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  少子化対策2014

 

 人口減少が全国一の速さで進む本県にとって、県力の維持に少子化対策は最重要課題である。

 合計特殊出生率は15-49歳の女性が産んだ子どもの数や、年齢別の女性人口などを基にした推定値である。県別に見ると秋田県の合計特殊出生率は平成12年は1.37で全国で37番目と低い。県人口を維持するためには2.07とされている。1973年以降ずっと2.0を切って右肩下がりに減少して来て1.37だから2.0に上昇する可能性はほぼゼロと言っていい。
 それでも諦める事なく対策をし続けなければ県の活力が衰退していく。

 2014年に我が国、秋田県の少子化対策について勉強した。そのメモ、備忘録をまとめてみた。


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少子化対策2014(1) もう、間に合わない それでも・・
 少子化は、経済的に豊かになった社会では共通してみられる現象であるが、特に日本では出生率の低下が著しい。日本社会が抱える重要な問題である。しかしながら、少子化は子育て世代の人生観も絡む考えかたや就業、収入状態、家族関係、政治や経済・社会情勢などと不可分の関係にあるため、対策を明快に論じることは難しい。
 わが国の少子化問題は社会の問題と言うより、個人的問題と考えられて来た。
 私は日本の少子化の最大の要因は養育環境、教育費にあると考える。

 少子化は高齢化と表裏一体である。このまま少子化が進めば、労働力も消費力も大幅に損なわれ国の活力が低下する。社会保障制度は破綻して行く。そんな事は遥か前から分かっていたのであるが、わが国では少子化には十分な対策がなされなかった。

 少子化対策には次世代を産み育てる若年層が十分揃っている事が前提であるが、既に人口構成上で若年層が少なくなり、もう遅きに失している。ここまで減少すれば、一夫婦子供を4−5人生んでもらう事が必要である。現実には実現不可能な数値である。日本の養育費、教育費は異常に高い。大学までの教育費用は一人当たり1500万円もかかる。教育費はわが国の少子化の大きな要因である。子育て、教育にかかる費用を全部タダにすれば出生率は改善する、だろう。
 わが国の少子化対策は遅きに失した。それでも対策は必要である。困難な事であるが、パイは限られている。子育て関連の社会保障を若年者側にシフトさせなければならない。

 我が国では高齢者対策は比較的豊になされて来た。それは何故か?
 少子化対策には次世代を産み育てる若年雇に優しい政策が必要である。日本の社会保障政策は高齢者に厚く、若者に薄い。社会保障と言えば誰でも高齢者、年金、医療福祉生活保護などを思い浮かべるが、少子化対策も社会保障に含まれる。「高齢者対策」、「少子化対策」を別々に論じるから後者が薄くなる。本当は後者の方が重要である。

 政治家は選挙では投票率が高い高齢者層に媚を売る。だから「高齢者シフト」が起こる。少子化とは、単に次世代人口が減少することのみを意味しない。総体としてこの国を崩壊に導く最重要因子である。国を滅ぼす少子化よりも、議員たちは自分の当選の方が大事である。それはやむを得ない事である。地位を失ったらただの人である。

 ならどうするか?若年層の投票率を上げる。それに見合った政策を掲げる若い候補者を当選させる。それしかない。
                               (2014.4.13)



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少子化対策2014(2) なぜ出生率は低下するのか
 むかしは出生率は高かった。国際的に観て、成熟から衰退しかかっている社会は何処でも同じ様に出生率が低くなっている。

 成熟社会において出生率が何故下がるのか??現代の日本に於いて出生率が上がる要因は何があるのだろうか?私は、妊娠出産を決めるのは、「現在の親世代に残る子育ての意欲、楽しみだけ」で維持されているからだ、と言って良いと思う。

 動物の社会においては、繁殖・子育ては種の保存本能そのものであり、親にとっては見返り、メリットは一切無い。ただひたすら苦労をし、時には子育てに一生懸命になるあまり天敵に襲われて死を迎える親もある。にもかかわらず種の保存本能に従って子どもを産み、育てる。そこには損得関係など一切ない。その様を見るに付け、そのひた向きさには頭が下がる。

 人間の出産・子育ては動物とは異なっている。人間は社会的動物であり、家族を形成し、各世代に応じた義務を果たしながら強い絆で結ばれた中で生きてきた。そこには生命の安全、食料の確保、財産の蓄積と継承、甘えの構造すらあった。

