蘭州市医療友好交流団来訪(2005/11/10)

(1)院長歓迎挨拶 「熱烈歓迎!!」なんてとても言えなかったが・・・
 中国甘粛省の中心都市蘭州市と秋田市は20数年前から友好都市関係にある。私は詳細な活動の歴史、実態は殆ど知らないが、この度、蘭州市から医療友好交流団が秋田市を訪れている。2005/11/10(木)午後、一行の医師5名が当院を訪れた。
 歓談の際、最初に私が歓迎の挨拶を行った。「熱烈歓迎!!」なんてとても言えなかったが、軟らかい表現で心を込めて挨拶した。

 ご紹介戴きました院長の福田です。
 中国甘粛省の中心都市である蘭州市から、遠路はるばるやってこられました医療友好使節団の諸先生方を心から歓迎申し上げます。
 また、お忙しいスケジュールを割いて、私どもの病院にまで足を運んでいただきましたことに改めて心から感謝申し上げます。

 一昨年のSARS発生を機会に中国の医療事情の一部を知ることは出来ましたが、実際には私共は中国の医療事情に関しては殆ど何も知らないと言うのが正直なところです。中国ではかつては国立の医療機関が中心であったとのことですが、最近では私的な医療機関も診療しているとも聞いております。日本でも歴史的にみれば、大規模の医療機関は国や県の指導のもとで作られてきており、大部分が公的医療機関です。

 秋田市には500床規模の病院が大学病院を含めて5病院ありますが、その内の4病院が公立または公的病院です。
 私どもの病院は同規模病院の中では唯一私的な病院で、設立されてから今年でちょうど50年経過しました。この間一貫して、秋田県、秋田市における代表的病院の一つとして住民の健康維持、病気の治療のために24時間体制で診療にあたっております。

 私立の医療機関には国立などにはない苦労も在りますが、その一方では患者さん方から暖かく支持されている事を直接実感出来るという大きな喜びもあります。
 本日は時間的余裕もそれほどないとは思いますが、私どもの病院のポイントと思われる部門、設備を2、3見ていただきます。後ほどの歓談の場でご感想など伺えれば大きな気な喜びです。

 本日の皆様方のご訪問が蘭州市-秋田市の友好を深める事になることは勿論ですが、両国の友好のためにも大きな意義があるものと信じております。 その意味で 改めて、歓迎の気持ちを表したいと思います。
 今日は大変ごくろうさまでした。


(2)歓談  私的病院についての話題で盛り上がる・・・
 医療友好交流団に同行した謝教授は約10年ほど前秋田大学や当院で心臓外科を学んだ事があり、日本語は自由に話すことが出来るだけでなく、秋田について知り尽くしているし、当院職員にも知己者が少なくない。今回は通訳もかねての参加である。彼がいることで今回の来訪は始めからうち解けた雰囲気の中で進められた。こんな恵まれた状況で交流出来る機会というのは滅多になかろう。

団長の挨拶は概略以下の如くであった。
●中通総合病院が蘭州市の医療の発展に寄与して来たことは今でも大きく評価されている。そのために秋田での訪問計画に入れさせていただいた。
●秋田に向かう前に瀬戸名誉院長(中通総合病院在職中に5回訪中、蘭州市では手術も披露)を鎌倉に表敬訪問してきた。
●本日の温かい歓迎を心から感謝する。
●蘭州市の医療は発展しつつあるとは言えどもまだ十分なものとは言えない。機会を得て是非、蘭州市にお出でいただき御指導願いたい。


歓談の中では以下の話題について双方から質問が出され盛り上がった。
●和漢薬と西洋薬は近代的病院では大体半々である。一方、和漢薬専門医療機関も存在している。
●かつては和漢薬は自宅で煎じて服用していたが、最近は製剤になったものも少なくない。
●64列のCT画像には驚いた。是非サンプル画像を戴きたい。
●大規規模病院には大抵はCTはある。謝教授の病院のは東芝製とのこと。
●まだMRIは殆ど普及していない。
●中国では医師は病床数比1:0.6人、看護婦は略2.5;1人である。医師数が多いのに驚くが、業務内容は我が国のとはかなり異なり、若い医師は上級医の補助的業務を担いながら修行している。
●病室は近代的病院では個室か二人部屋である。古いところは8-10人部屋もある。
●中国では大部分が公立病院であるが最近私的病院も出来はじめているが、概して小規模である。
●私的病院と公的病院では医療費は同一なのか?考えられない。それで成り立っていることは驚きである。職員の待遇などはどうなっているのか?
●私的病院で働く意欲や喜びは何なのか?
●・・・・書ききれない!!

 約1.5時間、院内を回りながらとテーブルを囲んで、殆ど切れ目なく、種々の話題で歓談出来、時間があっという間に過ぎた。
 私が今回の歓談を通じて驚いたのは、彼らの私的医療機関に対する興味がただ事でなく大きいと言うことであった。私自身があえて私的病院についての話題を出したのは、中国でも私的医療機関が出来はじめたと聞いたことと、このような秋田市とか行政が介在する視察などでは私的病院などは通常無視されるので、ちょっとわれわれの立場を主張したかったからである。
 現に、その夜の歓迎レセプションにはわれわれは出席の機会が与えられていない。彼らもそれは残念、と述べていた。

 文化の異なる方々との交流は素晴らしいことではあるが、言葉を選んで話すのは決して楽なことではなかった。短時間ではあったが、十二分に国際交流の役目を果たした、と自己評価している。



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