主治医意見書ソフト「医見書Ver2.5」



旧マックユーザーは途方に暮れている

 
「医見書」は平成12年に日本医師会が発行したソフトウェアで、介護保険制度の「主治医意見書」を作成するのにとても便利であった。「主治医医見書」と「訪問看護指示書」間でデータが共用されているために各々に入力する必要もない。定型文の選択も作成も出来るので自分にあった意見書の作成が比較的簡単に出来ると言う特徴もあった。
 
 2回目以降の主治医意見書の作成、更新、区分変更での再提出などの際には前回入力したデータに必要事項を加筆するだけですぐに書類が完成するなどとても便利で、私は全ての介護保険意見書をこの「医見書Ver1.0」で記載していた。入力されている患者数は300人を超える。もうこのソフト無しの状態で意見書を記入する気にはならない。

 「医見書Ver1.0/Ver 1.5」は累計約2万5千本を提供したとのことである。
 平成18年度の介護保険制度改正に際し主治医意見書も新様式となった。これに対応した「医見書Ver2.5」が最近発売された。

 「医見書Ver1.0」にはいろいろな不具合はあったが、それなりに工夫して使い続けてきた。そのため「医見書Ver2.5」の到着を心待ちにしていたが、「医見書Ver2.5」を手に取ってみてOSを厳しく選ぶ事を知り、愕然とした。
 「医見書Ver2.5」の動作環境はMacintoshの場合はMac OS X v10.3.4以上、PowerPC G4以上でPowerPC G5推奨、Windowsの場合では2000(SP2以降)又はXPが必要、と言うことになっている。

 これは、驚きである。私はMacintoshをColour Classic2を始めG4の機種まで8台現役で用いており、OSは7.55-10.29までである。今までは全ての機種で意見書作成が可能で、何処にいても意見書作成が可能であったが「医見書Ver2.5」は全く使えなくなる。これは困った。


旧マックユーザーの私は怒っている

 秋田市の場合、あと2ヶ月ほどは旧意見書様式でも受け付けてくれるというので何とかなるが、他の市町村の場合には受け取りを拒否されることもあるらしい。実際は困った、と言うレベルを超えて怒りさえもを感じている。

 日医総研の「医見書」担当部署に電話したが、対応OSに関しては執行部の了解のもとなので、と逃げる。やむなく日医の事務局長に電話し、担当常任理事に問題点を伝えて貰うこととした。事務局、執行部では全然問題を感じてはいないらしいことがうかがわれた。
 これが一般の市販ソフト会社なら、ソフトの経済的メリットが無くなればユーザーへのサービスを断念することもあるだろうし、止むを得ないこともあろう。
 例えば、今、マックはIBM製CPUからIntel製のCPUに変更する過渡期にあり、両社のCPU搭載機が併売されている。両者共同じOS10.4であるが、IBM製CPU搭載機種のOS10.3はOS9.2の動作環境も併用できるが、Intel製のCPU搭載機はOS10.4でOS9.2の動作環境は捨てられている。
 これは時代の流れの中で容認できる。マックOS9とOS10は全く別物と言っていいほどで、この移行に際して旧マックユーザーのためにOS9.2動作環境を保証してきた。それだけ、OS9.0以前の動作環境のマックを用いているユーザーが多いと言うことでもある。これが企業の倫理観であり、サービスなのだと思うし、評価できる。Intel製のCPU搭載機ではOS9.2の動作環境は捨てられているが、もう両者の共存は不要だろうと私は思っている。

 しかし、「医見書」ソフトの場合は同一には考えられない。「医見書」ソフトユーザーの大部分は日本医師会の会員である。もともとマックのユーザーはそれほど多くないし、旧マックを用いている会員が多く、OS10.3以降の新OSユーザーはまだ一握りでしかない。そんな状態でこの「医見書」ソフトのあり方は正しいとは言えない。

 会員に対する裏切り行為だ、とも言いたくなる?ょっと大げさだが、正直、そんな気持ちである。今回、日医会長選挙が行われようとしているが、「医見書」ソフト関連だけで考えれば、現執行部は会員のことを十分考えてくれていたのかな?、選挙もやむを得ないのかな?、とさえ思ってしまう。



具体的にどうする??代議員会で要求するか?

 「医見書Ver2.5」は全く使えなくなる。困った。どうするか。ホント悩んでいる。 私がとれる対策は以下の如くであろうが、何れも壁に突き当たる。

●日医に掛け合って旧OS動作版「医見書Ver2.5」を作ってもらう→これはもう伝えたが、無視される?
●全部手書きにする→これは考えたくもない。書類地獄である。
●OS10.4の新型マックを購入する→今マックは過渡期だから購入時期ではない。しかも「医見書Ver2.5」はIntel製の新型CPUのマックでは動作ない ! だから、無駄。大体何も困っていないのに「医見書Ver2.5」のためだけにマックを買えるか!!
●OS10.4をiBookG3(OS10.28)とPowerMacG3(OS10.28)自宅のPowerMacG4(OS9.2)にOS10.4をインストールする→実は、やってみたがインストール出来なかった→iBookG4附属のOS10.4では他機種には駄目か??→製品版のOSなら大丈夫か?→ならば購入する、と注文済み→現有機種でOS10.4が上手く作動するか?は未知数。
●家内の自宅用のウインドウズXPパソコンを用いて意見書を書くか?→いやいや、私はマックが続いていく限りマック派でありたいと思っているからラスト、ラストチョイス。