 現在、人間の社会構造はすっかり様変わりした。文化や経済の充足で、結束は地域社会から個々の家庭の中に単位が小さくなって来た。更に家族から個々人の問題になって来た。家の継承、血縁の継承、財産の継承も様変わりした。いや、財産の継承問題だけはまだ生きている。

 ざっと振り返ってみる。出生率が上昇する要因はあるだろうか。 

■経済的成熟社会になるまでは、子どもは社会にとっても家庭にとっても重要な生産的財産であった。

■大家族の中では子育てはそれほど難儀ではなかった。

■子供は労働力となった。外に出て働き、親に仕送りするなどプラスの見返り効果があった。

■現代の子育ては、数少なく生んで大切に育て、子どもに大きな期待をかける。子供も大変。

■子育てコストがかかり過ぎる。一番高額なのは教育費。

■生んだら育てるのが当たり前。脛はかじるためにある。

■子育ては親世代にとってほとんど見返りも無い行為となった。寂しい老後が待っている。

■劣悪な子育て環境で、親の苦労は多い。
                                 (2014.4.14)
    


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少子化対策2014(3) 秋田県の出生率はなぜ低下するのか(1)
 厚労省が発表した本県の2012年まで5年間の平均は1.36で、2003〜7年の調査をわずか0.01上回っただけだった。
 人口減少が全国一の速さで進む本県にとって、少子化対策は最重要課題である。

 合計特殊出生率は15-49歳の女性が産んだ子どもの数や、年齢別の女性人口などを基にした推定値である。県別に見ると秋田県の合計特殊出生率は平成12年は1.37で全国で37番目と低い。県人口を維持するためには2.07とされている。1973年以降ずっと2.0を切って右肩下がりに減少して来て1.37だから2.0に上昇する可能性はほぼゼロと言っていい。それでも対策をし続けなければ県の活力が衰退していく。

 最近の出産適齢期にある若い夫婦は、例えもう一人子どもを産みたくともそう簡単には持てない。特に秋田では、■保育所など、子育て環境が良くない、■子どもの養育費用、特に医療費、教育費が若い夫婦にとって高額、■安定して働ける場所が無く、将来を見通せない、■・・・

 結婚、出産は人生観も絡む極めて個人的な問題だが、もう個人的レベルの問題ではなく政治的な問題である。「もう1人産みたい」と思う気持ちを支えていく子育て環境を整えていくことだろう。

 従来の少子化対策には根本的な誤りがあった様に思う。
◎遅きに失した対応。
 先進国に前例があるのに日本は少子化問題を軽視してきた。少子化が社会的関心を集めるようになったのは1990年の「1.57ショック」が契機とされるが、厚生省の下に設置された人口問題審議会で少子化問題が中心議題として取り上げられたの は1997年のことであった。何と、まだ15年しか経っていない。もう少子化になり、国の人工ピラミッドは頭でっかちの状況になっていた。

◎「次世代育成支援対策推進法」、「少子化社会対策基本法」が成立したのは2003年。わずか10年前の事である。

 国の少子化関連施策を整理すると大まかに以下の6項目に分類される。
●児童手当の拡充
●育児休業の制度化と普及促進
●保育サービスの拡充、働き方の見直し、若者の自立支援など
●男女共同参画の推進
●国の関与、責任の表明
●地方自治体、企業等における取り組みの推進 (文中●は佐藤龍三郎 J.of Population Problems64:10~24. 2008より引用)
          (2014.4.16)



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少子化対策2014(4) 国の活力の源なのだが・・・
 少子化は、先進国では共通してみられる現象である。その中でも特に日本では出生率の低下が著しい。

 日本の国力はGDPとかで論じられる事が多いが、そんな指標以上に少子化指標は日本社会が抱える最重要課題である。明治維新後、第二次世界大戦前には人口問題は国策であったが、戦後のわが国では少子化問題は国や社会の問題と言うより、個人的問題と考えられて来た。実際は、ここに問題があった、と思う。

 先進国に前例があるのに、戦後の日本は少子化問題を軽視してきた。少子化が社会的関心を集めるようになったのは1990年の「1.57ショック」が契機とされる。たかだか25年前である。人口問題審議会で少子化問題が中心議題となったのは1997年のことで、15年前の事である。「少子化社会対策基本法」が成立したのは2003年、わずか10年前の事。その時にはもう少子化が顕著となり、国の人口ピラミッドは頭でっかちになっていた。
 古い時代から人口問題を拾ってみる。

