らの国土の中でこれだけの犠牲者がでたのはパールハーバー以来であり、その衝撃は国民を結束させたが、あまりにも独善的論旨を振りかざしたために、世界の信頼と影響力を弱めることになった。

 今、米国は孤立しつつある。ブッシュ大統領の任期はそろそろ終わる。ブッシュ政権の足跡は
9.11の衝撃とその後のテロ対策に終始したと言っていい。歴史は将来このイラク対応、アフガニスタン対応をどう評価することになるだろうか。

 
9月の国内と言えば、昨年の912日は、安倍首相が政権を投げだした日であり、今年の91日は福田首相の退陣表明の日である。福田政権の任期は一年にも満たない事になる。
 
2代続いた首相の政権投げ出しは日本の政治的混迷状況を示している。政治混迷の背景には国会のねじれ状態があり、右肩下がりの経済問題もあり、9.11に起因した国際問題もある。確かに舵取りは困難だったのであろう。

 今月、新しい日本の指導者が決まる。問題は山積みである。
 本命の麻生氏は大丈夫だろうか。彼の底力が問われる。総裁選挙に
5名も立候補した。私の目では自民党自体が昏迷状態にある事の現れに見える。形式的な総裁選挙になりそうである。


9/11(木)晴れ 同時多発テロ7年経過 外来+ドック結果説明+患者家族面談 県社会福祉審議会身体福祉専門分科会
2:20起床。ドック判定総括x1、紹介状返事等.5:20病院着、6:20回診ほか。8:00救急カンファ。8:45-15:00外来。途中で家族面談。15:00-16:30県社会福祉審議会身体福祉専門分科会。以降机上業務に集中。21:00帰宅、夕食、21:40就寝。

福田院長が死んだらしい、と誤解され喜んだ(2)偉大すぎた名誉院長
 本年5月末日、当院、当法人の創設者であり当院名誉院長瀬戸泰士氏がお亡くなりになった。
 当院52年の歴史のうち実に47年の長きにわたって院長職をつとめられ、社会医学的立場からより恵まれない方々に温かい手をさしのべ、寝食を忘れて診療され、遅れていた秋田県の医療を牽引した立志伝中の方でもある。
 臨床医として多くの患者から慕われ、法人の長として多くの職員からも慕われた。私は昭和60年から瀬戸院長の下で働いて来たが、その足跡を知れば知るほど驚くばかりの人物であった。かつて、名誉院長の同年代の複数の医師が「瀬戸院長は秋田県のシュバイツァーである」と評したのを聞いたことがあるが、それに相応しい方だと私も思っている。とにかく偉大であった。

 時代は流れ、世代は交代する。しかし、名誉院長のあと院長職を引き継ぐものにとって名誉院長は偉大すぎた。私はまだ3年でしかないが、今でも「瀬戸時代は良かったが、福田院長になってからうんと悪くなった・・」と評する患者や家族もいる。尤も、こういう患者は継続的に来院されている方ではなく、かつて当院で治療し、何年か間を置いて受診された方である。

 7月27日の瀬戸名誉院長の「お別れの会」では数人の方々が名誉院長に親しみを込めて呼びかけ、お別れの辞をお読みになった。何れもが聴くものに深い感動を呼び起こす名文を作られ、心を込めて読み上げられた。私は、それを聴きつつ在りし日の名誉院長を共に偲ぶことが出来た。
 そのうちの一人、元総師長の言葉は「今でも、私にとって中通総合病院の院長は瀬戸先生お一人です・・」と呼びかけ、その論旨で最後までつらぬかれた。彼女の斜め後1mほどに現職の院長が座っているというのに、その存在は無、殆ど100%、無であった。

 まあ、偉大な先代の後というのはこんなものである。私はプライベートな環境でも幼少の頃から似たような状況にあったからそれほどのことではない。こんな状況の中、死亡広告を見て私が死んだと誤解された話を聞いた時、やっと当院の院長として認知され始めたか?と、つい笑ってしまった。

