医療情報の上手な利用



 本日は「上手な医療情報の集め方と見分け方」についてお話をうかがいます。今回この話題を取り上げたのは何故でしょうか.
最近、いろいろな放送とか新聞,雑誌とかで健康に関連したのものがすごく多くなってきています.このこと自体は決して悪いことではありませんし,情報は上手に利用すれば良いのですが,時には逆効果もありますので、そのことについてお話ししようと思います。

もう一つは、今年4月から医療機関の広告がより詳しくできる様になりました.これについても触れたいと思います。


 逆効果とは具体的にどのようなことでしょうか
例えば、テレビである病気や症状について放送された翌日とかに、心配で青くなって受診したりする患者さんが結構おります.また、新聞の切り抜きや本を持って、自分はこの病気にかかっているようだから、この治療をしてくれ,と言って受診する患者さんも結構おられます.

患者さん方の予想があたる事はほとんどありませんが,自分勝手に病気と決め込んで来るので、それを是正するのに大変苦労します.

もう一つは,お年寄りに多いのですが、健康食品やビタミン剤,健康器具と言われるものを沢山買い込んで,それでも具合が悪い,悪い,等と言っている方も沢山おられます.若い方は週刊誌の美容記事、ダイエット記事の影響です.



 患者さんが一番影響を受けやすいのは何でしょうか
意外に大きいのは知人とか,友人の言葉ですね.頭が痛い等と相談すると「くも膜下出血でないの?近所で最近あったわよ」・・・等と言われると,もう居てもたっても居られなくなって救急外来に来る方も居ます.

次は矢張りテレビです。その次あたりが新聞と言うことでしょうか。
テレビで取り上げられたと言うことだけで信用度が高くなる傾向があるようで,テレビの影響力は大変なものだと実感します.


 テレビの医療番組の性格・特徴
例えば、秋田県医師会の広報委員会も随分テレビの医療番組に協力しているのですが,時間が限られていますし,不特定多数の方々が聴いて居おられるという前提に立って,情報を均等に,出来るだけ広く網羅する様に作らざるを得ません.だから,どっちかというとあまり面白い内容には出来ません.

一方では私たちと異なる方向の番組もあります.狭い範囲の話題を取り上げて,いろいろ有名な方を登場させたり,経験者とかを登場させたりして構成しているのですが,この際には予め心の隅に不安でもある様な場合にはすっかり暗示にかかってしまうことがあるのです.


 その他の情報源の場合
新聞の健康欄には、未だその本当の価値も分かっていない内容をニュースとして出している記事と、いわゆる病気の解説記事とがあります.これらを区別して読まなければなりません.最近はシリーズものの解説記事などには優れた内容のものも少なくありませんので日頃からスクラップしておいて利用するとかされると良いと思います。

新聞で注意すべきはむしろ記事ではなく、本や健康食品,健康器具の宣伝だと思います.誇張された,刺激的な表現で目を引くようになっていますので,注意が必要です.

最近インターネットで医療情報を得ている方々が増えております.情報源として重要になっていきますが、誰でも簡単にホームページに載せられることとか、規制がないことから責任の所在がはっきりしませんので注意が必要です。その点は医師会関連のホームページは大丈夫です。


 医療機関の広告について
医療機関は営利を目的にしていませんので私は広告ではないと思います.
情報提供ととらえていただきたいです.

従来の情報提供
施設名、診療科名、住所、電話番号、診療時間、入院設備の有無


今回情報提供可能になったこと
医師の専門医資格, 治療方法、 手術件数, 分娩件数
平均在院日数, 患者数, 患者相談体制, 症例検討会,
入院診療計画, 安全管理体制, 平均病床利用率,
理事長の略歴 など

まだ実際にこれらの表示を始めた病院等は身近にはありませんが、今後は少しずつ取り上げられていくと思います。ただ実際にこれらの情報が示されたとしても直接的にどれほど患者さん方の役に立つかは分からりません.


 それだけ上手に情報を取捨選択するのはむずかしいですと言うことですね。それでは、どうすればよいのでしょうか。
医療情報を理解するには一定程度の医療や医学に関する知識が必要ですし,冷静な判断力がないと間違って解釈してしまう危険性があります.
 最も良いのは「かかりつけ医」に相談されることだと思います。
 かかりつけ医がいない場合などには、例えば県医師会の相談コーナーなどを利用されればいいと思います。


 かかりつけ医は難しい情報の交通整理もしてくれるというわけですね。
そう言うことです.


ご意見・ご感想をお待ちしています

これからの医療の在り方Send Mail