 日本では妊娠出産できない女性を「石女」と言って差別してきた。日本が農耕社会で、貧農層は労働力の確保のために、より豊かな階層にとっては家と血縁、財産を守るために子供が必要があった。明治維新後には富国強兵のために若者が必要となった。当時は、子供に対する明快な価値観があった。1930年代には、日本は毎年100万人ずつ人口が増加した。女性の価値は第一に子供を産むことであった。今そんな事をまともに言う人はいないが、後の厚生大臣が女性を「産む機械」と例えて一悶着を起こした。発言の真意は少子化にあったのだが・・。

 日本の工業化と共に社会は徐々に豊かになり、子供は工業地帯に出て働く様になると子供に対する価値観が変わり、少子化傾向が始まった。1938年には、日中戦争の影響もあって、突如として人口増がたった30万人という、驚くべき数字になった。当時の厚生省は人口減少に危機感を強め、1939年子供を増やすためのスローガンを発表した。それが以下の「結婚十訓」であった。

(1)一生の伴侶に信頼できる人を選べ
(2)心身ともに健康な人を選べ
(3)悪い遺伝のない人を選べ
(4)盲目的な結婚を避けよ
(5)近親結婚はなるべく避けよ
(6)晩婚を避けよ
(7)迷信や因襲にとらわれるな
(8)父母長上の指導を受けて熟慮断行せよ
(9)式は質素に届けは当日に
(10)産めよ殖やせよ国のため
(厚生省予防局民族衛生研究会)

 このスローガンの効果は定かではないが、「産めよ殖やせよ国のため」だけは一人歩きした。
 現に私は戦争末期に生まれたが、多分一人しか産んでいなかった事で両親は負い目を感じたのだろう。12年振りで私を産んだ。

                                 (2014.4.30)



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少子化対策2014年(5)確実に予想出来ていたのだが、対策が甘かった
 人口問題は人間が確実に予想出来る数少ない事象である。
 自然現象、社会経済問題等予測しなければならない事は少なくないがどれも確実性に欠ける。最近の事象として、2011.3.11東日本大震災は誰が予測出来ていただろうか、2008年のリーマンショックは?そういえば、2001年の9.11の同時多発テロは 予想されていながら事件にはならなかったが2000年問題もあった。

 人間社会の歴史は予想も出来ない様な重大な事件・事象が目白押しであった。それらによって地球規模でも大きな影響を被ってきた。しかし、確実に予測出来る事象は多くはない。大抵の事は事が起こってから慌てて対策を講じている。それは先の事だからやむを得なかった。

 しかし、確実に迫り来ている大きな問題がある。それは、先進国を中心に見られる少子高齢化と、地球規模の温暖化、の二つと言っていい。特に前者の問題はわが国にとっては大事件と言っていい。

 国立社会保障・人口問題研究所は30年後のわが国の人口の予想を立てている。人口問題に影響する様な突発的的な大事件も起こりうるので、現実が予想のごとく進む保証は無いが、そこには驚くべき内容が示されている。
■総人口 1億2800万人→1億700万人(16%減)。
■高齢化率 23%→36%。
■生産人口 8173万人→5787万人(29%減)。
■65才以上年齢層 2948万人→3868万人(31%増)。
■75才以上年齢層 1419万人→2223万人(57%増)。

 秋田県はこの30年間最も人口減少が激しい県で、高齢化率は日本一である。だから、危機的状況にある代表県の様に見られる。秋田県民はこんなデータに慣れっこだから別に今更慌てる事は無いが、深刻な事態である事は間違いない。

 これに引き換え、首都圏は全国から生産人口層の流入が増えているから、秋田県とはかけ離れて安全地帯と考えられているが、30年後の実態は秋田県よりも深刻な事態を迎えると予想されている。

■首都圏:高齢者数の増加ペース53%、後期高齢者数は89%。生産人口数は24%。
■秋田県:ピークに達しつつある高齢者・後期高齢者は寿命を迎え早晩減少に転じ始める。ただし、生産人口も減少するからやはり深刻である。

 2011年度の首都圏の出生率は1.06と最も低い。ちなみに秋田県は1.35で全国38番目である。都会には子供を産まない中年層も集まってくるし、若者達は子供を産まないからで、そのまま高齢になっていく。人口流入が激しいだけ高齢者の絶対数も急速に増えていくと言う事である。