 早とちりとは言え、偉大な名誉院長と間違えられたことはとても光栄なことである。


9/10(水)晴 外来 病院友の会南通支部発足会 医師会常任理事会 
2:00起床、ドック判定・総括x1、文献検討、新聞チェック。5:00病院着。6:30回診他。8:00救急カンファ。8:45-13:10外来+ドック診察。13:30友の会健康講話「新型インフルエンザ」聴講。14:30友の会南通支部設立大会、挨拶+情報交換会。17:00医師会へ。17:30-19:30県医師会常任理事会。病院業務若干、21:00帰宅、21:30就寝。

福田院長が死んだらしい、と誤解され喜んだ(1)
 本年5月末日、当院、当法人の創設者であり当院名誉院長瀬戸泰士氏がお亡くなりになられた。
 法人では6月22日に地方紙である秋田さきがけ新聞に、名誉院長死去のお知らせと、7月下旬に法人による「お別れの会」を開催する旨の広告を掲載した。

 ところが、翌週の外来で何人かの患者から「てっきり、先生が、福田院長が死んだものだと早とちりした・・」との声が聴かれた。そして、「慌てて友人とかに電話して確かめた」とか、「病院に電話をかけた」、「何回か読み返して名誉院長のことだと分かりました」、とか言って笑っていた。

 私はこの話を聞いてとても嬉しくなった。

 一方では随分早とちりする方もいるもんだ、と感心もした。新聞の広告記事は誤解されることもないよう明快な表現であり、末尾には私の名前も記載しててあるから、静かな気持ちで読んでいただければ私が死んだと誤解されることはまずあり得ない。

 新聞とかTV等のニュース、医療関連の報道では、特に数々の心理的背景を持っておられる方は誤解した受け取りをし易いことは確かである。記事やニュースの真の論旨そっちのけに、自分にとって関心の高い部分だけを勝手に都合良く継ぎ合わせて論旨を再構築して、勝手にショックを受けて、暗い気持ちで外来を訪れることは良くあることである。

 少数の方ではあったが、法人が出した新聞の死亡広告記事で私が死んだと、まさかと思うような誤解もあったのは驚きであるのだが、正直なところ私はとても嬉しくなった。
 私は院長になって丸3年であるが、偉大な名誉院長と早とちりされる程度、ほんの少しだけ院長らしくなって来たか、という感慨を感じたからである。


9/9(火) 晴れ 外来 法人常務会 病床有効利用検討プロジェクト会議 医局カンファレンス
2:10起床,ドック判定総括x1、その他。5:10病院着、6:30回診、8:00救急カンファ。8:45-14:20外来。14:45-16:00常務会。16:30-17:15病床有効利用検討プロジェクト会議。17:30-18:50医局カンファレンス、重症膵炎。21:00帰宅、21:30就寝。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案(3)改訂部分など
 第三次試案で指摘された問題点は大綱案では以下の如く改訂されている。

■ 委員会を所管する省庁として、厚労省と内閣府かは引き続き検討する。
■ 医師法21条に「ただし書き」を設ける。医療事故死等は医師は医療機関の管理者に報告する。管理者は必要に応じて主管大臣に届け出る。医療事故以外の異状死は24時問以内に警察へ届ける。
■ 届け出の基準は医学会、医療関係団体、医療安全調査中央委員会の意見を基に、ガイドラインを策定する。
■ 主管大臣に届けられた事案は地方委員会で調査し、報告書を作成する。報告書は医療機関、遺族に交付され、公表される。
■ 警察への通知の範囲は、(1)故意、標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因、(2)事実を隠蔽の疑い、(3)過失により繰り返し発生させた疑いがある場合、(4)その他これに準ずべき重大な非行の疑いがある場合、とした。
■ 標準的な医療の基準は一律としない。医療機関の規模や設備、地理的環境、医師等の専門性、緊急度、医療機関の安全管理体制の適否等を勘案して、地方委員会が判断する。
■案の表紙に「厚労省、法務省および警察庁の間で合意」と明記した。
■ 個人に対する行政処分は、委員会とは独立して行われる。

