第4回中通総合病院 病診連携「卯月の会」挨拶 ----医政と護送船団方式(2007.4.14)

 本日は卯月の会ご出席いただきまして有り難う御座いました。
 また、日頃から多数の患者さんをご紹介戴き本当に有り難うございます。

  この「卯月の会」は医療連携を通じて普段から親しくしていただいている地域の先生方と私どものスタッフとが一堂に会して共に勉強し合い、更に親睦を図るという目的で2年に一度開催されるもので、本日で第4回目を迎えました。

 前回の卯月の会のことも私は鮮明に覚えておりますが、もうあれから2年も経ったのかと、改めて月日の経つことの早さを実感しております。
 この2年間でいろいろなことがありました。

  その中で、医療情勢について申し上げますと、医療費亡国論を持つ小泉首相の一言によって診療報酬が3.16%も引き下げられました。この下げ幅は歴史上最大であり、小泉首相でなければ、また彼が任期終了直前でなければなし得ない事であり、私ども地域医療をあずかる立場からみれば明らかに暴挙であります。 総額を大幅に減らした上、社会問題になっております小児科、産婦人科、救急医療関係には傾斜配分せよとしたために、高齢者福祉・医療の分野はより大幅に削られました。その結果、減収で悩んでいた医療界、特に慢性期疾患の医療を担っている中小の私的医療機関は運営が一層困難な状況になっております。

 従来、わが国の政治は「護送船団方式」と例えられる、保護的な配分が行われてきておりました。「護送船団方式」とは、本来は軍艦・航空機 や武装船艇などに護衛されて航行する輸送船や商船の船団のことです。敵勢力からの妨害を排除し、味方勢力による海上輸送の維持を目的としています。大量輸送を確保するためには、速力の異なる多くの船を船団として航行させる必要がありますが、この場合、仲間として行動するには最も速力の劣る船に速度を合わせて航行することになります。このことから、能力の劣っていても無視せず保護的に扱う、という日本的なの行政手法を比喩的に意味する言葉として使われております。量的に不十分であった地域の医療供給体制を充足するために採った方法と考えられます。

  近年、特に小泉首相の時代にはこの「護送船団方式」を止め、不均等配分を原則として来ております。世論の反対にあって取りやめた、手術例数に達していない病院の診療報酬を低く抑えた事は一つの例で、記憶に新しいのですが、不均等分配によって勝ち組・負け組のグループ分けし、負け組を次々と切り捨てて医療を縮小し、病床を削減していく方針を採り始めております。

 これが、今後の医療行政の厳しい展開の方向性です。

 この傾向は今後更に厳しくなっていくと考えられますが、地域に人がいる限り、住民がいる限り、地域で医療連携を進めてガッシリとスクラムを組み良い医療を展開する、更に、その医療の現状を厚労省に発信していく限り、私は展望が必ず開ける、と考えております。

 その意味で私どもは地域の先生方との連携をより堅固にしようと考えていますのでよろしくお願いいたします。
 本日はご出席いただき大変有り難う御座います。
    有意義な時間を共有できますことを祈念して挨拶と致します。


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