 この国立社会保障・人口問題研究所の人口予測を見ていると暗くなっていく。
 こんな事は遥か前から分かっていたのだが何で対策をしてこなかったのか、と今更ながら思ってしまう。
                                   (2014.5.3)


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少子化対策2014年(6)諸外国は??
 人口問題は人間が確実に予想出来る数少ない事象である。

 欧米の先進国の人口問題は日本の先輩格であり良く研究されている。30年後の世界の人口問題は今なお流動的で各国ごとに事情が異なる。

 少子高齢化と言う意味では日本は世界一の先進国である。今は、これからはしばらく苦しい時期が続くが、それだけピークを迎えるのも早い。その後は新たな平衡状態に向けて社会構造も,経済の仕組みも変わっているだろう。新経済秩序はかつての華々しさは無くなるだろうがそう悪くないところで落ち着くと思われる。

 日本は何れ人口問題を乗り越えた唯一の先進国として世界をリードして行くはずである

 その日本を世界の国々が追いかける。他の国々はわが国に比較して遅れているだけで、人口問題の本質は同じで、ほぼ例外は無い。

 世界は人口問題に関しては早めに日本から多くを学ばなければ国力は著しく衰退して行く。日本は今が苦しいが、踏ん張りどころである。

■東アジア:現在、急成長している東アジア諸国でも、特に中国・韓国・台湾・シンガポールでは、20年後は日本以上の生産年齢層の減少と高齢者の激増が始まり、経済成長が望めなくなる。

■特に、現在世界第二位の経済力を達成した中国は、人口が多い他に貧富の差が著しく大きい。一人っ子政策の影響もあって生産人口は減少していく。いま豊かな経済力を有しているうちにこの問題の解決を図らなければ、将来の姿は暗くなる。中国は外向きに威力を誇示しているが、真の脅威は内憂の方にある、と思う。

■欧州は高齢者の増加は緩いが、生産世代の減少が進行する。

■北米では生産世代は今なお増加しつつあるが、高齢者も急増する。

 世界の人口問題の中で最大の誤算は高齢者の寿命の延長である。
 例えば、日本の年金制度はよく考えられたシステムだと思うが、世代間の受け止め方に大きな差がある。その原因は高齢者の寿命の延びの読みを誤った事に由来している。それに加えての少子化である。結果として給付する資金に陰りを生じてきている。給付のシミュレーションを繰り返しながら存続を模索しなければならない。

 人口問題は国のあり方を左右するほどの意義がある。早くから国の政策に組み込まなければならなかった。わが国の政治家はその認識が乏しかったのではないだろうか。

                                  (2014.5.4)



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少子化対策2014年(7)秋田県の出生率はなぜ低いのか(2) こどもの日雑感
 今日、5日はこどもの日。ちょっと考えてみた。
 秋田県は子どもの割合が全国で最も低い県である。15歳未満のこどもは県人□全体の約1割しかいない。
 秋田県の出生数がピークだった昭和20年代前半には年間4万人以上のこどもが生まれたが、それ以降は減り続け、ここ数年は年6000人台である。随分減ったものである。

 こんな環境の中こども達はどんな気持ちでいるのだろうか。私は子供と言えば幼稚園時までの孫3人だけだからこども達と全くコミュニケーションはない。だから、資料でみるしかない。

 県のHP「美の国秋田」に記載されている資料よると、「子育て環境調査(平成22年10月)」では小学生4年以上の9割近くが毎日の生活を「楽しい」、「まあ楽しい」と回答している。私は否定的な回答が多いのではないかと思って資料を読んでみたのであるが、「楽しい」との回答が多かったのには正直驚いた。最高の救いであった。

 「毎日の生活が楽しい」との回答は年長になるに従い低下して行くが、これは成長の証でもある。「毎日の生活が楽しい」と思い続けられる環境づくりのためには大人が頑張らなければならない。家庭、地域、教育、企業、行政があまねく参加して担わなければならない。そんな風に活動しているのだろうか。大人はこども達に良き背中を見せているのだろうか