 この大綱案であっても、重大な過失を「標準医療から著しく逸脱した医療」と定義づけているか基準に曖昧さは残る。しかし、法案新設の段階でこれ以上具体的にせよという方が無理である。その判断は医師を中心とした委員会に委ねられている。その一例一例の検討結果を積み重ねて線引きを決めていくしかない。すべての例を刑事免責にせよと要求することには無理がある。

 医療安全調査委員会設置法が成立したとしても、刑事訴訟法、刑法を改正しない限り、遺族は訴える権利がある。警察は捜査する責務がある。この提訴のルートは残る。それであっても、医療に関して素人である警察は専門家である委員会の結果を尊重して捜査を開始するとしている。これでも大きな改善となる。

 現状で医療側から見て水も漏らさないような法にすることは関連法案も多いし、患者や遺族側の権利もあるだけに不可能である。不当な福島県立大野病院の医師逮捕・拘留の様なことが繰り返されなくなる。
 あとは運用を通じて改変していくしかない。

 未だ細かな疑義は残るが、それについては9月21日に秋田市で行われる第62回東北医師連合会総会の特別講演の場で直接質問したいと考えている。


9/8(月)晴れ 管理会議 安全管理者・事務長との打ち合わせ 長副会議 対策会議
2:00起床。ドック判定・総括x1。メール返事送付数件、書類処理,5:10病院へ、6:30回診他病棟業務。7:45-8:25管理会議、10:00-11:15安全管理者・事務長と打ち合わせ。11:00入院患者対応。病棟業務。16:00-16:45療養病棟判定会議。17:00長副会議、18:00中座し対策会議。21:10帰宅、夕食、21:45就寝。夕方、病院の近くの住宅街で火災。報告あるまで全く気づかなかった。
病院には影響なし。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案(2)第三次試案への医師会側の疑義
 4月に発表された「厚労省第三次試案」は法曹界を含む各界の代表からなる委員会で検討、作成された「厚労省案」である。「日医案」ではない。4月下旬に開催された「厚労省第三次試案に対する都道府県医師会担当者協議会」の場で交わされた賛同できないとする意見は、担当常任理事と日医の姿勢を非難するが如くの雰囲気で交わされた。担当とはいえこれ以上は踏み込めない限界はある。担当理事は激することもなく、辛抱強く答弁された。

 その時の意見を要約すると以下の如くである。
■ 刑事訴訟法がある以上,刑事免責はあり得ない。刑事手続きについては充分に摺り合わせを行い、警察の謙抑的な姿勢を担保したとあるが、信用できない。明文化する必要性がある。
■ 「捜査機関との関係」は最も重要な部分であるが、なぜ本文でなく別紙扱いなのか。
■ 医師法21条改訂は具体的にどのようになされるのか。
■ 捜査機関への通知対象となる「故意や重大な過失・悪質な事例」は限定的なものになると言うが、定義がない。拡大解釈が行われないか。
■ 地方委員会は警察に通知するか否かなど、そのような重大な判断が出来るのか。
■ 大野病院事件はこれが法案化されれば警察に通報する対象にはならないのか。
■ 家族が告訴し、強硬に捜査を望んだ場合にはどうなるのか。
■ 委員会の通知がなければ警察が動くことはないとされているが、警察には警察の論理と法的位置づけがある。楽観的すぎないか。
■ 医療安全調査委員会を厚労省内に置いたら医療行政に起因するシステムエラーなどを指摘できない。他に置くべきである。
■ 医療安全調査委員会の検討は再発防止だけに限定し、結果を捜査機関に通知せず,報告書を公表するだけの形にできないか。
■ 医療は他の業務と違うのだ。同一にされては困る。

