研修医諸君へ(8)医師同士が親しくなるだけで患者は幸せになる
 外来であろうと入院であろうと、また急患や救急の担当であろうと、患者を担当したときに自分の狭い判断力だけに頼ってだけ判断を進めてはならない。医師はどんなに経験を積んできても一人の患者に対して十二分な判断することはまず出来ない。人間なんてもともと視野が狭いものだし、ましてや経験の乏しい研修医時代は当然だ。
 もし、十分に、問題なく判断出来たと思っていたなら、その判断自体が誤っている。しかも、その誤りはかなりの危険性をはらんでいる。多分患者を深く診なかったからだろう。まずそのことを謙虚に感じることが一番。

 では、そう感じた時どうすべきか??
 患者から、家族からもう一度話を聞き直す、カルテや臨床資料を再検討する、教科書に戻る・・・。ウン、それはいい方法だ。必須だ。しかし、それだけでは不十分だ。何故なら、判断するのが同じ自分なら結果にはそれほど大きな違いが出てこない。
 必須なのは、自分の判断の是非と患者の状態について別の医師の目を通すこと。しかし、疑問点がはっきりあれば同僚や先輩に声をかけやすいが、何処に問題点があるのかすらよく解らないことさえある。そんな場合には医師同士の間に存在する壁は相対的に高くなるから注意が必要である。

 医師同士、互いの持っている能力は互いに利用しながら仕事を進めるべきである。特に総合病院の場合はその持てる英知を集約して患者に対応しなければならない。患者は総合病院ではそのような医療がなされていると信じている。だから、主治医を病院側の都合で決めても嫌とも言わずに耐えているのだ。その基本は医師同士の垣根、壁が低いことであり、その方法論は互いが知り合い、より親しくなることにつきる。先輩の中には確かに話しかけずらいような雰囲気を漂わせている医師もいる。しかし、同じ病院の医師だし、意外と一声かけると親しみ深い対応してくれてかえって吃驚することもあるくらいだ。研修医の方でも日頃から挨拶等きちんとし教わったときには礼を言うなど、最小限の礼は尽くしておくべきである。

 更に視点を一歩広くして、地域の患者のことを考えたときに、今の医療は多様化しているから一つ一つの医療機関の持っている能力・機能だけでは医療は完結しない。地域の医師同士が親しくなれば病診連携はよりスムースに進み、患者の治療に関してよりよい判断が出来るようになる。その意味でも地域の医師との交流を大事にしていかなければならない。紹介状を受けたときなど、相手側のみになって対応すべきである。


次回は研修医諸君へ(9)ちょっと慣れて来た時が、危ない






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