 本県の子育て支援策は全国でも進んでいる方である。ただし、お金の面では・・・である。
 子育て支援策としてこどもの医療費助成と保育料助成を合わせた本県の支出額は年約22億円、1人当たり1万8000円。経済的支援としては全国トップクラスであるが、それでも出生数減少に歯止めがかかっていない。この程度の支援は無いよりは良いだろうが、もう一人こどもを産もうとする気持ちに影響するものでは無いようである。
 結構多額の資金が使われているが、行政が考える子育環境の整備と、親が求める施策はかみ合っているのだろうか。この辺を検証してみなければならない。

 本県の経済面からの子育て支援策の主な対象は就学前や小・中学生で、経済的負担は高校、大学とこどもの成長ともに増える。私立高校・大学を卒業するには1500万円もかかるとの試算もある。勿論、大学卒業までの経費を県費で負担する事など考えられないが、県が奨学金制度を導入するなどは考えられないのだろうか。従来の子育て支援策で足りると考えてはならない。

 近年の出生数減少の理由の別な側面として、子育てと仕事の両立の難しさが挙げられる。育児休業の取得推進には、呼び掛けだけではなく、企業への支援策も考えなければならない。

 先の「子育て環境調査」によると、親の8割に子育ての悩みや不安がある。内容は経済的な問題の他、こどもの友人関係、いじめ問題など多岐にわたる。
 秋田県の出生率は全国で38番目と低い。育児には労ばかりではなく、楽しさと喜びが伴うものであることをもっと伝える必要があろうが、それとともに子育て環境の整備が伴わなければならない。
                                 (2014.5.5)



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少子化対策2014(7) 国の活力の源なのだが、なぜ今まで・・・
 最近、特にここ2週間ほど、人口減と少子化が大きな話題になっている。

 民間研究機関『日本創世会議』は国立社会保障・人口問題研究所が昨年3月にまとめた人口推計データをもとに2040年の若年女性が2010年時の半分以下となる様な多くの市町村は全国に多数あり、そのような市町村は「将来的に消滅する・・」と推定した。

 上記のごとくの具体的推定値はなかったかもしれないが、この様な事態はとうに予測されていた。にもかかわらず、社会保障のあり方は論点は常に高齢者対策に終始していた。社会保障と言う言葉が若者向きに使われたことがあるのだろうか。

 今の社会保障対策と言えば、増え続ける社会保障費を如何に抑制するか、■高齢者医療費の自己負担の増加、■年金給付の支給額を如何に減らすか、等に終始していたと言って良い。

 ●社会保障を高齢者対策に集中する事は亡国の対策である。
 支出は際限なくのびていく。いくら保障を厚くしても満足させられない。さらにその間に少子化、高齢化、人口減に繋がっていく。要するに今の状況を迎える事になる。

 ●社会保障を少子化対策に集中すれば興国の対策である。
 国が右肩上がりに成長している時期であれば少子化対策と高齢者対策双方に対策出来た。しかし、近年の日本では双方は無理だ。社会保障財源は限られている。その中で、高齢者対策を薄くしてまでも、しかし、少子化対策、若者対策に抜本的と言えるがごとくの対応しなければならない。

 分かっていながら、それをやってこなかった。そして到達したのが今の姿だ。

 濃厚な子育て支援を伴う若者中心の社会保障対策に力を注いでいれば、若者の子育て意欲がある以上、おそらく出生率は上昇するだろう。その事で人口減に抑制がかかり、国力は維持される。国内消費は伸び企業にも活力が戻る。社会保障対策に関しても徐々に展望が開けていく。

 わが国の予算の裁量的経費の約半分が社会保障費である。高齢者対策を如何にやっても切り株しかない荒廃した山々に水を撒き続ける様なもの。植林をして若返りをはからなければ山々は再生しない。
 今から手を付けても30年に以上にわたる長期的対策となる。もう一刻の余裕もない。

 安倍総理はアベノミクスに、TPP、集団的自衛権の為の憲法改正に集中しているが、もうこれ以上少子化対策はさけて通ってはならないと思う。首相の支持率も安定している。今後3年間は多分国政選挙もないだろう。この時期こそ抜本的若者対策を行うチャンスである。

                                  (2014.5.17)


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少子化対策2014(8)「若者に対する政策」の不在は問題
 少子化対策は国の重要課題であるはずだ。わが国の社会保障政策は、高齢者に対する保障は先進国並みであるが、現役世代に対する福祉が非常に貧弱である,と言う特徴がある