 中立的第三者機関の設立の必要性についての疑問を唱え留医療関係者は居ない。作るなら完璧なものを、と考えるのも妥当な考えである。討論は「医療は特殊であって悪意はあるはずがない。医療関連事故は一切免責であるべき」という点で堂々巡りした。医療事故の中には刑事罰を問われてもやむを得ない極端な例が少数例ながら存在する。どんな職種であっても業務上の事故は有り得る。全て免責になっている職種はない。
 医師だけが免責という考え方は、法的にも、社会的に通用しないだろう、と私は思っている。


9/7(日)快晴・暑  病棟拘束 患者面談・家族面談3件 
2:30起床、ドック判定・総括X3、文献・新聞チェック、本読み。13:00病院へ。回診、15:00-16:30入院患者家族と面談。総括、意見書等々処理。19:20外食、20:15帰宅、20:50就眠。

厚労省が医療安全調査委員会設置法の大綱案発表(1)
 医療界から強く望まれていた医療事故の第三者による死因究明制度新設のための「医療安全調査委員会設置法案(仮称)」の原案となる大綱案が厚労省から6月13日に公表された。
 その内容は4月に発表した「第三次試案」に対する医療各界の反応や意見、パブリックコメントを参照に、不明瞭であった表現はより具体的な内容に改変しているが、基本的には第三次案を踏襲した内容となっている。

 舛添厚労相はこの法案を時期の臨時国会に提出するとコメントしていた。
 しかし、この不安定な政局ではどのように扱われるか混沌として来ている。

 試案の策定には日本医師会からは木下常任理事が委員として参加し、医療側から意見を述べて来た。また常任理事は日医ニュース、代議員会、各都道府県からの要請に応えて情報提供を熱心に行い、医師会員の要望を聞き取り、試案作成に繁栄させようと精力的に努力されてきた。

 それでも、意見の一致はえられたと言えない。
 4月下旬に開催された「厚労省第三次試案に対する都道府県医師会担当者協議会」で都道府県医師会の意見集約結果が報告された。回収率は100%で、第三次試案に基づいた制度を「創設すべき」が36医師会(76.6%),創設すべきでない」が7医師会,「その他」が4医師会であった。

 大綱案では若干ながら改変されているので変動はあるだろうが、「創設すべきでない」とする7医師会のうち半数ほどの医師会の意見は強硬であった。

 私は大野病院の逮捕事件も無罪になったこともあり、第三次案を改定した大綱案で良いと思っているし、医療は一瞬の休みもなく行われており、大野病院の例に類似した事故は何時起こるとも限らない。だから、一刻も早く法制化すべきという立場をとる。

 来たる9月21日に第62回東北医師連合会総会並びに学術大会が秋田市で行われる。その際の特別講演は木下常任理事による「医師法21条改正と医療安全調査委員会」と題して行われ、指定討論として私ともう一人の県医師会常任理事が話題提供することになっている。今、鋭意準備中である。この日、この特別講演を一人でも多くの会員に聴いてもらいたいと思っている。


9/6(土)晴・暑 病棟拘束 歯科治療 P-trio「コレンテ」演奏会
2:00起床、ドック総括x1他。5:10Taxi病院着、6;30回診そのほか。8:30救急カンファ。9:00ドック結果説明。10:30病棟患者対応。14:30歯科治療再開、17:00-18:50 P-trio「コレンテ」演奏会、アトリオン。次男達も合流、最上階で夕食。20:00中座し病院へ。21:30帰宅、21:50就寝。

アトリオン室内オーケストラ(ACO)第29回定期公演「協奏曲の祭典 (1) 」
 2008年8月31日(日)14:00からACO第29回定期公演「秋田から世界へ! 郷土が生んだ若き音楽家たちによる協奏曲の祭典(1)」が行われた。 
 出演は指揮/松尾葉子、ヴァイオリン/石亀協子、チェロ/羽川真介、ピアノ/佐藤卓史の各氏。
 演奏プログラムはモーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調「トルコ風」、ハイドン/チェロ協奏曲第2番ニ長調、モーツァルト/ピアノ協奏曲第12番イ長調 K.414。
 今回の演奏会は来年3月22日のACO第30回定期公演「秋田から世界へ! 郷土が生んだ若き音楽家たちによる協奏曲の祭典(2)」とセットになったACOならではの興味深い企画である。

