内視鏡の進歩
     

 秋田組合病院 消化器科 福田二代


 長年消化器内科を担当してきました。 最近、自ら胃カメラ(上部消化菅内視鏡)検査を受けたいと希望して受診される患者さんが多くなり、とても良いことだと思っております。      
 40数年前、日本で初めて胃カメラが作られた頃には、検査は苦しく危険もあったので、患者さんは前の晩に家族と水杯を交わしたものだ、と言う話もあります。今でも、周りの人から大変苦しい検査だと聞かされて、何日も眠れないほど心配して来院される方も少なくありません。以前はまず胃のレントゲン写真を撮り、胃カメラで精密検査、と言うやり方をしていたのですが、最近では患者さんの同意が得られれば、最初から内視鏡検査を行うことが一般的になってきました。

 内視鏡的治療が可能な早期の段階でガンを発見するために、最小限年に1回は検査を受けて欲しいので、検査が苦しいと医師も患者も困ります。検査の時の苦痛は大変個人差があって、ご飯を食べるのとさほど変わらないほど楽な人と、死ぬほど苦しかった、と言う方などいろいろです。検査の時に大きく口を開けただけで吐き気を催す人もいます。働き盛りの男性では歯磨きの時でさえオエー・・とくる人が多いようです。多くは、酒、タバコ、過食等の不摂生が原因のようですが、この様な方はどちらかというと難儀します。検査が怖いと言う方には、注射で鎮静をはかってから行うことも出来ます。 少しでもガン死を減らす為には医師も患者も努力が必要です。消化器病に限らず、初期のガンは特徴的な症状を呈することが少ないので、半年以上検査を受けておられない方が胃の不調を訴えて来院されたときには積極的に内視鏡検査を勧めています。       

消化器内視鏡医の使命は治癒可能な状態で消化器ガンを発見することだと思っております。それも内視鏡で治療可能な初期の段階で見つけられれば最高です。