 「医見書」は私にとっては高度の機能など要らない。レイアウトが書類の様式に合致し、入力、呼び出し、上書き?印刷さえ出来ればいい。不調であったとはいえ「医見書Ver1.0」はこの機能だけは確保できたから、自分なりにカスタマイズして重宝していた。
 今回、開発部門に確認したところ、「Java言語・云々」「OSに依存しない稼働環境・・云々」「PDFを使った高品位な印刷、保存が可能」「TCP/IPネットワークによるクライアント・サーバ型のデータ共有が可能」だとか何とか、私には全く理解の出来ない専門用語でどうしたのこうしたの・・・と説明してくれた。
 私にとってはそんなことはどうでも良いのだ。高度機能なんて不要。OS9環境、OS10.3以前の環境で動く、簡素な「医見書」が欲しいだけ、なのだ。

 日医総研の「医見書」プロジェクト、日医執行部に私の考え方、希望は伝えたが、多分無視されることになるだろう。

 次に私が出来ることは代議員会で要求することであるが、医療制度改革、診療報酬問題、日医会長選挙問題等でもめるであろう今回の代議員会の話題としては何とも低レベルでそぐわない。これも悩みである。どうしようか。

 まず、製品版「OS10.4Tiger]を買って自宅のPowerMacG4(現OS9.2)にOS10.4をインストールみることにした。
                       

 (2006/2/19記)

(4)いろいろな提言を戴いたが、私はその提言自体を理解できなかった

 秋田県医師会のメーリングリストで窮状を訴えたら早速提言があった。難しいパソコン用語が並びその大部分を理解できなかったが、結論は以下の2点であった。

●パソコンの関係から言うと私の主張はむしろ身勝手なのだそうで、時代に合った機能のレベルでソフトを作るのは当然とのことで、「医見書」の有り様は正しい姿勢とのこと。だから「医見書」用に安いWindows機を購入されるのが賢明との提言があった。
●自分の病院でも困っているマックユーザーがいるので同じレイアウトをファイルメーカーで作りましょうか。
 
(5)製品版OS10.4をインストール:されど十分動かず

●OS10.4を病院机上のメイン機種i-BookG3と自宅のメイン機種PowerMacG4にインストールした。マック自体は問題なくOS10.4環境でスムーズに動作している。
●これで環境設定OKと「医見書Ver2.5」をインストール、入力開始。しかし、日本語入力は不能。アルファベットは可。英語版の意見書なら書けそうだが、私に英語力なし。
●日医総研に電話、「医見書Ver2.53」を早く送れと催促した。受付嬢からオンラインでのヴァージョンアップを勧められ施行、されど結果は全く同じ。
●日医総研開発技術者に直接電話で相談した。Java新版インストールを勧められ施行、されど何も変わらず。何故かExcelが動かなくなり、こちらも再インストールした。
●「医見書Ver2.53」のCDが届いたのでインストールしたが結果は全く変わらず。
●日医総研の意見では日本語入力「ATOK 15」と相性が悪いと考えられるから
「ATOK 17」あるいは「ATOK2005」の使用を勧められた。半信半疑ながら「ATOK2005」注文。
●意見書が机上にたまってきたので遂に手書きで処理し始めた。
                          (以上は2006/3/1記)

(6)マック版「医見書」は「ATOK 15」「Adobe Reader」が問題だった

 「医見書」を何とか機能させられた。
 前回以降以下のごとくの対応した。メーリングリストのメンバーの方々だけでなく、ホームページを見てくださった方からもいろいろアドバイスをいただき、実行には病院職員の助言を受けた。感謝します。

●日本語入力メソッド「ことえり」を使用したところ入力可能となる。したがって「医見書」をスタートできなかったのは「ATOK15」との相性の問題と判明した。
●日医総研開発技術者に電話で報告した。「ATOK15」使用のユーザーから今までに2
件の問い合わせがあった、という。ならば早く情報を流すべき、と提言した。
●しかし、印刷はうまくいかない。印刷されない部分、枠からはみ出して印刷される部分等あり、いろいろ条件を変えて何度も試したが改善なし。PDFのプレビュー確認画面でも同様であった。
●PDF化過程に問題があると考えられ、アドバイスに沿ってAdobe Readerをアップデートした。Adobe Reader はVer7.0となる。それ以降、画面も印刷も入力通りとなる。
●「ことえり」は不慣れでつらい。「ATOK2005」の製品版を購入した。
                                              (2006/3/13記)


(7)今後に残った問題

●「医見書Ver1.0」のデータは直接移せないとのこと。「医見書Ver1.0」→「1.7」→「Ver2.53」とデータコンバートは可能らしいが、面倒だから「医見書Ver2.53」上でサラから蓄積しようとも思っている。
●病院と自宅の機種で「医見書Ver2.53」間のデータを共有できるように出来るのか?


(8)それでも、日医の姿勢は会員軽視と思う

 私は何人かの援助を得て「医見書」ソフトを利用可能に出来た。ただ、繰り返しになるが、「医見書」ソフトユーザーの大部分は日本医師会の会員で、パソコンはIT化に悩みつつ、一応使える程度になった、初心者に毛の生えた程度のユーザーが大部分と思われる。特に中年ないし熟年医師の大部分は、私も含めてそんな状態であり、現実にOS10.34以降のユーザーは私の周辺にはホンの一握りしかいない。私も周辺に詳しい方が居なければ到底無理だったと思う。

 この「医見書」ソフトのあり方、発想は、コンピューターの現状、将来性から見て正しいとしても、大多数のユーザーを途方に暮れさせているから、やはり正しいとは言えない。この点は医師会の役員の一人として主張し続けたい。
                            

                              (2006/3/26記)

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