 ソリストのうちヴァイオリンの石亀さんは我が家の次男と加藤道子先生の教室の同門生である。当時石亀さんは小学生であったと思うが、年1回の同門の発表会では、原則的に年齢順に登場するのであるが、ただ一人高校生達の間に組み込まれていたほどダントツの実力を発揮し、当時から将来が嘱望されていた。中学の頃だったと思うが東京に転居された、その後ウイーンとかで研鑽を積まれたとのことである。我が家の次男は中学で頓挫し、今は病院の忘年会等で余興楽団の一員である。

 チェロの羽川さんは我が家の長男と藤原ケイ子先生の教室の同門生である。東京芸大に進まれた逸材で、卒後は東京で演奏活動されているとのことである。長男は大学進学と共に藤原先生から離れたが、今でも時折演奏を楽しんでいるようである。

 ピアノの佐藤卓史さんは我が家の長女と・・は残念ながら関連がない。既に国際的に活躍されており、国際コンクールの入賞歴もある。現在ハノーヴァ在住とのこと。

 そんなことでソリストの二人をより身近に感じられる事もあってとても楽しみにしていた演奏会である。会場はほぼ満席であった。
 各ソリスト、ACOとも持てる技量を発揮し、良い内容であった。石亀、羽川さん共に特に緩徐楽章での音色は素晴らしく、何度か鳥肌が立った。佐藤さんの安定感、完成度は特筆ものであった。

 何年か後でも良い。私が聴けるか否かは別として、私の最も好きな曲の一つであるベートーヴェンの三重協奏曲をこの三人で演奏して欲しい、と思いつつ会場を後にした。
 来春の「協奏曲の祭典(2)」も楽しみである。


9/5(金) 入院患者対応 ドック診察 県救急・災害医療検討委員会  県医師会顧問会議
2:00起床、ドック判定総括x1他。3:30病棟から連絡、出勤。患者死去、そのまま業務。6:20回診その他。8:00救急カンファ。11:30入院患者対応。14:00ドック診察。16:00-18:00県救急・災害医療検討委員会,18:00-20:00県医師会顧問会議。20:10帰宅,21:00就寝。

次期首相は誰が相応しいか 政策で選ばれるのか
 福田首相の辞意表明で首相は一瞬にして過去の人になった。新聞での彼に関する論評も大体一段落した。

 次期自民党総裁は22日に決まるとのことで、麻生、与謝野、小池、石原、石破の各氏が出馬の意向を固め、その手続きに入った、と報じられている。国の方向性をどうするのか、国民の生活をどう守るのか、活発な政策論争が期待される。今回は恐らく景気対策、国の経済対策が第一の論点になるだろう。過去の各人の発言からも立場の違いははっきりしているようだ。しかし、実際の投票が政策そのものでなく、派閥の論理でなされるとすれば意味がない。

 私は政治については詳しくないが、麻生氏は別としてここ10年ほど政治の表舞台で陰になり表になり、政治を支えてきたベテラン議員、元閣僚の立候補はなく、何故なんだ、と言う印象を持つ。本当に今名乗りを上げている方達は相応しいのかな?とも思う。ただ、情報が乏しい。私が知らないだけなのかもしれない。各人物については今後の紹介記事やマニフェスト、発言などの情報から考えたい。

 一方、新聞各社の「次期首相は誰が・・」と言う世論調査も盛んである。共同通信社のそれは、麻生>小泉>小池>舛添>石原>谷垣>町村>与謝野・・と続き、共同通信社のは、麻生>小沢>小泉>小池>舛添>石原・・の順である。その中で麻生氏はダントツである。
 政党に関しては自民党>民主等のようで、二人の首相が途中で降板したにもかかわらず自民の支持が堅調である。これの背景は民主党の方にあるのだろう。