 これから長期的に政治をになう自民党のマニフェストに若者に対する記述は見当たらないようである。子供は国の宝,地域の宝である、とよく言われる。確かである。わが国の少子化対策は国家的根幹事業であるはずなのにどこが主導してやっているのか?よく分からない。少子化担当大臣はおられるようであるが、動きが見えない。

 いま、国が進めている雇用対策は若者世代の不安をあおっている。若者と言う貴重な国の財産を使い捨てにしている様に見える。これからの日本をになう若者に対して努力に報いられる様な政策を真剣に取り組まなければならないだろう。

 アベノミクスの第三の矢に持続的な経済成長の確立が言われている。総理は産業界に向けてメッセージを送り続けているが反応はない。

 経済成長の要因としては目立たないが、子育て支援、女性の労働参加、それらを成り立たせるための企業奨励金、男性の子育てや家事への参加、地域の子育て環境の確立などが必要である。子育て支援は経済成長の荷物でなく、経済成長に結びつく。

 少子化の要因は、■若年層が減少した事、■未婚化、■若年層の生活の不安定化、非正規雇用増加などが大きな要因である。この三要因は揃ってしまった。

 婚姻率は男性の収入にきれいに比例している。
 それゆえ、若年者の非正規雇用者こそ優先的に賃上げする必要がある。子育て補助と言う形でも良い。
 また雇用の場でも対策も子育て当事者しか念頭に置いていないのも問題だ。日本の育休制度は先進諸国の中では中クラス程度だが、育休取得中の社員の穴浬めが出来ず、他の社員の負担増で乗り切っている実情がある。これは子育て環境実態の評価に見えてこない。

 女性個人の育児と就業だけではなく、総合的な就業と次世代再生産すなわち子育ての両立が目指されるべきだ。

                                 (2014.5.18)



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地方創世は出来るのか(3)少子化に逆らうことは出来る?
 地方の課題として、●人口減、●少子高齢化、●企業誘致困難、が挙げられる。実際これらは互いにリンクしている。

 新設の地方創生担当相に、石破氏が就いた。若者が安定して働き、安心して子育てができる地方を目指すとの事、新しいことを始めるのに責任者のネームバリューは重要である。石破氏は鳥取県の出身で、地方の実情を熟知しているとされることから適任とされているが、地域のために石破氏はいままで何か対策をしてきたのだろうか。

 上記にあげた三項目はどれも対応困難である。日本の時代の流れ、世界的な経済の流れがもたらした自然の姿、一部人工的な姿である。だから,地方創生策は見方によっては時代に逆行する課題である。

 地方の人口減を全国知事会は「死に至る病」と表現し、非常事態を宣言したが、私は何を今更、と思う。
 少子化は、先進国では共通してみられる現象である。その中でも特に日本は韓国に次いで出生率の低下が著しい。

 国力はGDPとかで論じられる事が多いが、そんな指標以上に少子化は日本社会が抱える最重要課題であった。 人口問題、少子化問題をわが国では軽視してきた。
 ●農耕社会で労働力の確保のために、家と血縁、財産を守るために子供が必要であった。  
 ●明治維新後には富国強兵のために若者が必要となった。1930年代には、日本は毎年100万人ずつ人口が増加した。
 ●日本の工業化と共に子供は工業地帯に出て働く様になると子供に対する価値観が変わり、少子化傾向が始まった。
 ●1938年には、日中戦争の影響もあって、突如として人口増がたった30万人という、驚くべき数字になった。その後は若者の出征により出生率は低迷。
 ●1947年第一次ベビーブーム。
 ●その後は出生率低迷、人口比の子どもの数は急激に減少。
 ●1990年(25年前)低出生率「1.57ショック」が契機となり少子化が社会問題化。
 ●1997年(15年前)「人口問題審議会」で少子化問題が中心議題となった。
 ●2003年(10年前)「少子化社会対策基本法」が成立。
 その時にはもう少子化が顕著となり、国の人口ピラミッドは高齢者側に頭でっかちになっていた。しかし、少子化問題はまだ個人的問題と考えられて来た。実際は、ここに問題があった、と思う。
 ●2014年5月「日本創世会議」の「人口減少問題分科会」が2040年の人口動向試算発表。地方の破滅的実態予測が示され、この後一気に少子化・人口減問題が取り上げられる様になり、地方創生本部を設けた。

 はっきり言って人口問題に対する国・政府の対策はお座なりであった、と思う。今更、多分、もう間に合わないだろう。

                                 (2014.9.10)

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