 世論調査はイメージ調査、人気投票的なもので深い意味はつけられないが、各人が有権者であるだけに当然無視は出来ない。先の2回の参議選、先の衆議選では秋田県の開票結果は世論調査の結果とすべて一致した。まさかそうはなるまい、と踏んでいた私は驚いてしまった。

 しばらくの間は新聞の政治欄から目が離せない。


9/4(木)晴・暑 外来 県DV基本計画改定委員会 マッチング+調整会議  1:30起床、ドック判定総括x2他。5:15バイクで病院着。6:30回診+病棟業務、8:00救急カンファ。8:45-13:00外来。13:30-15:00県DV基本計画改定委員会,中座して帰院。15:30-16:30新臨床研修制度マッチング+調整会議。ハーレーを修理に出し、20:45帰宅、21:15就眠。

ひんやりとした雲一つ無い秋晴れの朝  とても暗く、美しい 
 ここ一月ほど、全国的に天候が不順である。寒暖の差も激しく、早朝は寒くて長袖のセーターが欲しくなることもあったが、ここ数日はむしろ暑くて扇風機が大活躍している。日本の各地で雷雨やいわゆるゲリラ降雨による被害、死亡事故が報道されている。秋田の天候も不順で、短時間、バケツをひっくり返したような激しい降雨が数回あった。幸い被害が出るまでには至ってない。

 一方、いつもなら台風が話題になる時期である。何時の年であったかは忘れたが、風速80mほどの史上最大級の第18号台風が襲ったのは9月5日であった。昨年は、台風9号が近接しフェーン現象で夜まで異常に暑かったことを思い出す。今年は大型の台風はまだ一つも来ていないし、台風が話題になることもない。実に不思議である。

 この天候不順の原因の一つには地球温暖化が関連しているとの見方もあるようであるが、それを否定する意見もあり、まだ必ずしも確立されたとは言えないようである。一般論としては温暖化によって天候はより不安定になり、台風とかの規模はより大きくなるのだという。

 昨朝、今朝と秋田の朝は雲一つ無い、素晴らしい秋晴れであった。日の出は5:15am頃であるが、意外とこの時間は空は暗い。家の中から外を見ただけではどんよりと曇った朝と区別はつかない。出かける前には窓を開け、あるいは外に出て空を確かめて、車にするか、バイクにするかを考える。

 日の出前の、雲一つ無い空の色は深い紺青色である。何故こうも暗いのか、と言えば光を乱反射する雲がないからである。秋の高積雲は2.000-7.000mに、巻雲は5.000-13.000mと高い空に発生し白く美しく見えるが、これらの雲が太陽の光を先に受けて地表に反射する。だから雲がある方が朝は明るい。一方、2.000mほどの高さの層積雲の場合には光が遮られてどんよりと暗い朝になる。

 この秋晴れの暗さの朝、一層美しく映えるのが山々のシルエットである。黒々とした山々のラインと紺青の空が織りなす景観は実に素晴らしい。
 それらを見ながら早朝バイクで出勤する。爽快である。こんな時はちょっとだけ遠回りする。ちょうど病院に着く頃、大きな太陽が顔を出す。
 早朝の美しい景観を、自然の営みを味わえる幸せを享受しているが、それをうまく表現できないのが残念である。


9/3(水)晴 外来 県医務薬事課と打ち合わせ
2:00起床。ドック判定総括x1.総括・紹介状等処理、5:10病院着.6:30回診その他。8:00救急カンファレンス、8:45-14:40外来。15:15県医務薬事課員と打ち合わせ。病棟・外来患者検査。書類書き。20:00帰宅,20:45就寝。

昨夜、福田首相が辞意表明(2)医療行政はどうなる
 1月前に内閣改造を断行したばかりであり、臨時国会を12日に控えての突然辞任は、安部首相の辞任劇と時期的にもほぼ一致、全くそっくりである。

 内閣発足当時、安部首相の政権投げ出しによって失った自民党への信頼を回復すべく、自ら「背水の陣内閣」と称して笑顔と共に登場したが、それがそっくり同じ様相で辞任するのは、自らの言葉に対しても背任である。言葉尻をとらえると「背水の陣」の後には何もないはずであるが・・・。

 確かに、福田首相はねじれ国会で何をやろうとしても野党の反対で実現が出来ないと言う厳しい政治環境の中でスタートした。今までは政策論争の後採決まで持ち込めば数の論理で自由に政策を通してきた。しかし、それが出来なくなっている現実があるが、それが民主主義というもので、首相が窮地にあることは誰もが知っている。この現実は、何ともしようがないのだ。

 しかし、野党の反対を受けた時の弱気な表情は首相として相応しくなかった。数の論理で否決されることは民やむを得ない現実であり、これに不満を言ってもしょうがない。政策が正しいのなら堂々とその正当さを国民に提示して、反対する野党をおかしいと糾弾し、対峙すべきであったのだ。その姿勢であったなら内閣支持率を維持できたのではなかろうか。

 福田首相は失った自民への信頼を回復しようと国民の目線に立った政策を掲げてきた。彼の目は優しかった。小泉首相時代の政策で崩壊に向かった医療環境は安部内閣、福田内閣で少しずつ路線変更が行われてきた。まだその効果は現れていないが、見るべき施策も提起してきた。

 しかし、その政策の実行性が読めない。例えば骨太の方針の骨子である毎年2.200億円の削減政策をそのまま続ける一方で、首相が自ら主体的に取り組んできた社会保障改革、「5つの安心プラン」を実現するために、厚労省は来年度の予算の概算要求を1.864億円も要求をする予定であった。政策の方向としては良いとしても財源に関しては矛盾を抱えることになる。原油高対策のための補正予算もばらまき型になりそうで、私はこの辺のことをまだ理解できていない。 

 ともあれ、事実は事実、私は首相にご苦労さまでした、と言いたい。これ以上首相であり続けることに意味はないばかりか国のためにならない、と個人的に決断したことの背景は、深い心労だと思う。それを一人で耐えてきて、ついに限界を迎えたのだろう、と私は理解した。
 次の内閣では医療行政はどのように扱われるのだろうか。


9/2(火)晴れ 外来 法人常務会 医局会 故松田医師を偲ぶ会(欠)
2:10起床,ドック判定総括x1。書類処理他、5:10病院着.6:30回診、定期処方他、8:00救急カンファ、8:45-13:25外来。14:45-16:20常務会。17:30-18:25医局会。故松田医師を偲ぶ会は業務上出席不可。20:45帰宅、21;10就寝。

昨夜、福田首相が辞意表明(1)驚く新聞の対応の早さ
 福田康夫首相が昨夜21:30突然、辞任する意向を表明した。
 その速報は昨年9月の安倍前首相の姿とだぶり、俄には理解できなかったが、睡魔に負けて寝込んでしまった。

 NHKラジオの2:00-5:00am間の番組「ラジオ深夜便」は全く通常通りで、この時間帯のニュースでは、簡単に福田首相の辞任の表明があった事実を伝えただけであった。一国の首相の辞意にしては随分扱いが軽いと感じたが、5:00amからのニュースは一転してより詳細な報道となった。

 4:00amに朝日と魁新聞が届いたが、驚いたことに両紙とも4ページほどの詳細な報道記事となっており、首相の1年間の足跡等の資料、語録等までも掲載されていた。わずか数時間でこの膨大な記事が書かれたとは感嘆ものであるが、事前の準備があったものと予想される。恐らく、要人についてはあらゆる事態を想定してそれなりの準備がなされているのかもしれない。

 2人の首相が就任一年ほどで相次いで突然辞任と言うことになった。
 その判断、行動はあまりにも唐突、無責任で、異常としか言いようない。福田、安倍氏に共通しているのはエリート二世政治家であり、修羅場経験の少なさ、気の弱さ、ではないだろうか。二人とも辞任表明の数週間前から目の表情に真剣みが乏しくなり、顔の表情にしまりが失われ、影の薄い虚像のような印象に変わっていた。

 さらに、共通していたのは、首相を支えようという周辺スタッフの動き、閣僚らの力強い発言が殆ど見えないことで、両首相は厳しい孤立状態に追い込まれていた、と思われる。リーダーの地位にある、特に気の弱い人間にとっては孤立状態に陥ることは何としてでも忌避しなければならない。孤立すれば四面楚歌的状態となり、耐えることは不可能となる。

 一国の党首という立場を個人的に軽々しく捨てることは許されない。国内外への影響もある。一方、本人の辞任の意向は尊重されなければなるまい。ならば、議員も併せて辞任すべきだろうと私は思う。恐らく二人とも地位に固執する気持ちは失っていただろう。潔しと言う意見もあるだろうが、許し難い。引きずりおろされる方がまだ良い。
 記者会見の最後の言葉、「大変ご迷惑をおかけしました」が空しく響く。

 一日経ったら福田首相は既に過去の人扱いである。
 次は恐らく麻生氏であろうが、彼もエリート政治家の一人と言っていい。国内外の政治状況、経済状況の中、どのようにリーダーシップを発揮出来るのか、注目したい。


9/1(月)快晴 管理会議 外来 療養病棟判定会議 長副会議 福田首相辞意表明
1:45起床。ドック判定総括、文献チェック、その他。5:00出勤.6:30回診他、7:45管理会議.8:45-14;00外来。書類処理他。16:00-16:20療養病棟判定会議。17:00-19:10長副会議。20:55帰宅、夕食、21:40就寝。福田首相辞意表明!!! またか、と驚く。

院長就任4年目を迎えた  
 今朝、私は院長就任4年目の朝を迎えた。

 まる3年経過した。病院運営が徐々に困難になりつつあるこんな厳しい環境のもとよくやって来れたものだ、と思う。これは長副会議のメンバーをはじめ、全職員の協力、サポートがあればこそで、感謝、感謝である。

 ここ一年どうだったのか、などど見直す時間も持てないまま今日の日を迎えたが、医療環境は昨年に比較しても明らかに崩壊に向かっている。医療政策の面ではここ半年あまり小泉時代の方針から脱却の方向転換しつつある様相は明らかである。しかし、医療現場の状況が具体的に良い方向に改善してきているわけではない。いや、現実的には地域医療の実情は一層悪化している。秋田市も例外ではない。病院の運営の面から見れば、この一年で一層困難になっている。

 内憂もある。今後も息を抜けない厳しい状況は続いていくだろう。

 この様な、ネガティブの方向に動きの激しい時期に院長であったことについて私は大きな責任を感じている。自らの評価はどうなのか、と問われれば返事は一つ、決まっている。やりがいはあるが、満足感は乏しい、と言う両極端の併存というところだろうか。

 私的な面から自分を顧みれば、これではダメだ、と思う。とにかく時間的余裕が欲しい。私自身の心身の状態も、周辺の状況も刻々と変化しているが、これ以上大きく変われば対応困難になりそうだ。この面ではかなり焦りを感じている。

 まず、4年目の朝のスタートである。病院、医師会、その他、家族達も含め多くの方々にこの一年支えていただいたことを心から感謝し、理屈を言わず、前向きにまた一歩を踏み出すこととする。


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   年を通じてワンパターンで淡々とした毎日です。AM2:00-5:00にメールチェック・返事送付、人間ドック(HDD)判定・報告書作成、新聞切り抜き、病院・医師会業務など。
  月〜土曜は6:00頃出勤、HDD報告書印刷、外来書類処理など。病棟回診、HDD受診者とミーティングと診察。8:45-14:00外来とHDD受診者に結果説明。昼食は摂りません。午後は病院業務・医師会業務、各種委員会等に出席など。20:00頃帰宅。
  日曜・祭日もほぼ同様ですが、病院には午後出かけます。時間的に余裕無いのが悩みです。


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